コラテラル
トム・クルーズ
ジェイミー・フォックス
マイケル・マン監督
ロサンゼルスのタクシー運転手マックスは有能な運転手。
知的な女性検事を乗せ、楽しい気持ちになった次の客は、どこか危険な空気を持つヴィンセントという男。
好条件で一晩チャーターということになったが、このヴィンセント、プロの殺し屋だった。
次々に、冷徹に「仕事」を片付けてゆくヴィンセントに振り回され、遂には警察には自分が犯人だと勘違いされる始末。
マックスの最悪の一夜が始まった…!
一度も笑わないトム・クルーズ。
それってなんか珍しくないですか?
アメリカンジャスティスって感じの、This is heroなトム・クルーズなので、ただ人殺しをするのではなく、なんか、ウラというかのっぴきならない事情とか、何かそういうものがあるのかなあ、とかいらん深読みをして読んでしまいました。
そーゆーもんじゃないのねえ…
ひたすら機械っぽく人殺しする役。「トレーニング・デイ」のデンゼル・ワシントンみたいなものでしょうか。
配役で深読みさせるという、ある意味とても卑怯な技を使っている映画です。
悪のトム・クルーズを楽しめばいい、みたいな?
見る側はジェイミー・フォックスの視点なわけですが、このフォックスがお見事です。
見てるスクリーンのこっち側の心の動きと、全く同じ心の動きをしていて、それを巧く演じてらっしゃると思う。
うさんくせえな~でもいっかあ、てゆーかよくねーよ!オイオイ、殺しちゃったよ、てか、もしかして次のターゲットって…やべえ当たり?助けな!みたいな、ものっすごくシンクロしやすい演技です。
時々、ヴィンセントに親近感と言うか仲間意識というか、そういうものを持ちそうになったり、ここで一発反抗しないと、とか、タイミングがドンピシャ。痒いところに手が届く感じ。
ものすごく普通の男を、ものすごく普通に演じているのに、遂に終盤、普通の男ではなく戦う男に変身、自分たちの代表が立ち上がったような感慨を覚え、素直にカッコイイと思った。
フォックス自身は決して普通の男っぽくはないのに、なんであんなにフツーのあんちゃんなんだよー巧いなあ。
そしてもう一人の主人公、それがきっと夜のロサンゼルス。
行ったことないから違うかもしれないけれど、この町はきっと、昼と夜で全然別人なんだと思った。
夜のLAは冷たくて余所余所しい感じ。
人殺しがふらりとさまよいこんでも、それが不思議じゃない感じ。
昼のLAだったら、ワタクシのような田舎者が迷いこむ余地があるけれど、夜のLAには入れない異世界感を感じる。
なので、この作品は夜のLAでしか撮れないと思う。
それにしても、ヴィンセントは腕のいい殺し屋なんですけねえ…それが疑問なのは私だけでしょうか?
手口とかはものすごく推理小説的でアリかな~って気がするんですけど、「仕事」の途中で警察にバレちゃ駄目でしょう…
資料を奪われちゃ駄目でしょう、二回も…
結構いい加減で大雑把でうっかりも多い。その割に自信満々なところがアメリカそのものって言ったら言い過ぎでしょうか?
