旧古河庭園 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

昨日は「阿佐ヶ谷ジャズストリート」に行くつもりやったが、一昨日の夜に呑み会から戻り薄着で寝てしもて風邪ひいてしまい37.3度の熱出て、行くの断念し朝飯食うて風邪薬飲み夕刻迄眠っとった。
Eみさんに翻弄される夢から覚めた今朝は8時過ぎに起きて、熱測ったら平熱に戻っとって一安心。

風呂に小一時間浸り考えとった。自己評価が低過ぎる人が増えとらんかと。人生振り返ってみるに、自己評価が低過ぎる人は不幸に近寄っとる。自己評価が真っ当に出来るよう努めなならん。
朝食は茨城産コシヒカリのご飯を炊き、くめ納豆、紀州産梅干しで二膳。デザートはニュージーランド産キウイ2個。
エリック・ドルフィー→ジュニア・マンスとユーチューブで聴いた。
昼食摂りに歩って馬道通り「イルセレーノ」から変わったイタリアン「ブラカリ」へ。ホール担当の女性が前来た際に満席で入れなかったの憶えとって、丁寧にお詫びされた。ええ心掛けや。これが客の定着につながる。パスタセットにはしたもののパスタやなく佐々木ファームの玉ねぎをふんだんに使ったオニオングラタンスープ 温玉のせを選んだ。オニグラスープちゅうたら、通うとった「丸の内精養軒」のがごっつ好きでよう食うたの思い浮かべ、働いとった人達の顔も思い出し、懐かしさに浸っとった。あの時分とは丸の内は様変わりしとって別の街のようや。サラダとバゲットとフォカッチャ一つずつにコーヒー付いて1296円也。
満足して店を出て、浅草をブラブラして帰宅。
ヴァネッサ・ルービン→パティ・オースティン→ジェームズ・イングラム→マービン・ゲイの歌をユーチューブで聴いた。
辺り薄暗くなったんで、上野の杜へ行き「TOKYO数寄フェス」の最終日見て歩いた。
スーパーに寄り食料買うて帰り、遅い夕食はタイ産鶏肉、北海道産南瓜、茨城産ピーマン、長野産えのき茸をタジン鍋で蒸しご飯と食うた。デザートは佐賀産早生みかん3個。
歯痛っス対疲労しまスの日本シリーズ第2戦を中盤からラジオで聞き、それから「テイスト・オブ・ジャズ」聴いた。


「バラの名所、旧古河庭園の秋バラが見頃なのテレビで見たんやけど、行ってみん?」
「方角が悪いから駄目だね」

素気なかった。
「方角?お前様は今迄どこへ行くにもそないな事気にせえへんかったやないか」
「最近気になり出したんだね」
{何か怪しいがな}思うてEみさんの顔まじまじ見て云うた。「眼が泳いでない?」
「おりません」

強い口調やった。
「Eみ、ワテに何か隠しとる事ない?」
「そんなものありゃしないさ」
「例えば、以前行った時、食うとったソフトクリームを半分落としてもうて、悲しくなったとか」
笑いながら「そんな勿体ないドジしないょ」
「例えば、庭園で鳩にフン爆弾を股間近くに落とされた嫌な思い出があるとか」
「S吉じゃないから」
「方角気になるなら、駒込駅からやなく、まず赤羽に行って、赤羽駅で京浜東北線に乗り換え上中里駅で降りて歩いて行けば問題あらしまへん」
「浅知恵だね」
「秋バラは香り高いねんでえ、芳醇なんやでえ。今日行っとかな後悔すると思うわ」
「バラは他でも見られるね。お花屋で買って来てここに飾ってもいいでしょ」そう云い残して、Eみさんは昼ごはんつくりにキッチンへ行ってしもた。
ワテは彼女がキビキビ働く姿見ながら、この後どない説得しよかつらつら考えとったわ。
並べられた料理いただき、南瓜の煮物の味を誉めてから、彼女の顔色伺いつつ云うた。「名庭園の呼び声高い旧古川庭園には未だ行った事無くて、是非Eみちゃんと行こうと思うとったんや。今はEみちゃんのように綺麗に大輪のバラが咲いてるから行き時や。綺麗なEみちゃんと綺麗なバラを一緒に写真に残したいなあ。ワテの部屋に飾るだけやなく、コンクールに出したいんや」
「まだ諦めてないんだぁ。カメラ持って来てないでしょ、口から出任せ云っても無駄だから。男は潔く諦めるべき時は諦めなきゃ」
「男は黙ってサッポロビール。女は喋ってピンヒール」
「また訳分かんない事云ってる」
「ええ女は外に出なあかんちゅう諺でんがな」
「テレビでやってたんでしょ、行ってもすごく混んでるね。だから、おうちで過ごそう」
{益々怪しいでえ}と思うた。「そもそも、ワテが部屋の中でまったり過ごすのもデートやないか云うと、そんなのおデートじゃないから云うて外に連れ出そうとしよるのどこの誰や?」
「出た、そもそも攻撃」とワテを牽制して続けた。「行く所にはスペシャリティが無いとねぇ」
「あるでえ」
「何さ?美味しい物?」
「洋館。餡でつくった食える方やないでえ。大正ロマンを感じさせる石造りの建物」
「ロマンも石も食べられないょ」
「バラの香りを胸いっぱい吸えるでえ」
「要らな~い」
「そもそも、今日は特に何もする事ありゃせんやろ。そやから」
ワテの話を制し、「それじゃぁ、行くべきか行かざるべきか一日考えてればいいょ」と口挟んだ。
{なぜ行きたくない場所なんやろ?興味深々になるわ}と思い、「今、一日分考えたでえ。結果の発表です。熟女に熟女を重ねて検討しました結果、Eみちゃんを美しいバラの花咲く旧古川庭園へお連れする事に決定致しました」と早口で云うた。
「え~、具合悪くなるかもしれないょ」
「大丈夫。万が一そうなってもワテが懸命に介護したる」
いつもなら腰超軽いのになぜか腰重かったEみさんをやっと連れ出し、都立の有料庭園として公開されとる旧古河庭園に行ったんや。いつもはお喋りな彼女が言葉少ないのちょっち気にしながらの電車移動やった。
正門入ると、デッカイ赤い石が数個置かれてあった。
「財閥らしい石やな」
「嗅いでみたら。バラの香りするかもょ」
{不機嫌な儘やな}「これから愛でるバラの香りがEみちゃんに移るとええなあ」と明るく云うてみた。
ワテの体に鼻近付けクンクンしたEみさん「S吉はおバカな臭いするねぇ」

