ジャワ・パンナコッタの雑記帳 -3ページ目

ジャワ・パンナコッタの雑記帳

音楽(主にJazz)、書籍(主に歴史)、旅行などの感想を書きます。
2011年2月から約2年間、イギリスのリーズで派遣研究員として勉強したました。
イギリス生活のことや、旅行で訪れて撮りためた写真などを少しずつアップしていこうと思ってます。


Choose Your Weapon/Masterworks
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ジャズ関連の情報誌なんかでも取り上げられているけれど、実際聴いてみるとジャズというジャンルでくくれる音楽家かどうかはちょっと解らない。

個人的には、ゲームミュージックの影響を受けたプログレという感じがした。
そう。曲の途中で唐突に、目まぐるしくテンポが変わるこの感じ、まるでRPGをやっているかのよう。

考えてみたら、RPG(私の場合、思い浮かべるのはドラクエⅡだが)を遊んでいる時に聴いている音楽って、ゲームのシーンの変化に合わせて唐突に変わる。例えば、フィールドを歩いている最中に戦闘シーンに変わる際、メロディーが小節の途中だろうが、リズムの拍が表だろうが裏だろうが関係なく、唐突に戦闘用の音楽に切り替わってしまう。そして、戦闘用の音楽も、バトルが終われば唐突に終わる。僕らゲーム世代のゲーム音楽経験って、必ずそういうものだよね。

彼女らの音楽の展開って、それと同種の唐突さを感じる。たぶん、彼、彼女ら、ゲーマーなんじゃないかと(世代は私とだいぶ異なるが…)。

そういえば、東京ザヴィヌルバッハで使われているシーケンスソフト"M"も80年代後半のもの。まさにドラクエⅡと同世代。

Hiatus Kaiyoteと東京ザヴィヌルバッハ。意外と、両者は同じ認識を元に音楽を作っているのかも知れない。
UKの国民投票の結果については、いろいろと言われているし、その結果、世の中がどのように変わっていくかについては、これから時間とともに明らかになっていくのだろう。

ただ、今回の国民投票でUKの人たちが判断した本当のポイントは経済、EUに残る方が得か、損かではなかったのだと思う。
実際、残留派の政治家たちが、EUから離脱したらUKの被る経済損失がいかに大きいかを、いかに強調し、宣伝しても、それが大きな流れを生み出すことはできなかった。むしろ、脅しとして市民の反感を買った部分もあったようだ。

それよりも、本当の問題は自分たちの国の抱えている問題を考え、解決するための主権がEUに加盟した状態の今のUKには無い(と、多くの人たちが感じていた)ことが大きかった。
要するに、少し乱暴な言い方をすると、
「俺たちが欲しいのは金じゃねぇんだ。俺たちが直面している問題に対して、俺たち自身の考えで行動できる自由が欲しいんだ。」
ってことだったんだろう。

もちろん、俺たち=EU市民だったらこういう発想にはならない訳で、ずっと前にもちょっと書いたけど、究極的には政治統合を目指すということは、俺たち=EU市民という認識をみんなが共有することを理想とし、それを目指していたんだろうけど、現実にはそうはなれなかったということだろう。

で、事態はこれだけに終わらなそうなのは、この問題の根がとっても深いから。
というのも、ギリシャ問題からアラブの移民に至るここ数年の大きな困難にEUが直面するたびに、EUの中で「俺たちって誰たち?」という疑問に、実は、みんな直面してきた。直面せざるを得ない状況に追い込まれてきた。

