『花宵道中』 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

『花宵道中』☆+

炬燵から出難くなってきよった。8時ちょっち前に起きくしゃみ5連発。

風呂に小一時間浸り、歴史の必然性こそ恐ろしいもんはあらへんと考えとった。

山形庄内産つや姫のご飯を炊き、くめ納豆、海苔で二膳の朝食。デザートはフィリピン産バナナ3本。
「コミカル&セクシー プロレスリングWAVE」と「大秦帝国-QIN EMPIRE」をギャオで見て、昨日は一歩も外へ出んかったんで、今日は歩かなあかんと思い出掛けた。ほぼ6時間歩いたがな。
昼食は6、7年振りの南山伏町「ラ ビチュード」で摂った。オーナーが前のシェフに変わっとったわ。頼んだのは1620円の前菜+メイン+デザート+コーヒー頼み、前菜をゴルゴンゾーラとほうれん草、ベーコンのキッシュ、メインを北海道産蝦夷鹿のパルマンティエ、デザートはチーズケーキを選んだ。
満足して店出て歩き、「テアトル新宿」で映画観て、近所のスーパーで食料調達して帰宅。
筋トレ30分した。

夕食はブラジル産鶏肉、神奈川産セロリ、長野産椎茸をタジン鍋で蒸し、ご飯二膳。デザートはグレープフルーツジュース入りヨーグルト。
オスカー・ピーターソン・トリオ&ザ・シンガーズ・アンリミテッドのアルバム「イン・チューン」を聴いた。


外界から閉ざされたお女郎の姿を描く吉原物といえば、まずイの一番に浮かぶのが松井今朝子の見事な小説「吉原手引草」なんやが、まだ映画化されておらんのがごっつ不思議やでえ。
これ迄作品にされた映画では、俗人の臭いプンプン放っとって、あざとい演出が得意な五社英雄の「吉原炎上」やろか。こちらは明治末期もんやけどな。
江戸時代も明治時代も多くの吉原遊女は、今暮らす吉原の方がまだしもなどん底の過去を持つ境遇にあった。そないな悲しい境遇やからこそ彼女達の物語りは光彩放つ。
今日観て来た映画は、ワテ珍しく原作を読んどった。宮木あや子の小説で、舞台は江戸末期の新吉原。今の千束やね。
監督は豊島圭介ちゅう人。
お女郎と青年との道ならぬ恋の話ですわ。
吉原のお女郎朝霧が主人公やが、童顔で華奢な安達祐美を起用しとる。
縁日で出会った染物職人の半次郎役に淵上泰史。
姐女郎の朝霧慕う妹女郎八津は小篠恵奈。
織物問屋で憎たらしいヘンタイ吉田屋役を津田寛治が演じとる。
『花宵道中』は、ストイックな恋に匂い立つ色香が出とるか否かの勝負やったが、そこがなあ。
ワテが先に台本読んどって、安達祐美が役を引き受けるかどうか決める前やったら進み出て云うでえ。「よしなんし」とな。「花咲かせておくんなんし」とは決して云わんでえ。
安達祐美はこの映画でも分かるように綺麗な花やが、咲く所がちゃう。安達祐美には異なった作品が用意されるべきでんがな。女の魅力は色香だけやない。
あさ、後の朝霧を拾って禿にした霧里役の高岡早紀は、ちょいと顔見せしよるだけで色香を発散させるもんなあ。色香は、高等技術で一朝一夕につくれるもんやあらへん。
しかも、脚本、映像とも安達祐美のヌードに頼り過ぎとるのがこの映画の最大の欠点や。
それに、朝霧が身を焦がす叶わぬ恋の相手半次郎に魅力が乏しいんや。姉霧里との関係端折とってはなあ。
どうにも気になったんが、客は馴染みとなった遊女が出来ると、他の遊女へ浮気はしてはならぬちゅう吉原遊廓での掟があるはずなんやけど、八津の馴染み客はそれこそこれ見よがしに無視した事や。
しかし案山子、人間、引っ込みのつかぬ気分になると後で碌な事ないわな。
母に惨めな姿見せ付けられ育った朝霧やから、花を咲かせて命絶えたい気持ちは分からんではない。分からんではないが、花開かなくとも見事な木はあるし、年季明けがもう一年切っとるちゅうのにと、ワテは思うてしもたわ。
映像でええのが廓の窓から見える空なんや。けどな、一番生々しいのここやったちゅうのもこの映画の弱さや。本来なら花魁道中がそうでなければあかんところやが、額縁に入っとるようやった。
劇場出て、思うたんや。
ラストシーンで朝霧が見せる屈託のない笑顔に己の人生に花咲かせた姿があった。八津が語る朝霧への思いではないが、人生の納得の仕方はいろいろでええんや。