私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法

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「Road of BABYMETAL」は世界を旅するBABYMETALのライブ・レビューです。
「序章」から「終章」までは、2010年の結成から2015年のワールドツアーまで、ぼくなりにまとめたBABYMETALの歴史や評伝です。
また「君とアニメが見たい」は、失意のあまり引きこもり状態だったぼくが、BABYMETALに出会うまでに見たアニメの紹介をしながら、家族を取り戻していく物語です。
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★今日のベビメタ

本日12月12日は、2015年、World Tour 2015 in Japan The Final Chapter of Trilogy@横浜アリーナ(初日)が行われ、「THE ONE」「KARATE」が初披露された日DEATH。

 

●検証9

「It is thanks to you that we are here today. We love London!」

(2016年Live at Wembleyのラスト、ステージからのあいさつ)

2016年4月2日、BABYMETALは日本人として初めて、SSEアリーナ・ウェンブリーに立った。前日に2ndアルバム「Metal Resistance」を世界同時リリースし、Metal Resistance第4章のキックオフ・ライブという位置づけだった。

東京ドーム、巨大キツネ、広島洗礼の儀を経た今となっては、BABYMETALの国内大会場での単独ライブは、2Daysというのが定着してきたが、海外での単独ライブは1Night Onlyである。今年初の単独ライブ、Special Headliner Live@ハリウッドPalladiumもそうだった。

だが、単独ライブに続くツアーが組まれていないという意味において、このLive at Wembleyは、文字通り一夜限りであり、BABYMETAL史上、稀有なライブとなった。

あるアイドルファンの日本人OLさんが、お友達と2人でこのライブを見に行ったブログが秀逸である。

http://sauce3.hatenablog.com/entry/babymetal_WembleyArena

ロンドンの観光地巡りをした後、会場へ向かおうとすると、ウェンブリー・パーク行きの路線がわからず、迷ってしまい、乗換駅でベビメタTを着た中高生と思しき女の子2人組を発見する。

現地人だが、イギリスの田舎からやってきたお上りさんらしい。彼女たちもウェンブリー・パーク行きがわからず、どうやらお互いに「あの人たちについて行けばいい」と思っているようだ。

結局、このOLさんが勇気を出して駅員に行き方を尋ね、無事にウェンブリー・アリーナに行く電車に乗り込むのだが、BABYMETALを見るために、頑張って田舎から出てきたであろう女の子2人組と、遠く日本からやってきた女性2人組が、同じベビTを着て、ことさら話をするわけでもなく、お互いにチラチラ見遣り、照れながら、その場、その時を共にするという車内の光景が目に浮かぶ。

こういう出会いは、全てのライブ会場で起こる。ぼくはずうずうしいので、参戦した会場ごとに新しいメイトさんに話しかけてお友達になって、食事させてもらっているが、喫煙所で話しただけ、電車の中で話しただけ、ベビTを見かけて遠くからキツネサインをしただけの方もいる。

このブログに書かれた出会いは、言葉の壁によって、親しくコミュニケーションはできなかったが、女性同士であり、同性のBABYMETALを見るためだけに、遠くの町からロンドンにやってきた「お上りさん」であるという共通点で、十分に心が通い合ったのだと思う。

Live at Wembleyは全17曲、現在まで最多楽曲数のライブであり、凝った舞台装置やレーザー、パイロ、CGスクリーン、特効など、その時点でのBABYMETALの全力を見せつけるライブだった。

世界各国から集まったメイトが国旗を振り、日本のLV会場と一体化した「THE ONE」に続き、フィニッシュ曲「Road of Resistance」では1万2千人が「♪Wow Wow Wow Wow…」とシンガロング。そして「Get your Fox hands up!!」というコールとともに、SU-がMetal Resistance第4章の幕開けを告げる巨大ゴングを打ち鳴らしてライブが終わった。

普通のライブなら、ここで暗転して終わり。

だが、このときは、三人がゆっくりと階段を下り、素の笑顔で大観衆の前に立った。

まずMOAが右手を挙げて鳴りやまぬ拍手喝采を抑え、

「You are also precious to me. I love you!」と叫んだ。会場からは「ウォー‼」という歓声。

次にYUIが右手を挙げ、左手に持ったカンペをユニオンジャックの端っこで隠しながら、こう言った。

「It is thanks to you that we are here today! We love London!」

またも歓声が上がったが、なんて言ったのかわからなかった。that…以下はわかったが、最初の「It is すちゃいちゃ…」が聴き取れない。あとでいろいろなサイトで確認したところ、「It is thanks to you…」だったことが判明した。

そのあと、SU-は「You are guys amazing! We are going back to Japan, but remember we are always on your side!」と言って、イギリス人のハートをがっちりつかんだ。

