昨日(4/9)にポリーニのコンサートに行ってきました。

マウリツィオ・ポリーニは、1960年のショパンコンクール優勝者で、それから現在に至るまで常にピアニストのトップクラスに君臨してきた、まさにピアノ界のレジェンドです。私は、昔からぜひ一度は生のポリーニを聴いてみたいと切望しておりましたが、折り悪く実現できないまま今日に至っていました。今回も、ポリーニ来日のニュースを見落としており、直前になって知ったので、チケットはあきらめていました。しかし、調べてみると、ステージ近くのエリアで、なんとただ一席だけ残っていたのです。幸運でした。

ポリーニは現在74歳。若い頃のように超人的技巧の演奏はできなくなったと言われています。確かに若い頃の演奏を期待することは無理です。ミスタッチもあるでしょう。
でも、私は、生ポリーニを体験できればそれだけで幸せなんです。生の演奏には、CD録音にないもの、例えば、演奏者が醸し出す雰囲気、臨場感があります。一度、生を聴いた後でその人のCDを聴くと、それまで感じられなかった味わいが出てくるように思います。ミーハーと言われるかもしれませんが、その人がいる空間に共存しているだけで満足なんです。まして、なんといってもポリーニですよ!

だいぶ前になりますが、大ピアニストだったウラディミール・ホロヴィッツが来日した時、コンサートに行かなかったことは、私の最大級の悔しい出来事です。ですから、ポリーニはぜひ生で聞きたかったのです。

さて、演目は、ショパンとドビッシーの曲からなる構成でした。十分満足したのですが、最後にアンコールで演奏したのが、ショパンのバラード1番!コンサートのプログラムに入れられる事も多い名曲です。たぶん、疲れていたと思いますが、ポリーニの熱演に感動してしまいました。コンサートに来ていたのは、もちろんポリーニのファンが多かったと思いますが、最後には、たくさんの人々がスタンディングオベーションでポリーニを讃えていました。私もとても幸せな気持ちで帰路につきました。

実は、私にはクラシック音楽についていろいろ教えてもらっていた友人がいました。残念ながら、亡くなってしまったのですが、彼とは「いつか一緒にポリーニを聴きたいものだね」とよく話していたんです。そこで、私は彼からもらったCDを彼の代役に見立てて、今回のコンサートにもって行きました。聴いてくれたかな?
もしかして、チケットが手に入れられたのは、その友人の粋なはからいだったかもしれません。