くれぐれも、日本のデジタル庁と
台湾のデジタル行政を比較しないで欲しいのです。

両者のデジタル化の意味は全く異なります。
従って、比較対象には成りえません。
言い換えれば、単純に比較するだけでは
それぞれの本質が見えてきません。

  ・台湾のデジタル行政は広く開かれたコミュニケーションが
   テーマであり、そのことは「デジタル民主主義」という
   言葉に象徴されています。

  ・日本のデジタル庁は、手続きの簡素化と利便性がテーマです。
   これは今から40年前から存在するテーマです。
   主として、IBMユーザーの企業では 40年前から行われていました。
   それを現在の環境(インターネット環境)でやろうとしています。
   各(全)自治体を巻き込む話ですので、
   データフォーマットの統一であるとか、
   現場での作業プロセスの改善などがこの事業の条件になります。
   概して、地味な作業です。

   平井大臣の発言で、
   『すべての行政手続きがスマートフォンで60秒以内にできる』

    ことを目指す
   というのは、それはそれでいいと思います。
   問題は各自治体がそのように対応できるかどうか?
   なのだと思います。

   例えば、初期のコロナ禍で感染状況が各自治体によって
   リアルタイムに公開されたでしょうか?
   公開するための“締め時刻”がありました。
   何故、人々が不安に怯えている時に
   リアルタイムであることが、大切だとは思えなかったのでしょうか?
   今でも兵庫県の感染者状況のオープンデータは
   2〜3日遅れです。常に最新は、ありません。

長い前置きになりました。


今回、ご紹介するのはオードリータン(台湾デジタル大臣、以下タン氏)のオタクな話。
タン氏のインタビューは数あれど、本当にテクニカルな話は探すの困難です。
ひとつだけ見つけました。

ニュースメデイア:https://increment.com/

   increment.com

   2017年4月から2021年11月にかけて、Incrementは、
   COBOLからAPI設計まで、システムのスケーリングから開発者とユーザー双方の
   体験を向上させる考え方や実践まで、開発者コミュニティによる、
   開発者コミュニティのための250以上のストーリーを掲載しました。
   ストライプ内のコアチームは、400人以上のエンジニア、編集者、ライター、
   イラストレーターなどと協力し、オンコールやインシデント対応のあり方を

   検証した創刊号から、
   ソフトウェア企画の重要性、影響、進化し続ける実践を探求した最終号まで、
   19号を作成・配布しました。

その中に、ありました。


Case study: Launching an open government platform in Taiwan
ケーススタディ:台湾でオープンな政府プラットフォームを立ち上げる

 

 


2016年、国民党政権から民主進歩党政権に変わった時、
日本ではあり得ないことですが、
タン氏は国民党政権と民主進歩党政権の両方でデジタル化の要であり続けています。
 


(長文につき要点だけをピックアップ)

2016年からのタン氏は、
「オープンな政府プラットフォーム」を着手しました。

当時、タン氏は FedoraCore を使っていました。
その時の最新であれば、

  Fedora Workstation 24
  Fedora Server 24
  kernel 4.5

その頃の Linux Kernel は、Linux Container(*) に対応していなかった。

  (*)Linux Container
   https://www.redhat.com/en/topics/containers/whats-a-linux-container

  仮想化のようで、非なるもの。
  オペレーティングシステム・カーネルを共有し、
  アプリケーション・プロセスをシステムの他の部分から独立させる。
  アプリケーションを煩わしい作業なしに、コンテナを本稼働へと移行できる。

そのためにタン氏は、kernel の再コンパイルをし、
Linux Container が使える環境
を作りました。

次に、Sandstorm(オープンソースプラットフォーム)をインストールしました。

  タン氏は既に、Sandstorm の開発プロジェクトに参加しており
  Sandstormのアプリケーションの一つ EtherCalc(オンラインの表計算)の
  メンテナンスを担当していました。

  Sandstorm の主要開発者 Kenton Varda
  Cloudflare, Inc. の共同経営者でした。
  タン氏は、2014年以来、Cloudflare, Inc. に
  多額の寄付(経済的な開発支援)を行っていました。

  なので、Cloudflare, Inc.が資金調達に失敗し
  その経営が危ぶまれた時も
  タン氏は、Kenton Varda から Sandstorm の
  アップデートを続ける
ことができました。

  いまは、Sandstorm は Open Source として公開・配布されてます。

  https://sandstorm.io/
  オープンソースのウェブアプリケーションを
  セルフホスティングするためのオープンソースプラットフォームです。
  Chat、フアイル共有、プロジェクト・マネージメント、文書編集などが