今回は、歴史的にも大陸と距離のあったUKが最初に、「俺たち=EU市民ではない」ということに気付いてしまったに過ぎない。同じことが、これから、他の国でも起こっていくことは想像に難くない。ドイツ人はドイツ人であることよりもEU市民であることを優先できるのか?フランス人は?イタリア人は?デンマーク人は?ブルガリア人は?ギリシャ人は?
それからもう一つ、俺たち=EU市民でないとして、俺たちって誰たち?という疑問が解決したわけではない。普通に考えたら俺たちってUK市民?ってなるけど、これもわかんなくなっちゃった。一回、EUなんかに加盟しちゃって、UK市民であることが以前よりもちょっと希薄になっちゃったから。俺たち=スコティッシュでやっていこうとか、俺たち=ロンドンっ子でもいいんじゃないかとか、俺たち元々アイリッシュだぜ。だとか。この話、実はUKの中だけでなくて、スペインでもくすぶっているし、ベルギーやイタリアでも、変な火の付き方すると今後、どうなるかわからない。さすがに内戦にはならないと思うけど、最悪の最悪をいくと、かなりの政治的混乱を招き、ヨーロッパ全体がバルカン半島化する可能性もあると思う。

まぁ、そこまで極端ではなくても、EUが歴史的な大きな岐路にたったことは間違いないと思う。

余談だけど、もしここ数年でEUが直面した困難が、ギリシャの経済危機とか、哀れな難民の大量流入ではなくて、外部国家の加盟国への武力侵攻といった類のものであったならば、逆にEUの結束は強くなる方に作用して、こういうことにはならなかったんだろうな。皮肉なことに…。

Gently Disturbed/Sunny Side
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今更ですが、率直な感想。
Keith JarrettのStandards以降で最もスリリングでハイレベルなピアノトリオのアルバムだと思う。
ここで聴ける彼らの演奏は、掛け値なしにStandardsの最高峰レベルのモノに匹敵する。


歴史の決定的瞬間/白水社
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その人個人の、人類全体の、その後を左右する、神の気まぐれとしかいいようのない運命的な瞬間の物語を、最高の詩人が、最高の言葉を駆使して紡いだら・・・。

その、とびっきりの答えがここにある。


そう思えるのは、原文(ドイツ語?)の素晴らしさはいうに及ばず、辻氏の訳が素晴らしいからだろう。
5年ちょっと前にイギリスに留学させてもらい、異国でまぁ、羽を伸ばし、
さらに帰国してここ3年は過去の貯金ゆえ、自分のペースで仕事をこなせていた(と思っている)。
この3年間は、毎年、有給休暇をほぼ全て消化していたことが、私の密かな誇り。

が、そんな日々も今日で終わりそう。

4月1日付で異動になった。明日から、都心にお上りさん生活。
しかも、とっても忙しい部署(らしい、、、)。

ちなみに異動が決まってから、隣の部の部長さんからは、
「おまえ、次の部署ではちゃんと全力だせよぉ~。じゃないと、仕事まわっていかないぞぉ~」
と言われてしまった。

やべ、手抜いてたの、バレてたっぽい。。。

(3月も公私とも忙しかったとはいえ、)
この長い休暇がついに今日で終わるんだなぁ・・・。
という、せつない気持ちで、今はいっぱい。

ま、明日から、気持ちも新たに頑張ろう。
2015年は自分の人生の中で読点を打ったような一年だったのだと思う。
40にもなったし。

実際に40になるまでは思いもよらなかったが、いざ40になってみると、40になったという事実は結構大きく、意識の中で重くのしかかってきた。

確かに仕事においては、ちょっと意識改革というか、やり方を変えなければならない時期に来てはいるんだろうけど、未だ未練というか、踏ん切りをつけられていない自分がいる。一方でまぁそれならそれで、このままでもいいのかなという気もちょっとしている。

私生活ではガキんちょ達が元気に成長してくれているのが何より。子供なんて、親を踏み台にして大きくなるモノだよね。自分もそうだったんだろうし。一方で、親というのは子供のためなら進んで踏み台になれるものだ。というのも、自分が親になってみると良くわかる。


振り返ってみると、自分は昔から結構変なガキだった。中学の時に諸子百家を読み漁り、老荘思想にハマったりもした。なんか、悟りみたいなものを得たかったような気がする。完全に中二病だよね、当時はそんな言葉はなかったけど。

