自殺した夫の子を産むべきか : 妊娠・出産・育児 : 発言小町
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/1223/283721.htm

最近鬱っぽかった夫が、突然自殺しました。
そして昨日、妊娠検査薬に陽性が…

性交渉は、死亡の2日前に1回だけ。
当時生理が終わってまだ1週間も経っていなかった上に
年齢的にも体質的にも妊娠しづらいはずなのに、今も信じられません。

この奇跡に近い妊娠が
もしも、事故や病死という状況で起こったことなら、
きっと迷いなく産んだと思います。

でもこの状況で産んだとして
子供が父親のこと、自分の誕生についてどう思うのか
また、もし生まれた子供が夫に似ていたら、それさえ怖いのです。
好き勝手、わがまま放題に生きて、その尻ぬぐいもせず
この世から逃げた夫とその最後の置きみやげのように
お腹に残された命に対する気持ちは複雑です。

生前の夫は、我が儘なモラハラ夫でした。
その性格ゆえに社会に適応できず、
今回の結末に至ったといっても過言ではありません。

(以下略)

僕が思うに、自殺についての認識が大きく誤っている人が多い。

この投稿にも「この世から逃げた夫」と記されているが、
正常な判断力を有する人間がそう簡単に死を選ぶわけがない。
おそらく死だけが苦しみから救済される手段だったのだ。

生前の夫は、我が儘なモラハラ夫でした。
その性格ゆえに社会に適応できず


モラルハラスメントとは傍若無人に見える振舞いを指すのだろうが、
単なる常識知らずと片付けるのは大きな間違いである。
社会不適合はソシオパスと呼ばれる精神病質なのだ。
そのことを夫自身が自覚し悩んでいたことは想像に難くない。

この女性はそういった夫の苦しみを理解しようとするどころか、
死者を鞭打つような冷酷な発言に終始している。
生前の夫にどんな感情を抱いていたかがよく分かる。
身内から労れることなく失意の中で命を断った夫。
死んだ後もネット上で辱められるとは思いもしなかっただろう。

はっきり言って人の痛みが分からないこの女性が
子供を産んだところでまっとうな教育ができるとは思えない。


少し想像してみて欲しい。
生きてきた中で肉体的に最も痛かった経験を。
虫歯でも、骨折でも、病気でも、出産でもいい。
その痛みがたとえば1回5時間あるいはそれ以上、毎日続くとしたら?
鬱とは、精神的にそういう状態になるということだ。
もちろん個人差・程度差はあるけれど。

確かに、精神の痛みは肉体の痛みと違って表面に現れにくい。
のたうち回ったり叫び声をあげたりすることは滅多にない。
しかも鬱な時間以外はまったく健常者と同じだから、
傍目に見てどこがおかしいかはさっぱり分からないだろう。

だから自殺した人は「弱かった」「逃げた」だのと言われる。

生きていられないほどの苦痛で息も絶えだえなのに、
「生きてれば楽しいことがいっぱいある」とか
「死ぬ気があったら何でもできるはず」などと、
恐ろしく無責任なことを平気で言える人がごまんといるのだ。

なぜ自殺するのかがまったく理解できてないから、
もっともらしい理屈で自殺を食い止められるという勘違いが蔓延る。
うつ病自殺7割が精神科を受診
http://www.j-cast.com/2010/05/04065729.html?p=2
この記事にもあるように、突然自殺する人は少ない。
自身の精神状態に危険を感じて精神科を訪れているのだ。
少なくとも身内ならその兆候に気づかないはずはない。

死にたくなるほどの痛みは何も肉体に限ったことではない、
という事実を理解することが自殺を防ぐ第一歩だと思う。


繰り返すが、自殺する人は弱いわけでも逃げたわけでもない。
痛みを想像できない人間に自殺云々を語って欲しくない。