今年晴れて中学に入学した息子は、受験勉強から解放されて楽しい学校生活を謳歌している。学業だけでなく部活や友達との付き合いなど結構忙しい日々を過しているが、家では寝ころんでテレビばかり見ている。そして、観るものが無い時には私がハードディスクに貯め込んでいる昔の番組を発掘して見ている。ここには、ドキュメンタリー、ドラマ、スポーツ、音楽などで私が繰り返し観ているコンテンツが集められているのだが、息子には新鮮に感じられるようで、私より熱心にチェックするようになった。
息子の一番のお気に入りは、なんと!イカ天である。
イカ天は、1989年から1990年にかけてTBSが放送していた深夜番組『三宅裕司のいかすバンド天国』の略称。アマチュアバンドによる勝ちぬき番組だったが、毎週個性的なバンドがたくさん登場し、三宅裕司の軽妙な司会、これも個性的な審査員が絶妙なバランスで配合され、とても面白い番組だった。アマチュアバンドブームが起こり、フライングキッズ、ビギン、たまなどプロデビューしたバンドも多数。現在のJ-POPに大きな影響を及ぼしたとも言われている。私もすっかりはまってしまい、毎週録画して好きなバンドの映像を残していた。
息子が何回も観ているのは、イカ天の放送が終わってから17年後に放送された特番『イカ天2007復活祭』。イカ天に登場したバンドの映像をたくさん紹介し、イカ天ブームの歴史を順に解説したもので、久しぶりに、司会だった三宅祐司、アシスタントを務めた相原勇が登場し、ビギン、たまなど往年のグランドイカ天キング(五週勝ち抜くともらえた称号)との再会も果たしている。
私の息子は、何回もこれを観て、しまいにはナレーターのコメントを諳んじてしまった。(これには驚いた)
さらに、スマホで昔の動画などを調べて歌を覚えて、カラオケで歌うまでにはまってしまった。彼のお気に入りは、『宮尾すすむと日本の社長』の「二枚でどうだ」、『人間椅子』の「陰獣」、『フライングキッズ』の「幸せであるように」などである。(覚えていますか?カラオケがあることにも驚いた。)
彼は、同時に『ももクロ』やボカロ曲も歌う。要するに、昔のイカ天の曲も今の曲も彼という同じドンブリの中の曲であり、好きだから歌うのであろう。そして、今の楽曲には、少し食傷ぎみで、新しい刺激を欲しているのかも知れない。もしかしたら、これから、ジャズやクラシックにも触れ始めるのかな?とりあえず、柔軟な感性で、乾いた地面のようにどんどん新しい知識を吸収できる年代に、いろいろな事を知るのはいいことだと思う。
それにしても、イカ天を熱烈に語り、「二枚でどうだ」を熱唱している中学生って他にいるだろうか。。