結局、自分は
解りたいという欲求に取りつかれた種の人間なのだと思う。自分の人生の中で人生の喜怒哀楽を存分に味わい、人生とはどういうモノか知り尽くしたい。別に万難を排して出世したいわけでもないし、金持ちになりたいわけでもない。
余談だけど、社会における長い競争においては、こういう欲求を猛烈に持っている人間と持っていない人間とでは、どうしても結果に差は生じてくるよね。実感として。ただ、今さらああいう生き方は自分には出来ないなとも思ってしまう。

要は、色んな分岐点を迎える年齢に差し掛かってきた中で、ここ数年は完璧に調和がとれていた、人生を味わうためのライフ・ワーク・バランスを今後もどうとり続けていくか。

問題の本質は、そこなのかなぁ…。

大晦日の夜、徒然なるまま、まとまりのない文章を。。。
「戦闘報告書」が語る日本中世の戦場/洋泉社
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武士たちが戦いでの功績を申告した「軍忠状」や「合戦注文」の資料を基に、戦場での死傷原因とその比率を調べ、当時の戦の本当の姿を明らかにしようとした書。

発想は非常に面白いのだが、結論は結構単純で、鉄砲が普及するまでは弓矢、鉄砲普及後は鉄砲が主で、刀による死傷例は圧倒的に少なかった。戦国初期には槍による死傷が若干増えてる(程度)。という話。

ただ、石による死傷がそれなりの割合を占めるもの興味深かった。

しかし、せっかくここまで調べているのだから、もう少し踏み込んだ考察が欲しいなぁ、と思ってしまう。
まぁ、著者はとても真面目で真っ当な研究者肌の人なのかもしれない。とも思う。
エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス)/講談社
¥価格不明
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この本、副題が悪いと思う。

これは、過去の天才たちが、どのようにアプローチし、もがき、真理を見出してきたのかを、ちょっと物語調で書かれた本。
もちろん、熱力学の概念や公式も述べられているが、初心者がこれを読んでも、統計熱力学は多分、解らない。

でも、少し熱力学とか物理化学に触れた事のある人が、さらっと読むにはとても面白い本だと思う。

フランス革命の混乱に少なからぬ影響を受けたカルノーの運命、ボルツマンの激情。
でも最後は、アメリカの田舎で、最も波乱と無縁の静かな(物書きが描くには最もつまらない)人生を送っていたギブスがすべてを持って行く皮肉。

一方で、熱力学の概念をできるだけ平易に書こうとする著者の努力は、ところどころ成功しつつ、ところどころ返って解りにくいという結果に終わっている気がする。

ただ、エンタルピーを内税表示とする例えは面白く、また、解りやすかった。
The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)/BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
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様々なサイトで評判が高かったので、購入。
デビューアルバム(自身名義という意味で…)なのにCD3組。大仰なタイトル&ジャケット。
並の新人じゃぁ出来んよな・・・。

と思いながら、聴いてみた。
で、感想。

70年代のスピリチュアル・ジャズとオーバーラップさせて語っているレビューもいくつか見かけたし、確かにそういう風なトラックもあるのだが、この音楽がスピリチュアル・ジャズかというと、違うと思う。
3枚目なんかは特に、モータウン・ミュージックっぽい演奏が多いし、むしろそういったトラックでは、むしろ70年代のローランド・カークの音楽とイメージが重なる。まぁ、そういうライトな曲の後に"Malcolm's Theme”なんかをやっていて、今のご時世に、ここでその歌詞を持ってくるんだ。と思って、ちょっとギョッともさせられた。

そんな訳で、彼なりのルーツ探しの成果(それは、どうやら70年代のブラック・ミュージックなのだろうけど・・・)、それを”今の音楽”として昇華した結果がこのアルバムで繰り広げられる一連の音楽なのだと思う。

