昔から人には「外に表すタイプ」「表さないタイプ」がある。
バンドのメンバーの表情を拝見させていただいても
それは、確かに感じる。
でも、その事は「真剣に今取り組んでいる」事としては
両者には隔たりは存在しない。

この日のヒーローズは何か違っていた。
ステージで語られた「今日は牢名主は居ませんが」。

それは確かに肌身に感じた。
この夜のヒーローズは不思議な位に「伸び伸び」した印象の演奏であった。

この夜の一方のサプライズは
ギター.ボーカルの本田陽一氏(通称陽ちゃん)。
ショートカット気味のヘアーと、今まで印象的だった顎鬚を剃り落とし
黒を基調としたコスチュームで
ステージ中央に位置し、リード.ボーカルを務めた。
2012/11/7のチキンジョージ.ライブに比べて
声が太くなっていた。見た目に若返って

うん、あの人にそっくり。
髭を剃り落とした時の、The Band の ロビー.ロバートソン。
ちょうど、そんな感じだった。
ギターを持つ腕は筋肉質で太い。
がっしりとギターを構える。隙が無い。

ぐいぐいとボーカルとギターでバンドを疾走させる。
陽ちゃんがまさに「ロックンロール.ヒーロー」的な印象を観客に与えていたことだった。

その陽ちゃんが次の曲をアナウンス。「Music Communication」
「この曲は僕には歌えません。」
殆どインストゥルメンタル状態の演奏。
でも、しんみり悲しみは無かった。
ヒーローズのあり得ない程の美しい演奏と
陽ちゃんと井上ひとみさんのこれまたあり得ない程の美しいハーモニーが
観客の私達の心を和ませてくれた。

このライブ.レポートで観客席側の様子を是非ともお伝えしなくてはならない。
ヒーローズのライブって、本当に凄いんです。
それは、観客席のオーディエンスの年齢層の広さなんです。
若い年代から高齢者と思われる年代(*)までが
ライブ.ハウスでみんな一緒なんです。
ロック.ファンから普段はロック以外の音楽が好みかも知れない方まで。

* 私は後2ヶ月程で 59歳になりますが、
  ヒーローズのライブで私よりもご高齢と見受けられる方々は
  少なくはありません。
  蛇足ながら補足説明させていただきますと、
  私を含めて私以上の年齢の観客は、ヘッドバンギングはしていません。
  というか、たとえやりたくてもそんな事したら
  頸椎を痛めかねません。でも心の中ではヘッドバンギングしてたんですよ。私は。

そういう私も、実際は休日のプライベートでは ブルーグラスや カントリー音楽が殆どです。
ロックのライブは「ヒーローズだけ状態」です。
要するにこのレポートを書いている私も「ロック」は余り詳しくは無いんです。
私的にはロック.ライブは、Live-bar 神港工務店だけでした。

激しく疾走するロックを体で受け止めていたのは、
実は通称ロック.ファンと呼ばれる以外の人達もたくさんいらしたのです。
素敵な出来事だと思います。
老若男女に関わらず、誰もが自分らしく「ヒーローズ」を楽しめた夜だったのです。

さて、「Music Communication」の演奏の次は
「神戸のヒーロー、逸話」コーナー。
バックで演奏された曲は「Wai、Wai」。
メンバー紹介のための曲。

ここで、ギタリスト「堤(弟)」通称タッくんのギターが冴える。
1960年代のソウル.ミュージックを
ラジオ(例えばラジオ関西とか)で聞いた事のある年代の人であれば、絶対に感激!
ワウとあのコード.カッティング。血が逆流しそうな位
ダンサブルでクレージーなリズム。そんなサウンドが生で体感できる!
年期を感じさせられる。昭和30年代生まれの人だったら、「感じる事」間違い無し。
改めて、ヒーローズっていいなぁと思う瞬間。

ヒーローズ、メンバーがそれぞれメンバー紹介と共に「神戸のヒーロー」の逸話を紹介する。
しかし、亡くなった人の事を「懐かしげに」ちょっと落としながらも
「楽しげに」話せるヒーローズ。
いい人達だなぁ、って思った。
ステージと観客席が一体になって大声で笑った時間。

さて、ここでの聞き場はキーボードの玉置さん。
「ヒーローのお通夜の次の日。仕事があったので・・・葬儀には参列できない。
 そう、この夜にきちっとお別れをしておこう。ズブ濡れの雨の日に。
 あれっ、このシチュエーションやったら ええ曲作れるのと違うかな。
 ミュージシャンって、いやらしいでしょ。こんな場面でこんな事思ってしまうんです。」
玉置さんのトークって、「ヒーロー&ヒーローズ.ライブ」では
あまり聞いたことが無かったです。
玉置さんが、またまたトークで会場を沸かせる。笑いが巻き起こる。

この玉置さんのトークの後が、サプライズ。
その問題の夜に作られた「夜のキラキラ星」。
玉置さんの笑いのトークがあってよかった。
それくらいに、透明感が高くてで情感豊かな曲。
ボーカルは井上ひとみさん。ひとみさん、この夜凄いパーフォマンスです。
間違い無く私の心に焼き付けられました。
本当に2013/11/8 ならではの数々の驚きと感動を与えていただきました。
素敵な歌声をありがとうございます。

ライブの音楽に思いを寄せる。思いに耽る。
そんなつかの間も無く、陽ちゃんのアナウンスでヒーローズは
またもやロックに疾走する体制に戻る。
次の曲名の紹介を聞いた時
生前の神戸のヒーローの、あのだみ声「さあ、ライブや!ライブや!」っていう
掛け声を思い出した!

さあ、ヒーローズと言えば・・・これでしょ。何をおいても。
またまたサプライズ。この夜のヒーローズはとにかくサプライズの連続なのです。
という所で、次回「ヒーローズ、2013/11/8 神戸ウインターランド ライブ」お楽しみに。
では。