さてさて
今日は海外ドラマミニシリーズについて

※追記:こちら原作についてのみ、ドラマについてはこちらで補足しました。

https://ameblo.jp/jazz7life/entry-12593316396.html

「バンド・オブ・ブラザース」は前まえからはまっていたのですが、
最近、やっとこさ「ザ・パシフィック」を見ることができました。

「ザ・パシフィック」の主役、
ジェームズ・バッチ・デールさんにはまってしまったりしつつ
原作になった本
「バンド・オブ・ブラザース」
「南太平洋戦記・ガカルカナルからペリリューへ」
「ペリリュー・沖縄戦記」
を読みました。

ついでに図書館で見つけた本
「太平洋戦争アメリカ水兵日記」
も読みました。

すべて第2次世界大戦中の米軍の前線のお話です。


真実はひとつではない。
多角的な見方をするといろいろなことが見えてくる
とかなんとか高校生のころ読んだなんかの本を思い出しました。


「太平洋戦争アメリカ水兵日記」は
海軍の下っ端の水兵さんの当時の日記で、
太平洋上で日本軍と戦ったお話です。
勤務地は船の上、巡洋艦勤務でした。

「南太平洋戦記」と「ペリリュー・沖縄戦記」は
それぞれの著者さんが海兵隊の下っ端の歩兵として、
ガタルカナルから沖縄などの島で日本軍と戦ったときの回顧録です。


さて、それぞれ、海の上、そして島の上で協力して日本軍を追い詰めていったのですが、
一つの戦争を海と島の二つの面からみることができ、大変興味深かったです。

この水兵さん。
人から聞いた話や噂話として
海兵隊員が日本兵の死体から結婚指輪をもらったとか
真珠のはめてある刀を拾ったとか
むちゃくちゃ言っているんです。

なんだそんなわけわからんこと言ったやつは!
むしろ見てみたい!見せてくれ!!

と読みながら心の中で叫んでいたのですが、
それは、「南太平洋戦記」を読んで解決しました。

なんと、海兵隊の歩兵たちは
一般的に食事の質がいいといわれている海軍のご馳走にありつくために
(これはどこの軍でもあることらしいですね。
狭い船のなかにいて、女の子も酒もない、せめて食事だけでも・・・との配慮らしいですが。)
停泊中の海軍の船に乗船して、日本軍との戦いや殺し方、戦利品をとった方法などを
土産話として、あることないこと言いふらしていたそうです!!
盛り上げれば盛り上げるほどご馳走が出てきたそうで、
適当に受けがよさそうな話をでっちあげていたとか・・・。

そんなかわいそうな海兵隊員さん。
本当にご飯の事情は大変悪かったようで
レーション(軍の携帯用食糧)が食べれればいいほうで
日本軍に包囲されているときは供給がなく
飲まず食わずの時もあったとか。
目の前で、自分たちへの食糧・・飲料水・弾丸などを積んだ輸送艦が
日本軍に撃沈されているところを見たりもしたそうです。
食べ物もなくオイルまみれの水を
お腹を壊すのをわかっても飲まずにはいられなかったそうです。

そしてシャワーなんてものはなく
泥・汗・雨で頭髪や髭は汚れと汗でがっちがちに固まり
肌も汚れで真っ黒になったとか。
引き上げのときに、あまりにも汚いので
船に乗る前に体を洗い、服を捨てさせられたそうですが、
石鹸一つでは洗い流すことができなかったとか。

おもしろいのが、占領してしまった島は次の戦いの舞台となる島までの経由地
または、前線で戦う兵士たちの休養所・待機所となるのですが、
もちろんシャワーなんてものはなく
自然の雨をシャワーとして利用していたそうです。
雨が降り始めると急いで真っ裸になり石鹸を泡立て洗い流すのだそうで
毎度必ず、1人か2人は泡を洗い流すのが間に合わない人がいて
泡がついたまま服をきたりもしていたようでした。

そんな彼らにとってスパムは高級品。
なにしろ肉ですから。
果物や温かい食事・コーヒーなんて夢のようでした。
続く雨のせいで、火を起こすこともできず、
温かいものをもらっても、冷たい雨水がすぐに冷やしてしまったりするのです。
日本軍の残していった大量の米が食事のときもありました。
その中でも、酒は格別のうまさだったそうです。

一方で、水兵さんは日記で不平を書いています。
スパムなんてあんなもの食べたくない。肉じゃない!
レーションもいやだ。
戦闘中はサンドイッチ2つとリンゴだけ。
お腹すいたよぉー。
今日はステーキだ!今日は七面鳥だ!今日はご馳走だ!

