4月1日は、エプリールフール。


この日が誕生日の人がいる。


毎年、エプリールフールは、その人のことを思い出す。


とても冗談が上手く、時々、ドキドキするような微妙な発言をする人だ。


そう言えば、日本の少女売春の善悪について熱く語り合ったのも、その人とだ。


人を傷つけない嘘を上手につける人。


あたしは、その人が大好きだった。


エプリールフールが誕生日だと知った職場の人からは、正にピッタリの誕生日だと言われていた。


あたしが転勤してしまい疎遠になっていたが、ずっと、あたしの憧れの人だった。


数年前、突然、電話をもらった。


仕事を辞めると言う。


絶句してしまった。


言葉が出なかった。


これまで辞職する人は少なくなかった。


仲の良かった人が辞めることは、これまで何度もあった。


でも、こんなにショックを受けたことは初めてだった。


ショックの大きさに自分でも驚いた。


涙が溢れて仕様がなかった。


こんな素敵な人をも辞めさせてしまう、そんな職場を改めて憎んだ。


悔しさと、悲しさと、寂しさが入り混じった感情が高まって仕方がなかった。


あたしが何も言えず、嗚咽を堪えている様子に電話の向こうで、あの人が戸惑っているのが分かった。


でも、次から次へと溢れる涙は、どうしようもなかった。


結局、あたしが泣いているだけで、あの人が語った仕事を辞める詳細な理由は覚えていない。


自分の悲しみで一杯だったという情けない話。




約1年前に会ったあの人は、相変わらず毒舌で、冗談ばっかりだった。


今、韓国語を勉強しており、韓国語検定2級に受かったという。


あの人と会うと、芥川龍之介の「人は冗談の中に真実を込める」という言葉を思い出す。


その事をあの人に伝えると、ちょっと真顔になって、そして笑い飛ばされた。



エプリールフールは、あの人と切っても切り離すことが出来ない日。


あたしにとっても大切な日だ。


誕生日おめでとうございます。