だが、実は、YUIの「It is ~that」という言い方もまた、イギリス人にとっては心をわし掴みにされるような発言だったらしい。

Richardさんに聞いてみると、「It is ~that」という言い方は、現代の日常生活では使われることはなく、古風な、あるいは文語的な言い方であるという。日本語で言えば「ここに来られて嬉しい!」ではなく、「私たちが本日ここに居ること、それをあなた方に感謝いたします」というような言い方。

これが、YUIの口から出ると、得も言われぬ「気品」を感じるのだそうだ。

日本に来た大物外タレが、古風で丁寧な日本語で話すとグッときちゃう、アレですね。

以前書いたが、水野由結は、さくら学院中等部3年生のとき、「学院日誌」で、英文日記をつけ始めたことを明かしている。

-引用-

由結も英語喋れるようになったら、海外に住んでみたいです。しかも親友は由結と同じでアリアナグランデさんが大好きでいつか2人でアリアナのライブ観に海外に行こう!!って約束しています。そしていつかアリアナグランデさんに会うことを夢みていて会えた時のためにも今由結、英語の勉強に取り組んでいます。

なので2015年から始めてみました。英語で書く用のスケジュール帳。これに毎日英語で日記を書いています。早く上達するといいなあ。(後略)

(「さくら学院日誌」2015年1月21日「興味のあること」より)

―引用終わり―

英会話教室ではなく英文日記。これが、「It is ~that」構文を多用するYUI’s Englishの由来である。つまりYUIの英語は書き言葉なのである。

今年のサマソニ前のPR動画でも、YUIは、

「It’s an incredible feeling to know that this is our 6 years at Summer Sonic.」

(jaytc直訳:これが私たちの6年目のサマーソニックだと知ること、それは信じられない気分です。)

という言い方をしている。

おそらく、もともとの日本語は、「サマソニに6年間も出ているなんて、信じられない気分です」というようなものだったのだろう。

「出続けている」というニュアンスなら、現在完了進行形「have been ~ing」が使える。

そして、会話なら、「We have been appearing in Summer Sonic for 6 years. It’s incredible!」という風に文を分けた方が相手に伝わりやすい。

どうしても一文にしたいなら、「I feel incredible when I think that we have been appearing in Summer Sonic for 6 years.」というように、主語をIにして気持ちを伝え、そのあと「when I think that~」でその中身を説明するという形をとると伝わりやすい。

だが、YUIは古風で文語的な「It is that~」構文を選んだ。

もちろん、練れた言い方ではないので、舌足らずな感じも残るから、この言い方で、YUIは欧米人にとって、イノセントで上品な“お嬢様”のイメージになるらしい。そして、そういうYUIちゃんのイメージは、欧米人女性に非常に共感を呼ぶ。

かくしてBABYMETALは日本から来た三人の礼儀正しい10代の女の子たちだが、SU-=クイーン、MOA=ヴィヴィッド、YUI=お嬢様という三者三様の個性を持っていて、決してロボットでも、KOBAMETALの操り人形でもないということが欧米人に了解されることになる。

YUI’s Englishは、BABYMETALのイメージづくりに大いに貢献しているのだ。

 

●検証10

「キャビンアテンダントさんが、昨日テレビ出てたでしょ、BABYMETALでしょって。お菓子をいっぱいもらいました。」

(2016年4月、出演したミュージックステーションで、タモリの質問に答えて)

今となっては懐かしいの一言だが、BABYMETAL最後の地上波テレビ出演が、2016年4月のテレビ朝日系「ミュージックステーション」だった。

ウェンブリー公演を成功裡に終え、全米TVネット局CBSの「The Late Show with Stephen Colbert」に出演した直後で、翌々日24日(現地時間23日付)には、「Metal Resistance」が、坂本九以来53年ぶりにBillboard 200総合アルバムチャート39位というとんでもない実績をあげるという流れの中での出演であった。

同じ回に出演していたのは、スピッツ、きゃりーぱみゅぱみゅ、欅坂46など。

欅坂46は、秋元康プロデュースにより、乃木坂46の“妹分”として、結成以来約1年間、地上波の冠番組『欅って、書けない?』や乃木坂46のライブへの出演で人気を高めた上でデビューシングルをリリースするという念の入ったプロモーションをされており、デビューシングル女性アーティスト歴代最高売上という記録を打ち立てていた。

メタル楽曲、バンドセット、過酷な国内・海外のライブで評価を高めたBABYMETALとはジャンルが違い、比較にならないはずだったが、ネット上では、“逸材”とされたセンターの平手友梨奈が、SU-METALと拮抗するという煽りがなされていた。

番組内では、女性アナウンサーがウェンブリー公演について触れたり、他のアーティストの準備中にタモリがイギリスでの活躍ぶりを振ったりして、BABYMETALの扱いは格別であり、ひな壇の位置も、常に画面に映り続けるところにいた。

