夜になる前に | 俺様シネマ

夜になる前に

 

ハビエル・バルデム主演。確か主演男優賞ノミネート。
実在の作家レイナルド・アレナスの生涯を描く作品。
革命下のキューバで、その作風と性癖から迫害を受け、アメリカに亡命。
その彼がつづった作品をフューチャーしながら、彼の思い、彼の生き方にスポットを当てる、画家でもあるジュリアン・シュナーベル監督作品。
気をつけていても見逃すところにショーン・ペンが、寝た子も起きるスパイシーな役でジョニー・デップが華を添える。

木々の抱える秘密は、よじ登るものにしか分からない
と、作家の言葉で格調高く(?)始まるこの作品、昔、デップ見たさでDVDを借りてきて、イロイロな時間の兼ね合いから、デップのとこだけ見て返却してしまったという、非常に罪悪感に苛まれる一本…
その節は本当に……
しかし、レンタル代250円の価値が充分にある、素晴らしいデップぶりでした。
女装ゲイとサディスティック中尉の二役。どっちもすげえ。
スズメ船長の撮影時期に近いらしく、さりげに金歯なところやら、女性も嫉妬するセクシーヒップ、特典の、オフスクリーンで、思いっきり男らしく歩いているボンボンちゃん(役名。女装ゲイ)姿のデップなど、デップファン的にお宝衝撃映像のとても多い素敵な作品だ。

それだけでも満足できてしまう一本であるが、この作品はきちんと見るべき。
本当にその節は…………(反省)
まず、作品中にちりばめられたアレナスの詩がカッコイイです。
美しくて醜くて、悲しくて、強くて、繊細で、諦めちゃう寸前の怒りみたいなものが、塗り込められていて、それを伝えるのにとても的確だ。
彼がその詩を書くのに至った心の葛藤を、静かに、だけどギリギリの演技でバルデムが魅せる。
う~~んアーティスティック!
それにしても、終盤、病に倒れたアレナスを演じる時、髪とかごっそり抜けているわけですが、矢張りあれはわざわざ脱毛したんでしょうか…

アレナスは同性愛者なので、女優陣には期待出来ない。
ラテンなので、俳優陣も濃い目。
その中で、最期までアレナスの傍にいた、ラセロはワタクシ好みです(聞いてないから)
奥二重で黒目がちってえのが好きなのじゃ(だから聞いてないってば)
それが、盲導犬のように、対等に近い立場で、忠実に寄り添う姿はなんだかとても神聖だと思った。
仏陀に寄り添うアーナンダみたいだと思った。
私は女なので、男性同士の気持ちやら思いやら、そういうものはきっと理解出来ないのだけど、そして、私は女なので、あんな風に寄り添うことは出来ないだろうから、ちょっと彼らが羨ましかった。

“誰にも望まれない子供”と、彼は書いている。
でも、本当はそうじゃないから、自分をそういう風に書けるんだろうな、と思う。
だからそれが残ったんだろうな、とも思う。
レイナルド・アレナス本人も、それをちゃんと分かって書いていたと思いたい。