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もし、アメリカの「トランプ大統領」を日本語で言えと言われたならば、
あなたならどうしますか?

トランプの語源は、カードゲームの「切り札」という意味らしい。
そうなのかぁ。
アメリカの「切り札大統領」?

どうも、変だな。

カードゲームの「トランプ」は明治時代は「西洋かるた」と呼んでいたらしい。
アメリカの「西洋かるた大統領」?

これまた、変。

やはり、アメリカの「トランプ大統領」でいい。
わざわざ、アメリカの「とらんぷ大統領」と書きますか?
カタカナでいいですよね?

カタカナは、外国の言葉を表記するのに便利です。
(他の使い方もあるでしょうが)

では、次の例ではどうでしょうか?

あるIT企業の会社紹介。
当社は、アジャイル開発をベースに、スクラムを導入し、DevOpsを実践することで、
スピーディーかつ柔軟なシステム開発をクライアントに提供しています。
また、ビッグデータ分析やAIを活用したソリューションも提供しており、
イノベーションを追求しています。
KPIを設定し、PDCAサイクルを回しながら、
継続的にパフォーマンスをモニタリングし、改善に取り組んでいます。
コンプライアンスを重視し、セキュリティ対策も万全です。


あまりにも「IT業界」過ぎますね。
いったい、何を語っているのでしょうね?

わからないですよね?
カタカナ言葉を可能なかぎり、表現を変えてみましょう。

あるIT企業の会社紹介。
当社は、「変化に柔軟に対応できる開発手法」を土台に、
その「枠組み的手法」を導入し、「開発と運用を連携」を実践することで、
迅速かつ柔軟なシステム開発を顧客に提供しています。
また、「大量のデータ分析」や「人工知能を活用した解決策」も提供しており、
「新しい価値の創造」を追求しています。
「重要業績評価指標」を設定し、「業務改善」のための「計画〜実行〜評価〜改善)の4段階」を繰り返しながら、
絶え間なく状況を監視し、改善に取り組んでいます。
「法令遵守」を重視し、安全対策も万全です。


こうすれば、他の業種であっても、製造・生産現場を知る経験豊かな方々には通じる可能性は出てきますね?

トランプ大統領の例と、さきほどのIT企業の会社紹介の違いは
カタカナで表している言葉が、広く世間一般に認知されているかどうか?
だと思います。

カタカナ言葉の誤用

いつだったか、誰だったか、すっかり忘れましたけど
「アジェンダ」を誤用してた政治家の人って、いませんでしたか?

確か、その人は「アジェンダ」を「政策課題」という意味に使っていたかと記憶しています。

「アジェンダ」の正しい意味は、
これから話し合う議題についての予定表で、
事前に日時・場所とともに通知・告知するもの。
単純に議題という意味ではありません。

その言葉の背景にある真意を理解しないで「カタカナ言葉」で流用するのは、如何なものか?

賛同と批判で有名になった参政党の「日本人ファースト」。
トランプ大統領は「アメリカ人ファースト」と言いましたか?
「アメリカ・ファースト」と言ったのではありませんか?

トランプ大統領はアメリカの製造業、生産能力を取り戻すため、
そして、アメリカの製造現場、生産の仕事に従事する人達を大切にしたい。
そうすることで、アメリカを強くしたい。
そういう主張だと、私は理解しています。
だから「アメリカ・ファースト」であり「Make America Great Again」なのでしょう。

参政党が言った「日本人ファースト」の最大の失敗は
「日本人」という人に対して「ファースト」という言葉を流用したことではないか?
私は、そう思うのです。

「ファースト」という言葉を人(人達: 英語で People)に向けてしまった。
当然、排外主義だの、差別主義だのの批判が出ます。

* 参政党が選挙の時に「日本人ファースト」という言葉を使ったのは
参政党内で「何かいいキャッチ・フレーズはないか」とアンケートを取った結果で
この言葉を使うことにした。
参政党の主張は排外主義・差別主義ではなく「半グローバリズム」だとしている。
そして、党内の根拠に基づかない発言をする党員には注意している。

 

 

本来ならば、「日本本位」とでも言えばよかったのかも知れません。
それでは、相手(聴衆)に対する強い印象が残らないかも知れなかったでしょう。

そこは、何とも言えません。
有る意味、カタカナの良くない意味での「便利な使い方」の例かも知れません。

トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」は、彼が大統領に立候補する、ずっと以前から
彼自身のアメリカの現状を言っていたもので、
やっと、あの年齢になって初めて公言した言葉だと理解しています。
軽々しくトランプ大統領の言葉をカタカナ言葉で流用するよりも
トランプ大統領の言葉の裏にある背景を理解しないと、
そりゃ、大変な誤解を生み出すことになります。

これは、アメリカの話しです。
日本には日本の事情があり、当然、アメリカとは違います。
選挙時のキャッチ・フレーズを考えるならば
もっと創造性を発揮して「日本だからこそ」と言えるキャッチ・フレーズを考えて欲しいものです。

さて、小難しい話は、ここまでにしておいて
休憩しましょう。

日本って、こんなに素敵なんだよ。こんなにカッコいいんだよと思えるような曲を
お送りします。

菅井えり - Hounen Bushi(豊年節)