エレファント
ガス・ヴァン・サイト
コロンバイン高校の高校生銃乱射事件をベースに、ある高校の平凡な一日とその破綻を描く一本。
カンヌで二冠(作品賞と監督賞)という史上初の快挙を達成。
今、一番ハズレのないブランドと言えば、20世紀FOXでもMIRAMAXでもワーナー兄弟でもなく、HBOだと思う。
そんなワケで、コイツはHBO製作なわけですよ。
一番ノリに乗ってるHBOだけあって、他では作らないであろうテーマを、他ではやらないアプローチで作った作品。
なんとこれ、アドリブを軸に作ってあるそうなのですよ。
キーワードだけ与えて、あとは役者…しかも普通の高校生がほとんど…の自由に任せるという、自由の国アメリカでしか出来そうにない作り方。
そりゃあ、オーディションを勝ち抜いた猛者たちだからこそ成せる技なワケだが、いきなり銃乱射する高校生を、ロクな台本もなく演じるなんて離れ業、どうやれって言うんだよう!とか思う。すごいなあ。
多分それを狙ったのだろうが、その狙い通りに、大人には書けないリアルな高校生像で、その、ごくごく有り触れた高校の日常が必要以上に生々しくて、クライマックスの乱射事件がものすごく衝撃的です。
あくまで日常の延長線上のような感じがして、今思えば、学校というところはああいうことが起こるのも不思議じゃないような、そんな気分になってくるから恐ろしい。
あー学校燃えてなくなんえーかなー、とか、あの教師うぜえ、死ねやとか、やっぱ考えたりしましたよ、ええ、本当に放火したり殺人事件を起こそうと思ったワケではないんですけど。
見ていて楽しい作品ではありません。
当たり障りのない高校生活描きながら、でも確かに不思議な緊迫感があって、さらに事件の種がところどころに埋まってる。
沢山の高校生が出てきて、実際に銃乱射をするのは二人の高校生なのだけど、誰がそんなことやっちゃってもおかしくないような、そういう危うさが見え隠れしていて、その危うさには見に覚えがあるような、そういう居心地の悪さも感じます。
それを、徹底的に高校生の視点で、ある意味とても冷徹に描いてある。
分かりたくないけど分かってしまう。
本当に居心地が悪い。微妙に他人事じゃないのですよ、色々なことが。
つい、自分を当てはめて考えてしまう。
私は、我慢出来るかなあ?そんな自信がなかったりするんですよね…
色々考えずに、とりあえずピチピチの高校生を見る、みたいな目で見た方が楽しかったかもしれない…
アメリカの高校生(特に女の子)って大人っぽい!!自分と同い年くらいに見える!!いや、寧ろ年上に見える!!!そりゃ、お酒飲ませてくれないハズだ(私には、ここは子供の来るところじゃないと、酒場を追い出された経験があるばかりか、代わりにこれでも食っておけと、アイスクリームをもらった経験がある。一体幾つに見えたんだろ?)
制服がないから余計そうです。ばっちり化粧とかしちゃって、私アメリカ人じゃなくて本当に良かった。
この作品の看板はジョン・ロビンソンで、確かに可愛いんだけども、私はフォトグラファーなイーライが好み(聞いてない)
もしかしたら、この作品からスターが何人も誕生するかもしれない。
舞台度胸は折り紙付な気がするものですから。
瑞々しく憂鬱。
自分が今まだ高校生だったら、痛くて見れなかったかもしれない。
何はともあれとりあえず、自分も昔高校生だった。それは忘れずにいようと思った。