Between The Devil And The Deep Blue Sea日本語訳
1931年、Harold Arlen*(曲)/Ted Koehler(詞)
*Harold Arlenによるその他の曲:”Over The Rainbow”![]()
”Come Rain, Come Shine”, “It’s Only A Paper Moon”,
“Let’s Fall In Love”,など多数あります。
■ “Between The Devil And The Deep Blue Sea”
は1931年に発表され、翌年サッチモことルイ・アームストロングにより
録音されています。
この時に大ヒットしたのかどうかは不明ですが、
その後はエラ・フィッツジェラルド、カーメン・マクレエ、ペリー・コモ、
ボビー・ダーリン、ビング・クロスビー等、男性・女性を問わず
多くの優れたアーティストによりレコーディングされています。
そんな中でも私の一番好きなバージョンは何と言ってもブロッサム・デアリー。
彼女のコケティッシュな声がこの歌のヤバさや事件性(笑)を中和して、
“可愛い焼きもち焼き”の歌にしてくれているところが好きなんです。
■ この “Between The Devil And The Deep Blue Sea”、
日本語タイトルは「絶体絶命」となっています。そう、あの山口百恵の歌の原曲‥ではないです!
さておき、この妙なフレーズ、
英語のイディオムとして実際使われる言い回しで、直訳するならば
「悪魔と深い紺碧の海」ということですから「前にも進めず、後ろにも下がれない」という
「前門の虎後門の狼」という状態です。
私はいつもLiveでこれを説明するたびに
「火曜サスペンス劇場で犯人と船越英一郎が絶壁で対峙しているシーン」しか浮かばないのですが、
シリアス度はそんな感じでしょうね(笑)。
さて、
私とこの歌との出会いはさる名門ジャズクラブのオーディション。
持参した3曲の譜面のうち、審査員がその場で1曲を選んで演奏し、
それに合わせてその場で歌う、というものでした。
これが初めてのオーディションだった私は3曲とも気楽なSwingばかり選んでしまって(他の皆さんは
シリアスなバラードでした。やっぱりそれが実力をアピール出来るのですね‥そんなことも分からなかった私でした)、
選ばれた曲は ”It’s Only A Paper Moon”。
“そんなの誰が歌っても同じだろ!”って感じのこの歌では全く勝負にならず私は敗退でした![]()
そして、その時のグランプリの女性(というか女の子)が歌ったのがこの “Between~”で、
他のエントリーシンガーが皆キラキラドレスにダイヤのブレスレット
‥みたいな装いのところを、
彼女はなんとゴムの雨靴(なかなかの雨の日でしたので)にひとつ結びのヘアスタイル。
みんなが「クスッ」と思ったことでしょう。
私も思っちゃいました、ごめんなさい![]()
ところが彼女の飾らないピュアな雰囲気と可愛らしい声が
この魅力的な曲の味を最大限に引き出していて見事に優勝!
いやぁ、衝撃でした。
そんな経緯があって、その日からこの”Between~”は
私の中で特別な一曲になったのです。
シリアスなバラードこそ本格ジャズボーカルの神髄、という意見も多い中、
こういったライトな4ビートでも「勝てる」んだ!と目から鱗な出来事だったのです。
■ (歌詞)
I don’t want you, but I’d hate to lose you
You’ve got me in between the devil and the deep blue sea
I forgive you, `cause I can’t forget you..
(全歌詞は著作権の関係上掲載しておりません)
■ 日本語訳
あなたなんかいらない!
でもあなたを失うのはイヤ…
これってどっちにも決められない「絶体絶命」だわ(日本語タイトルなのでこの言葉を使ってみました)
許してあげる。だってあなたを忘れることなんて出来ないもの
まさに「絶体絶命」なの
あなたを私のリストから抹消するべきなんだけど、
またあなたがやってきて私のドアをノックすると
運命が私のハートをぐいっと捻ってくる
そして私は走ってまたそこに戻ってしまうの…
あなたの事、嫌いになった方がいいのだけれど
どうやら愛してるみたい
私を絶体絶命に陥れるのね
(日本語訳は一字一句を文法的に正確に訳したものではなく、
曲中に流れるムードや世界観を、歌い手である私なりの言葉で
表したものです。ご了承下さい)
それでは是非私の推しのブロッサム・デアリーのバージョンをお聞きくださいね
■どうですか?
悔しいですね、憎ったらしいですね、この浮気者!
それも一度や二度じゃないな、常習犯だな…
きっと「謝り方も許してもらい方」もわかっちゃってる。癪だわ
でも…好きだから許しちゃう。
キーッ!悔しい!
ん?今思い出しましたが、森高千里の歌にもありましたねこういうの。
「最近あなた優しくないわ
私の事もう飽きたの?
:
癪だけどやっぱりあなたが好きだから今日も許してしまうの」
ってね・・・
それはいいとして、じゃ、この複雑な歌、どんな風に歌ってみましょうか?
そんな惚れた弱味を見せちゃう可愛さが表現できたらこの歌は大成功です。
決して伊勢佐木町あたりの溜め息混じりとか、
マジで怒って真顔でスローで歌ったりしてはいけません(笑)。
コケティッシュな「かわいい女」を演じて、最後まで照れずに歌ってしまいましょう☆
イメージは昔の加賀まりことか?
いや、あれは許してくれなそうか(笑)…
何はともあれ、
軽快なミドルSwingで歌いながら
こんなカレをヒールの先で蹴っ飛ばしてやりましょ!
オマケ
森高千里 『二人は恋人』
山口百恵 絶体絶命
以上、ありがとうございました!