  含まれています。


次にタン氏は、セキュリテイー・チェックを行います。
セキュリテイー・チェックを「DEVCORE Co.、Ltd」に“6ヶ月間”依頼しました。
それは、セキュリテイー・チェックに合格しました。

  DEVCORE Co.、Ltd
  台湾の台北に本社を置く「アクティブアタック」情報セキュリティ会社。
  Cyber Red Team in Taiwan

  https://devco.re/en/

参考文献

・台湾の情報セキュリティの強さは国際的なプレーヤーで有名です
 才能は偶然ではありません。
 https://www.cna.com.tw/news/ait/202103280017.aspx

・さまざまな考え方を持つホワイトハットハッカーであるOrangeは、
 Microsoftの脆弱性を掘り起こすプロセス全体を詳しく説明しています。
 https://ec.ltn.com.tw/article/breakingnews/3473082

・最初にMicrosoftのバグを発見しましたが、ハッキングの嵐に巻き込まれました。
 DavCoreはどのような「攻撃的な」セキュリティサービスを販売していますか?。
 https://www.bnext.com.tw/article/61789/devcore-microsoft-hacker-information-security?

・DEVCOREは、ホワイトハットハッキングの最高のホールである
 Pwn2Ownコンペティションで準優勝しました。
 https://money.udn.com/money/story/10860/5888630

・ハッキングミッションを終了し、情報セキュリティ戦場での
 DEVCOREの血なまぐさい戦いについて書く。デジタル時代。
 https://www.bnext.com.tw/article/48871/devcore-red-team-assessment

・科学技術の新しいビジョン|ビジネス状況。
 https://money.udn.com/money/story/10860/5654079

・情報セキュリティ業界で2度目のオスカー受賞!Dave Coleは、Microsoftのバグを発見し、
 Best Server VulnerabilityAwardを受賞しました。
 https://www.bnext.com.tw/article/64328/devcore-pwnie-awards-2021

・「台湾を支援するために大きな仕事をしたい!」ホワイトハットハッカーとして働いている
 4人の男性が、Microsoftのサーバーに脆弱性を発見しました。
 https://www.businesstoday.com.tw/article/category/183015/post/202104280005/


コンテナ化およびサンドボックス化されたアプリを使用すると、
悪意のあるアプリやバグで埋め尽くされたアプリが残りのアプリに影響を与えることはなく、
サーバーへの攻撃が難しくなります。

これらのコンテナ対応機能は、
タン氏が目の前の巨大なプロジェクトに取り組むために必要なものでした。
デジタル大臣として、タン氏は政府の進行中の作業に関する最新情報を共有し、
政策問題について一般市民と積極的に関与するための
オンラインプラットフォームの作成を任されました。(*)
目標は、透明性、説明責任、および公務員と

彼らが奉仕する人々との間の開かれた対話の信条
に基づいて構築されたデジタル民主主義の時代に

国を動かすのを助けることでした。
この目的のために開発されたプラットフォームは、侵入に対して安全であり、
この仮想民主的な実験を強化するのに十分な堅牢性を備えている必要がありました。
サンドストームは法案に合うように見えました。

  (*)オンラインプラットフォームの作成を任されました。
   オンラインプラットフォームを提案したのが、他ならぬ
   国民党政権のデジタル大臣

  「蔡 玉玲(カイユリン、ジャクリーン・ツァイ )」です。
   思えば、蔡 玉玲氏は、偉大な finder(発見者)であることに気がつきます。
   と同時に、熱いため息が出ます。

その成果として、2016年10月に vTaiwan が誕生しました。
(恐ろしいくらいに、成果が早いのに驚きます!)

 

 

 


私たちは社会としてどこへ行くのでしょうか?

一緒に考えて働きましょう。

vTaiwanは、政府省庁、選出された代表者、学者、専門家、ビジネスリーダー、
市民社会組織、市民が一堂に会するオンラインオフラインの協議プロセスです。
このプロセスは、議員がより正当性の高い決定を実施するのに役立ちます。
ウェブサイト( vtaiwan.tw)、会議とハッカソンの組み合わせ、相談プロセスなど、
さまざまなタッチポイントがあります。
vTaiwanはオープンスペースでもあり、
持ち込まれたケースに取り組むために参加者が実行する時間とスペースの組み合わせです。

私たちにできること

オープンプロジェクトとして、vTaiwanは、法律家、公務員、開発者、デザイナー、
作家、研究者、ジャーナリスト、映画製作者など、さまざまな分野の人々を魅了しています。
したがって、私たちはさまざまな方法でスキルを提供します。
これは、vTaiwanの貢献者が行ってきたことのリストです。
先に進んで、あなたがどのように貢献したいかを見てください。

