四谷左門町 | 温泉と下町散歩と酒と読書のJAZZな平生

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人生の事をしみじみ噛み締め出す歳は人それぞれやろが、ワテもそないな歳になったんで記し始めました。過去を顧みると未来が覗けます。
基本、前段が日記で後段に考えを綴っとるんで、後段を読まれ何かしらの“発見”があれば嬉しゅうございます。

Eみさんが夢に現れた今朝は7時半に起き、朝食は昨夜スーパーで買うた半額になっとった中華丼をレンジで温め食うた。デザートは愛媛産みかん3個。
ウェイン・ショーターのアルバム「アダムズ・アップル」をレコードで聴いた。

「MOZU シーズン2」ギャオで見とったら11時なのに腹が減り昼食に外出した。
今日はお目当ての「上野桜木 菜の花」に入れて、魚のごま丼頼んで食うた。小鉢、味噌汁、漬物が付き1000円也。旨いがな。特別に柿頂いたが、これまた旨かった。
昨日土曜日行く事にしとる図書館へ行かなかったんで、日暮里図書館へ行ったが、新聞読んどって宇沢弘文が先月亡くなっとったの知った。86歳やったそうな。大学時代読んだ岩波新書「自動車の社会的費用」には教えられ目から鱗やったの思い出した。合掌。
帰宅して、りんごジュース飲み筋トレ30分した。
ほな、Eみさんを燕軍応援に連れ出し成功した時のメモ書きから。


今年のレギュラーシーズンも終わろうとしとるんで、神宮へ行きたかった。
しかしながら、友人とや一人で行けば、Eみさんが「またEみを置いて野球なの~」と剥れるに決まっとるんや。かというて「一緒に行こ」云うても、色よい返事は無い。そやから、野球観に連れて行くのには知能を要する。
昨日も一苦労しましたわ。
待ち合わせを四谷三丁目駅改札出た所で17時にしとったが、出張帰りのワテ10分程遅れてしもた。
白いセーター着たEみさんは改札すぐ脇に立ち、下を向き欠伸しとった。
「所在無げやないか」と声を掛けた。
「時間持て余したょ」と云うて、ワテを非難する目だけした。
「ご免な。早く来とったんか?」
「お岩さんが待ちくたびれてるから」
「それってなんか怖いわ」
地上に上がると、もう日が暮れ始めてきとった。椋鳥だろうか、鳥の鳴く声が聞こえた。五月蠅かった。
今回は野球観に行くとは云わずに彼女と待ち合わせをしたんや。
四谷左門町には於岩稲荷田宮神社があるんやけど、Eみさんと四谷怪談で知られるあのお岩さん縁の稲荷へ行く約束したんや。
そう、Eみさんには「夫の不実を怨んで死に亡霊となったお岩さんの稲荷見に行って、その後で美味しい物食おう」と、誘い出した訳や。彼女はお化けとか幽霊とか精霊が好きやからな。
Eみさん、四谷警察署の前に立つ御巡りさんに「お岩さんの霊を祀っているお稲荷さんどこですか?」と気軽に聞いて、ワテを先導するかのように早足で向かった。四谷三丁目駅から外苑東通りに出て小路に入ると徒歩5分で鳥居が見えた。
「静かな住宅街だねぇ。あ、あそこだ」
「しっかりお参りせんと妄執に囚われる身になるかもな」
そう云うたワテの言葉など気にせず彼女は神社に入り案内読み出した。
「怪談の元になるような話は無いんか?若い女の体と出世に目眩んで養子に入った男の話はどこかに書いてないんか」と問うた。
Eみさんは案内に書かれとる文を声出して読んでくれた。お岩さん働き者で信心深かったそうな。「福を招き、商売繁盛の御利益があるんだって。よかったねぇ」
「しかし、怖い事実が微塵も無いでえ。鶴屋南北の話「東海道四谷怪談」はいったいどこに行ったんや?」
「創作だょ」
「それは分かるが、怖い要素はどこに隠れとんのやろ?」と、辺り見回したとったら、Eみさんワテのセーターの袖摘まんだんや。
「じゃぁ、美味しいお店に行こぅ」
{想定通りの言葉が来たわ}「そうか、ほな次の目的地へ歩き出しまっか」と、努めて魂胆見破られぬようにフツーに云うた。
その時にはEみさん、ワテの企みには気付かなかった。
辺りはいつの間にか現世ご利益求める宗教保有の建物が立ち並ぶ通りになっとった。
「あれ、信濃町の駅?」
「そうや、ご名答」
「S吉どこに行こうとしてる」
「Eみちゃん、疲れたんか。ほな広い場所行って一休みしまひょ」と云い歩き続けた。
が、Eみさんの足は急ブレーキ。
「どうしたんや?手つないで行こか」
「広い場所ってどこさ?」と、睨んで云うた。
「もう5分程の所」
「野球場じゃないよね」眉がつりあがって来とった。
「神宮の杜や。一緒に何度も行って」と迄云うたところで、「野球場じゃないよね」ワテの言葉を遮りEみさんは繰り返した。
「人によってはそう呼ぶ者も居るかなあ」と、神宮球場へ向かう人々見ながら云うた。
「戯け者!騙したなあ」Eみさんの顔がごっつ怖く変化した。
「鶴屋南北の話に出て来るお岩さんが乗り移ったかあ」と身震いした。
「Eみを大事にしないと~祟りがあるからね~」と、声にビブラフォーン叩いて云うんや。
秋の日は釣る瓶落とし云われるが、とっぷり日が暮れていた。