フランス映画

原題の意味は 月曜日の朝


2002年公開

監督 オタール・イオセリアーニ

出演 ジャック・ビドウ(本職はテレビ番組のプロデューサー)

    オタール・イオセリアーニ(侯爵役で)



ほのぼのとした

イタリア映画のような雰囲気。

平凡にあきて刺激を求めに旅に出るけど

結局は平凡、日常が一番だ。

という映画。


ストーリー

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工場勤務のヴァンサンは

毎日1時間以上もかけて

タバコも吸えない工場へ通い

誰にでもできる単調な仕事をこなす。

家に帰れば妻が単調な仕事(=料理・家事)をしていて

子供たちには頼りにも相手にもされず

そのくせ、家の雑用は手伝わされて

趣味の絵描きにも集中できない。


そんなある日、

工場までは行ったものの

中へは入らず、危篤状態の父のもとへ。

遺産を狙う親族を尻目に

父から、旅の思い出と金を渡される。

その金と共に

父の思い出の強いヴェネツィアへ。


その前に、ふと立ち寄ったバーで

女装して働く昔の男友達に出会う。

積もる話をし、一晩泊まり

いざ、ヴェネツィアへ。


父の旧友の侯爵を尋ねるが

この侯爵がくせ者。

自動ピアノ演奏を弾いているように見せ掛け

窓際のスピーカから拍手の音を出して

ヴァンサンに見栄を張る。




侯爵家を後にすると

ヴェネツィアの町をスケッチしながら周遊。


列車の中で会ったカルロというイタリア男と再会。

意気投合し、ヴェネツィアを案内してもらう。

彼の家に招待をうけ、夕食を共にし、

彼の働いている工場に一緒に行くことになる。



ヴァンサンは

カルロの生活を見て、

彼もまた、イタリアの工場で働き、

家族には相手にされない

普通の父親だったという事を

実感する。


そして、フランスの田舎に帰るのだ。


家に帰ると

いたって普通に父を受け入れる家族

いつもより優しくなったような気がする妻

父を頼りにする子供たち

心配する母。


ただ、旅先から送った絵葉書は綺麗に破られ

きれいに繋ぎ合わされていた。


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という話。



非常にスローテンポで

ヴァンサンの旅を追っていくだけなんだけど

なぜか、目が離せない。

とても、面白い話でした。





ヴァンサンは

工場に勤務しながらも

絵を描くことをずっと続けている。

自分の部屋を持ち、いくつも書いている。

過去の、忘れなければいけない夢を持っている。

おそらく、結婚するときに、置いてきた夢だろう。


バーで働く女装した友人もまた、

絵を描いている。

二人の共通した夢と、友人の孤独な生活。

働くための女装と、地下室での一人きりの暮らし。


まだ、家族がいる分

いくらか救われている気がしないでもないが

妻に相手にされず、

子供にも頼られない自分も似たようなもの。


そんな日常から逃げ出して、どこか遠くへ行きたい。

そんな夢は、おそらくほとんどの人が

一度は夢見たことなのではないだろうか。


そして、実際に抜け出してみた。

しかし、日常を出ても

そこには同じ日常を生きる人たちがいた。

人生を思う存分謳歌しているはずのイタリア人でさえ

日常に縛られていた。

同じように工場があり、長時間かけて通勤し

家族がいて、生活するだけ。


どこにいても

結局は、自分次第。

家族がいて、普通に生活する

その日常こそが、幸せなんだ。と。

家族がいて、一人じゃない。

帰る場所も、帰る日常もあることこそが幸せだ。

という事に気付くんですな。


そして、家族も、

平凡なお父さんだけど

いなくなって初めてその存在に気付いたんでしょう。

その存在と大きさにいかに頼っていたか。

という事を。



登場人物も

ユニークで魅力的な人たちばかり

見栄っ張りの侯爵も

女装して働く友人も

死に掛けの父親もその親族も

イタリア男も


とてもユニークなんだけど

特別という感じでもない。

どこか

「こんな人いるよね」

と言えそうな人たちでした。





家族から無視されて、

金さえ家に持ってかえればいいのか。


と思っている「お父さん」は

どの国にもいるんだなぁ。

と、変に納得しました。



お父さんにもっと

やさしくしないと・・・・・。





小津映画のフランスバージョンって感じかも。

おすすめです。