水面に映った蓮の花のおはなし | 長いものは巻いちゃえ(•∀•) 〜帯もパスタも人生も、自分で巻けばちょうどいい

長いものは巻いちゃえ(•∀•) 〜帯もパスタも人生も、自分で巻けばちょうどいい

煩悩まみれのROCKな尼僧の徒然を
思いつくまま書いとります

世の中にある色んな長いもの
巻かれちゃうと苦しいからね
自分に丁度いいように、自分で巻いてこーぜ(•∀•)

2018年3月5日に
この世に生まれて咲いたおはなし

どんな汚いところにいても
自分の良さはわからなくても

あなたは
泥の中ですっくと立ち、凛と咲く
一輪の蓮の花



〜〜〜〜〜〜





蓮は泥の池に芽吹き
汚い水を
これでもかと飲んできました

そして
そこで根を張り、咲きました



花盛りの蓮は
泥の池を見て思います

こんな泥水の中で咲くのだから
どれだけ汚い花なんだろう?

最初から汚れてる花…
そんなものに
何の価値があるというのか


そんな境遇を呪って生きて

汚い花としてしか生きられないなら
花である事をやめることにしました

もう
「ただの汚い何か」
それだけの存在として生きました


何で生きたかって?

死ねなかった
ただそれだけです



ある穏やかな日

泥水の水面に
とても綺麗な花が映っているのに気づきます

どこのお花だろう?

周りを見ても
それらしき花はありません

蓮は汚れすぎて
悲しいかな
近くにあるはずの
その、美しい花さえ
見えなくなってしまったみたいです


あれは、水面に映る
幻なのかもしれないね

自分がそうだったらいいのにという
夢が見せる幻


でも、どうやらその花を愛でている
人間がたくさんいます

聞こえてくる話によると
やっぱり、あの花は
実際に咲いているようです



そこでちょうどやってきた
アメンボに訊いてみました

「あの綺麗なお花はどこに咲いてるの?」

アメンボは
「はあ?そこに咲いてるじゃん」
と、不思議そうな顔をして
どこかへ行ってしまいました

どんなに辺りを見回しても
やっぱり、それらしい花は咲いていません

水面には
あんなにハッキリ映っているのに



泳いで横を通り過ぎる鯉が
いつも綺麗な花を褒めるので
思い切って訊いてみました

「ねぇ、その綺麗な花とやらは
いったいどこに咲いてるの?
自分には
水に映ったのしか見えないんだけど」

やっぱり鯉も
不思議そうな顔をします

「何を言ってるの?
それは、君じゃないか」


そんな訳あるわけないでしょう
どれだけ
泥水に浸かってきたと思ってるのよ?
だから、花である事をやめたのに

蓮は一生懸命 
いかに自分が汚い存在なのかを
鯉に説明します


鯉は
「わかった、わかったよ」
と、泳いでいきました



鯉はお世辞を言ってくれたけど
もし、そうなら
どれだけ素晴らしいだろう

こんな泥水の中で
あんなに綺麗な花を咲かせるなんて
そんな存在になれたら
どれだけ素晴らしいだろう

それに比べて自分は
なんて汚い存在なんだろう…



カエルが蓮の葉っぱの上で
休ませてくれとやってきました

そしてあろうことか
休ませてあげている蓮の葉っぱの上で
綺麗な花を褒めるのです

蓮はもう耐えきれずに泣きました

汚い自分の恨みつらみを
カエルに向かって吐き出しました


カエルは優しく声をかけます
「お願いだから話を聞いて」

「ぼくが君の葉っぱ上にいるのは見えるかい?」

うん、見えるよ

「綺麗な花の葉っぱをよく見て
何か乗っているだろう」

うん、カエルが
あなたが乗っているね

「ぼくが乗っているのは
誰の葉っぱだい?」

私の…葉っぱ

「君がどんなに否定しても
あの綺麗な花は、君だよ
だからほら
ぼくが飛び込むと
あっちのカエルも飛び込むよ」

そう言ってカエルは
池に飛び込んで泳いでいきました



蓮は、まだ納得がいきません
でも、カエルの理屈は通っています

綺麗な花の葉っぱのカエルは
確かに
自分の葉っぱのカエルでした



蓮の花びらが
1枚落ちました

それは真っ白な
とても美しい花びらで

驚いて綺麗な花を見てみると
自分と同じ場所の花びらが
1枚なくなっていました

ようやく、蓮は受け入れます

あの綺麗な花の正体を


そして蓮は決心しました

蓮の「花」として
散っていこうと






墨描画家の小島 香さんが
このお話を絵にしてくれました


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たくさんの蓮の花が咲きますように