やはり不機嫌や。
案内板をしっかり読み歩いたが、園内は憩いを求める人々で混んどった。
傾斜地の上の方に建つ英国王朝風な洋館が目を惹く。
「これが鹿鳴館を設計したジョサイア・コンドル晩年の作か」
「ここでいっぱい宴会開かれたんだろうねぇ。食べ切れない程の美味しい物、沢山出たろうねぇ」
「ええ酒もな。それからほろ酔いで庭の散策楽しんだんや」
庭園はふたつあり、土地の起伏上手く利用して造られとる。
まずは斜面に造った西洋庭園。色鮮やかにバラが咲き競うとった。
「洋館にはバラがよう似合うわ」と暫し感心しとったら、Eみさん「S吉と駄洒落みたいなもんだね」
「返答し難い事云うなあ」
そして、京都の名匠小川治兵衛によって造られた日本庭園。
「心字池とそれを囲む木々の緑が心癒すがな。紅葉の時期もええやろ」
「日本庭園には紅葉が似合うよね。来月下旬かな?」
「その頃やろな。紅葉にまたこよう」
Eみさんはワテの洒落無視して歩いとった。
「あそこに滝があるょ」
「そこそこ落差あるな」
「S吉をあそこから流したいね」
「流されてたまりますかいな」
西洋庭園にも日本庭園にもカメラ持ったおっちゃんが仰山居り写真撮っとったが、その何人かにEみさんモデルになってくれとお願いされたんや。満更でもない様子見せとったEみさんやが、全て断っとった。
「なぜ撮らせてあげんの?」
「魂吸い取られないようにだょ」
Eみさん宥めながら園内一通り歩いた。
「上の西洋庭園から下の日本庭園への流れがよう考えられとるな」
「ふたつのお庭が調和してるよねぇ」
「Eみはどっちの庭がよかった?」
「しっとりしてる日本庭園。茶室もあるしねぇ」
「ワテはバラ咲く西洋庭園の方かなあ。しかし、芝生広場があるだけで、他に中途半端に施設が無いのがええわな」
「だねぇ。S吉みたいに中途半端じゃないのがいいょ」
「来てよかったやろ?」
「それ程でもないね」
「またまた、本心隠しとる」
「S吉がおバカな事しないように付いて来てやっただけさ」

年取るにつれ、子供の頃は親や友達に強く影響され、大人になってからは付き合うた異性(同性の人も居るか)に強く影響されるのがしみじみ分かって来ますなあ。
それにしても、なぜに名所巡りが好きなEみさんは旧古河庭園へ行くの嫌がっとったんやろ?付き合うとった男と園内で大喧嘩したとかやろか?ワテは旧古河庭園ごっつ気に入って、紅葉の時期にまた彼女誘ったんやけど、その時にもなんやかんや云うて嫌がって、行かず仕舞いやったもんなあ。