井上ひとみさんの美しい独唱「生き様」にのっけから脳天を一撃された。
正直、この曲にもう少し酔いしれたかった。

そんな思いもつかの間。
容赦無用の、焼け付くような音色のハープのソロが始まった。
良太のハープ。こんなラウドで激しいハープを私の今までの生涯で
いまだかつて聞いたことがない。

ここで今ひとつ解説しておかなければならない。
ミュージシャンの最高のライブはその時に実現しえた
身体(肉体)と音楽の一体化にあると思う。
沖縄のコンディション.グリーンのギタリスト「シンキ」の評価が
現在もなお高いのはその点にあると思う。

この日の本田陽一(通称陽ちゃん)は何か雰囲気が違っていた。
真の意味で音楽と一体になる、そんな不思議な雰囲気を感じさせていた。

2曲目は「田舎列車」。
ヒーローが三重県の末娘に会いにいった時のエピソードを曲にした。
実はヒーローは離婚し末娘の百ちゃんは母方の三重県に引き取られた。
肉親を思う気持ちは誰もが理解できる。実は悲しい歌なんだ。

この曲はヒーローズのナンバーの中ではアコースティク.ギターが印象的な
どちらかち言えばカントリー.ロック的な曲だが
この日は違っていた。

ロック以外の何物でも無い。
ヒーローズのサプライズは2曲目にも現れた。
妙な話ではあるが「憑き物」が取れたような
瑞々しい、それでいて激しくロックする。
そう、ヒーローズはロック以外の何物でもない。
そんなステージが目前で走りだした。