本作は、2020年3月、コロナ禍によって閉鎖される直前のNYブルーノートでレコーディングされたクリスチャン・スコットのライブ盤だ。
Christian Scott (tp)
Elena Pinderhughes (fl)
Alex Han (as)
Lawrence Fields (p,key)
Weedie Brajimah (per)
Corey Fonville (ds)
ピアノによるイントロから怒涛のドラム・アンド・ベース・サウンドがなだれ込み、パーカッションが乱舞する迫力のオープニング。こんなのをライブで体験したら茫然自失だ。
3曲目の「Guinnevere」は、マイルス・デイビスも取り上げたナンバーで、ここではスコットのジャズ・トランペッターとしての卓越した技量を堪能する事ができる。
エレーナ・ピンダーヒューズのフルートが奏でる牧歌的なテーマに続く、ローレンス・フィールズのピアノが素敵な4曲目。音量を上げて聴くと、バスドラにシンクロして鳴らされるサブベースっぽい低音が快感だ。
5曲目「Sunrise in Beijing」では、トランペットとフルートのゆったりとしたユニゾンと強烈なリズムの対比、後半の素晴らしいフルートソロと聴きどころ満載で、アルバム前半のクライマックスだ。
アフロビートのリズムを使ったスローナンバー「Huntress (for Cara)」を挟んで、アルバム後半も熱気に満ちた演奏で大いに盛り上がる。
クリスチャン・スコットは、「Centennial Trilogy」に代表されるスタジオ・レコーディングで、非常に先鋭的でハイブリッドな音楽制作を実践する孤高のアーティストというイメージがあるが、本作はライブ特有の高揚感と充実したバンドの演奏によって最高のジャズ・アルバムとなっている。
【輸入盤CD】Christian Scott/Tunde Adjuah / Axiom【K2020/11/6発売】