いや、評判になるだけあって、とても面白かった。しばらくハマること確実だと思う。


が、同時に一方で、なんかある種の”騙されている感”、”胡散臭さ”を感じざるを得ないのもまた事実。この感覚、個人的にはre:plusの音楽を聴いた時の感覚に近い。

(以下、余談)
ちなみに、re:plusは静岡のJazzy-Hip Hopのユニットで、彼(等?)の楽曲はJazzy-Hip Hopの大ヒットコンピ「In Ya Mellow Tone」でも良く取り上げられている。
私がこの人(達?)を知ったのは、ネットで"Jazz" "Hip Hop"で検索した時に「彼女が家に遊びに来た時にこれ流しとけばOKなJazzy-Hip Hop集」というページにたどり着いたのがきっかけ。既に既婚&子持のいい年こいたオッサンが、”彼女が家に遊びに来た時”のためにBGMなんて用意しておく必要はさらさらないのだが、その中の
re:plusを気に入って聴くようになった。re:plusの作るメロディーは本当に美しい。
なお、「In Ya Mellow Tone」の小冊子で主催者のインタビュー記事を読んだのだが、彼らはそもそも「本来、プロテストミュージックであるHip Hopを日本人の俺らがやろうとした時に、平和でモノも豊かなこの国で、そもそも切実な不満を持つことに無理がある。だったら逆に、反抗すべき対象を持てない日本人しか作れないHip Hopがあるはずだ」(←たしかこんな内容) という意識の基にコンピを作ったのだそうな。だとすれば、彼らの音楽が”彼女が家に遊びに来た時”に使用されるのは100%本位にかなっているといえよう。
(以上、余談)

我ながら、何で
re:plusの音楽を連想したのか、今でも完全に説明しきる自信はないのだが、一つはKamasi Washingtonの音楽も、根っこのところでHip-Hop的にComposeされた音楽だからだと思う。まぁ、それは否定的にとらえなくてもいいだろう。今やJazzとHip Hopはさほど距離のある音楽ではないし、このアルバムの響きの新しさは、その部分によっているところも大きい。
一方で、”
胡散臭さ”は”自分探し”という作業の結果故なんだろうなぁと思う。”自分探し”の結果、表現される”自分”は100%生身の自分ではなくて、FacebookみたいなSNSの中で表現される”自分”。どこかで、”自分はこういう人間なんですよ”と表現したい自分を、自分で作りあげた上で表現している”自分”。そういう部分って私も含め、今の情報社会の中で生きている人間が誰しもやっていることだし、それがこの音楽の”今っぽさ”の源になっているのだから、私も頭ごなしに否定する気はない。それが”今”なのだ。でも同時に、この”作り上げた自分”を表現する音楽という点で、"彼女が家に遊びに来た時"のための音楽と近いものと感じ、それが胡散臭さ”へと繋がったのかもしれない。


ついでながら、このアルバムを聴いた後、同時に買った別のアルバムを次に聴いた。

カミン・ユア・ウェイ/ユニバーサル ミュージック
¥1,620
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どちらが良い音楽かという比較は無意味だが、やはりこれは、”自分探し”が必要なかった時代、ある意味とても幸せだった時代の音楽だよね。
今日から歩ける!超入門 山城へGO!/学研パブリッシング
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”城メグリスト”萩原氏と”ナワバリスト”西股氏の共著。
まぁ城と言っても、本書で取り上げられているのは姫路城や熊本城のような超弩級の有名なお城ではなくて、まぁ、好きな人でなければまず知らない、好きであっても超マニアでなければほとんど知らない山城がほとんど。

そんな山城めぐりもホント、楽しいから、みんなも行ってみなよ~~。といった感じの入門書。

ノリは非常に軽いが、城の構造に関するさりげない言及の中に、彼女らの深い理解と鋭い洞察力を感じる(特に西股氏は専門家だけあって非常に鋭い)。しかも、読み進んでいくにしたがって、城構造の地域性や、武田氏と北条氏、織豊系の城の構造の特徴みたいなものにも言及されていく。

ニワカではない2人が自らの足と目で積み上げた経験があって初めて書ける内容。お勧め。

あぁ、城廻してぇ~~~。