なんて生意気な!毎日食べれているだろ!なんて思ってしまうのも仕方ないかも。

一方で、「バンド・オブ・ブラザース」の舞台
ヨーロッパ戦線の前線では
とにかく酒・酒・酒!

飲みすぎて喧嘩だ、不祥事だ。
ここは市街地戦なので、
人のいなくなった町から酒や食べ物など盗みたい放題だったようです。
高価なものを盗むこともよくあったとか。

しかし、ここでも、食糧事情はあまりよくなかったようです。
後方から送られてくる物資のなかでいいものはすべて中間部隊に取られたい放題。
肉なんてほとんどこなかったようで、
ドイツの奥地にいたときは鹿の狩猟隊を結成したとか。
残りを木につるしていたら、恰好の的になったようで、
次の日には木っ端みじんだったようです。
歯ブラシも一個しかこなかったよー
なんて記述には
おそらく海兵隊員は切れる寸前でしょう。。。


そんな海兵隊でも日本軍よりはましだったのかもしれません。
餓死者がたくさん出ましたし、
米軍のように怪我をしたからと後方や本国に送られることもなく、
病人やけが人を現地に放置して動けるものだけで玉砕攻撃なんてことも。

絶対、白旗を上げない日本軍、絶対捕虜を取らない海兵隊。(つまり殺すということ)
その戦いは壮絶だったようです。

海兵隊員の回顧録には
日本軍をほめる記述もあります。
特に硫黄島以降は、最小限の弾薬を使い、確実に米軍の兵士を追い詰めていったそうで
無駄な玉砕攻撃もせず、しぶとく、そして強く、賢い敵だったそうです。
ただ、やはり、不意打ちのような形で米軍の善意を踏みにじる行為
(怪我をした日本軍を助けようと近寄った衛生兵と一緒に手榴弾で自爆や
降伏する意思があるといっておきながら、罠にかけたりなど)
は理解しがたく、許せなかったそうで、
ここから絶対に捕虜は取らないというルールも
できていったみたいです。


ヨーロッパ戦線での同じキリスト教徒同士の戦いと違い
理解できない相手と戦う怖さ、不気味さが
太平洋戦争の手記にはほんのりとあらわされています。


なにより、すべての著者はこう締めくくっています。
もう戦争なんてこりごりだ。
あんなもの絶対にしちゃいけない。


それぞれの日記・回顧録は
著者の人柄がよく表れていて
「アメリカ水兵日記」は
とってもかわいい印象のある日記でした。
ご飯や待遇の文句に、家族との手紙のやりとり・・・
最初は不安で仕方なかったのに
補充兵がくると、からかってやったりなんか少年の印象がありました。

「ペリリュー沖縄戦記」は
戦後は教授になった人らしく、読みやすく、そして丁寧です。
まじめなしっかりした印象がありました。
戦争を忘れようとしていたときに、
戦争で、日本軍に何をしたかを、伝えなければいけないと
あるときふと思い立って書いたそうです。
その通り、とても残酷な描写がありますが、
それも真実だと思うと、この人はどれだけ苦しんだだろうかと
伝わってきます。

「南太平洋戦記」は
スポーツ記者だった青年が書いたもので
まぁとっても不良!(笑
盗んだり、喧嘩したり、女の子と遊んだり、
何度も降格処分された問題児だったようです。
映画「南太平洋」を見て、戦争で何があったかを
伝えなければならないと、この本を書いたようです。
とっても明るい人柄、でも気難しい感じがよく出ています。





最後に
「ペリリュー・沖縄戦記」の著者の言葉を借りて

「戦争は野蛮で、下劣で、恐るべき無駄である」

彼は、死ぬまで、毎晩、戦争の悪夢にうなされ続けたそうです。
 

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