2020年にBLUE NOTEからリリースされたデビュー作「Omega」が高く評価されたアルト・サックスの新鋭イマニュエル・ウィルキンス。その後も「Johnathan Blake / Homeward Bound」「Orrin Evans / The Magic of Now」等の参加作で素晴らしいプレイを披露し期待値が高まったところに届いたのがセカンドアルバム「The 7th Hand」。ここでも前作を踏襲した硬派な現代ジャズが展開されるが、より深まった表現力により良い意味で聴きやすい方向に進化している。随所にパーカッション・アンサンブルやエレーナ・ピンダーヒューズのフルートを配した前半6曲はそれぞれの楽曲が有機的に結びつき反響し合う素晴らしい出来栄えだ。そして問題のラストナンバー「Lift」が幕を開ける。ここでは(ありきたりな表現だが)後期コルトレーンやファラオ・サンダースを彷彿とさせるフリーキーな演奏が26分に渡って繰り広げられる。流石にこの展開は想定外で初めて聴いた時の衝撃は圧倒的だった。そして前半の6曲と「Lift」の凄まじいまでの対比。この作品は近年のジャズ・アルバムとして「Anbrose Akinmusire / On the Tender Spot of Every Calloused Moment」や「Christian Scott / Axiom」と比肩する傑作であり問題作である。
【輸入盤CD】Immanuel Wilkins / 7th Hand【K2022/1/28発売】