スピッツの草野マサムネも、トークでBABYMETALファンであることを明かし、三人に会えて気持ちがフワフワしたためか、曲の出だしをトチルというおまけが付いた。

もっとも、神バンドの生演奏による「KARATE」では、SU-の声が裏返ったところがあり、数万人を集めた海外のロックフェスよりも、タモリのいるテレビスタジオの方が緊張するという微笑ましい一面が垣間見られた。

結果的には、BABYMETALの凄さや魅力がお茶の間に伝わり、このTV出演は大きなプラスになったと思う。

その大きな要因になったのが、ゆいちゃんの冒頭発言である。

YouTubeでは動画が見られないので正確ではないが、タモリが「海外の方が声かけられるんじゃない?海外で人気があって、なんかいいことあった?」というと、YUIが、「帰りの飛行機に乗ったとき、キャビンアテンダントさんが、昨日テレビ出てたでしょ、BABYMETALでしょっていって。お菓子をいっぱいもらいました。」と嬉しそうに、あの笑顔で話した。

お菓子。

仕事が遅くなって、どうしてもこの番組を生で見たかったぼくは、都内に住む友だちに頼み込んで、彼の家で見ていた。この発言が出た瞬間、BABYMETALは最強であると確信した。

アイドルにとってビジュアルやピュア感は重要な要素である。20人もいる欅坂や、Kawaiiの先輩きゃりーぱみゅぱみゅの中にあって、BABYMETALもまた十分以上に伍していける。

だが、BABYMETALはアイドルとして勝負しているわけではなく、楽曲、パフォーマンスで世界中の人々に支持されている。

にもかかわらず、このときのゆいちゃんにとって、海外で大活躍し、人気があることのメリットは、お菓子を、他の乗客より多くもらえることだったのである。

なんというピュア感。なんというKawaiさ。

「北風と太陽」という童話がある。

BABYMETALを語るとき、SU-の歌唱力の凄さと海外の大観衆を煽れるクイーン感や、神バンドの超絶的演奏力、メタルの歴史を踏まえた楽曲の完成度、ダンスパフォーマンスの運動量と表現力と努力などをいくら力説しても、「メタルはうるさい、怖い」「共感できない」「キツネ様が降臨する設定が理解できない」「本物のメタルじゃない」とか言われて、頭から毛嫌いされることがある。

だが、このときのYUIの一言は、そういうリクツ抜きで、BABYMETALを知らなかった視聴者を惹きつけた。その証拠に、放送終了後「左の子めっちゃ可愛い」という無数のコメントがアイドル板に書き込まれた。

そんな新規ドルオタいらねえよ、という古参メイトさんの気持ちもよくわかるが、SU-の凛とした美貌と歌唱力、MOAのKawaiiかつ生真面目な受け答えも含め、地上波での露出が、BABYMETALファンの「裾野」を広げ、結果的に9月に東京ドームに11万人を集められた一つの要因だったのは間違いない。

メタルという、従来マニアックで少数派だった音楽ジャンルを、Kawaiiアイドルにやらせるというコロンブスの卵、「アイドルとメタルの融合」というコンセプトは、SU-、YUI、MOAという女の子たちの生身の肉体によって、KOBAMETALの夢想を離れ、現実のものとなった。

その意味で、今や日本で唯一のゴールデンタイムの歌番組である「ミュージックステーション」で、「お菓子をいっぱいもらいました」と笑顔を振りまいたYUIの貢献度は、実に高い。

その後、BABYMETALの地上波出演はピタリと止まった。

TVアイドルの土俵に乗らずとも、コンセプトが十分認知されたという運営の判断によるものだろう。海外大物バンドの前座修行を経て、国内で行われた5大キツネ祭り、巨大キツネ祭り、広島洗礼の儀の集客が、それを証明している。

SU-が成人し、YUI、MOAが高校を卒業する2018年、一人一人が、三者三様の個性を伸ばし、アーティストとしての表現力を高めていくことが、BABYMETALの大きな課題となるだろう。

広島で、SU-はシンガーとしての才能、表現力を全開にしていく方向性を示した。

MOAは、図らずも1万人を前に歌い踊ることで、SU-に拮抗しうるソロシンガーとしての魅力と可能性を見せつけた。

今回病欠したYUIもまた、この記事で検証してきたように、様々なユニークな才能を持っている。

女優としての美しさ、天性の演技力。天才的なダンスの表現力、身体能力。実はエクストリームでブルータルでロックな感性。細かいことに動じず、どこでも眠れる豪胆さ。欧米人に気品を感じさせるYUI’s English。ピュアで、誰からも愛される純心さ。

今は冬。YUIが自分だけの個性や才能を活かし、大輪の花を咲かせる春がきっとくる。

その日を待ち望み、最後のベビメタロスを耐えよう。

(この項終わり)

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