    ・すべてのコードを書く
  ・小さな箱を積み重ねる
  ・本やものを読む
  ・コーヒーをたくさん飲む
  ・いくつかの問題を作成する
  ・みんなとチャット
  ・ハッカソン会場を予約する
  ・利害関係者を発見する
  ・開いている辞書をコンパイルする
  ・興味を示す
  ・共有ドキュメントを編集する
  ・多くの質問をする
  ・素晴らしい写真を撮る
  ・ケーキを仕上げる

いくつかの成果

2018年2月末までに、vTaiwanプロセスを通じて26件の訴訟が議論され、
そのうちの80%が何らかの決定的な政府の行動につながっています。

(そして現在)

開かれた政府のプラットフォームを構成するツールは、

論争の的となる問題について、全会一致ではなく、

大まかなコンセンサスを求めるために、

政治的およびイデオロギー的な分裂を越えて

到達することを目的としています。
これには課題がないわけではありません。
台湾は、インターネット全体を悩ませているのと同じ

偽情報や誤報キャンペーンに直面しており、
政治的二極化にも取り組んでいます。
ただし、このアイデアは、

一連のオープンソースツールを使用して正確な情報を共有し、
公務員とその構成員の間で新しい言説を可能にすることです。

たとえば、COVID-19のパンデミックの際、タン氏は、
全国の薬局が在庫しているマスクの数に関する

入手可能なデータに基づいて
マスク配給システムを構築することを提案し、
オープンAPIを使用してこのデータを公開しました。
これに応えて、市民ハッカーは140以上の

アプリを作成しました。
これには、どの薬局に供給があるかを示すリアルタイムマップや、
誤った情報に対抗するためのファクトチェックサービスが含まれます。
さらに、政府は市民からのフィードバックを募ることで、

薬局へのアクセスが不足している人々に届くように

コンビニエンスストアへのマスク配布を拡大するなど、

政策を改善することができました。

「民主主義は、まだ進化している生きた社会技術です。」

台湾は、民主主義を推進するためにテクノロジーを使用することになると、
当然の利点があります。
「[国]は非常に緊密に拘束されているため、

 市民の法律やソーシャルメディアには
 多くの革新があります」とタン氏は言います。
「ほとんどすべての人がオンラインであり、
 誰もが多かれ少なかれ同じ言語を理解しているので、
 アイデアを広めるのは非常に簡単です。」
台湾も市民の参加が多い国です。2,300万人の国で、
Joinプラットフォームだけでも1,000万人を

はるかに超える訪問者がいます。

このように、安全なオープンソースソフトウェアにより、
台湾の公務員と市民ハッカーは、政府のプロセスにおける
透明性、包括的参加、および説明責任を促進するツールの作成に

協力することができました。
このように、フリーソフトウェアは

政府と市民の間のギャップを埋めるのに役立っています。

タン氏が行ったように、
政府が有望なソフトウェアプロジェクトに投資する

強いインセンティブがあります。
「今では、ITインフラストラクチャだけでなく、
 民主主義インフラストラクチャの一部になっています」

とタン氏は言います。

(ここまで)

(後記)
いやー、正直。
この種の話を、わかりやすく説明するのは
非常に難しかったです。(実感)

わかりにくい記事であれば、

それは、私の不徳とするところです。

ブログ記事を書くのに、こんなに頭を痛めたことは
いままで無かったですね。
これらの本文が少しでも、たくさんの方々に届いて
理解されることを願っています。


さて、一休み、休憩しましょう。
お送りする動画は、

オーストロネシア語族紹介-サイシャット族-台湾

現在の台湾は、その殆どが中国大陸から移住してきた
外省人と呼ばれる漢民族の人たちです。
台湾の先住民族は、

太平洋からやってきたポリネシア系の人たちのようです。
一説には、オーストラリア先住民アボリジナルとの

関連性も論じられています。
つまり、元来、台湾は中国ではない。

中国の一部だとする主張には、無理があるように思えます。

そのうちに「台湾の土を掘れば、中国の物が出てくる」
などと、アホなことを言い出すのでしょうかねえ。
かつて、兵庫ゆかりの作家「島尾敏夫」が唱えた
「ヤポネシア論」
日本の歴史を語る場合、中国大陸をとおして語ることが多いが
ひょっとして、日本人は太平洋からやってきたのではないか?
という発想(理論ではない)のこと。
これと台湾が、妙に重なりますね。

Austronesian Language Introduction - Saisiyat Tribe - Taiwan