(*ネタバレあり)
最も早くからチケットを手配しようと奔走していた作品が、この「Sleep No More」でした。
これを観たくてニューヨーク行きを決めたところもあります。
2011年から始まったロングラン公演が、間もなく終わろうとしています。
私が旅の計画を立てたときには、旅行期間中に千秋楽を迎えるとのことで、1時間しか観られない枠しか残っていませんでした。
この作品は最長3時間で、入場が1時間前と2時間前と3時間前の枠に分けられており、どれも料金が同じなのです。
日によって料金が異なりますが、残っていた日のチケット代は1枚約3万円でした
それで1時間しか観られないのはちょっとなぁ…と思っていたところ、なんと千秋楽が延期されることになり、別日で3時間の枠が取れました。
それでも2万円ちょっとしますが
全力で堪能しようと楽しみにしていました。
ホテルだった建物全体を劇場にして、階段を上り降りして観る観客参加型演劇。
セリフはなく、客席もなく、観客は仮面をつけて役者に付いて歩いたり走ったりしながら観ます。
原作はマクベスで、予習のため図書館で借りてきて読みました
さて、当日。
ホテルから歩いて劇場「McKittrick Hotel」に向かいます。
15分前に着くと、すでに列ができ始めていました。
チケットとパスポートを見せて、手の甲にスタンプを押してもらいます。
入場して、コートを4$で預けて、スマホも提供されたポーチに入れてロックをかけてもらいます。
トランプを1枚ずつ受け取り、呼ばれた番号の人がお芝居の空間に入っていきます。
2人で行っても離れ離れになると聞いていましたが、私たちは一緒でした。
階段を上がる人や降りる人、いろいろです。
私たちは上がって最上階へ。
病院のベッドが並んでいて、看護師さんがいました。
ついていくと、その看護師は振り返り、私に手を差し出します。
私は役者に触れてはいけないんじゃないかと思い、後退りしました。
これがエチュードなら、芝居に乗っかってその手をとって導かれていきたいところでしたが。
でも、別のシーンで、違う役者に導かれて手を取った観客が、そのまま部屋に閉じ込められてました。
後で知ったのですが、その後、導かれた人にしか体験できないなにかが待っていたようです。
私もそうすればよかったな
3時間は長いかなと思っていましたが、意外にもあっという間でした。
まだ見足りない!という感じです。
観客は仮面をつけて、役者がいないところでも、小道具を見たり、置かれている手紙を読んだりしている人もいました。
2時間くらい経ったところで、なんだか足が疲れていたことに気付くほど、夢中で観ていました。
あんなに観客が近くで観ている中、役に入り込んで集中して芝居をやるのはすごいなと思いました。
3回、地下でフィナーレが行われ、出演者全員集まるので、自然と観客も全員集合するようになります。
そして3回目のフィナーレはちょっと違います。
いろんなところでいろんなシーンが演じられているので、見逃しているシーンがたくさんあるのではと思います。
劇場にジャズバーも併設されていて、知らない人同士が観たシーンについて語り合う楽しさもあるそうです。
私たちは次の約束があったので速攻帰りましたが。感想を言い合い、しばらく余韻に浸りました。
すごいものを観たな、という一言です。
日本でもやれたらいいなあ。