近年では、ネットオークションでコレクションアイテムを入手することが多くなり、専門店へは足を運ぶこともほとんどなくなっている。このため、業界の情報にとても疎くなっている。
先日、本当に久しぶりに下北沢の専門店へ行ってみた。
「ご無沙汰しています。」などと、ひとしきり挨拶をした後で、アンティークトイ業界の状況を聞いたら、このところ専門店がいくつかなくなったとのことであった。私が良く通っていた「二丁目三番地」という店もなくなったという。この店は昨年末頃に訪問した時は存在していたので驚いた。さらに衝撃的だったのは、閉店した理由は、店主のNさんが亡くなられたからということだ。このお店は、下北沢でアンティークトイを扱っている店では最古参で、私は昔から大変お世話になったところなのだ。まだビギナーだった私にも丁寧に対応していただき、いろいろなことを教えてもらったものだ。この店で購入したおもちゃで一番気に入っているのは、ジャングル大帝レオのリモコン電動歩行人形かな。。これは、今でもコレクションケースに大切に飾っている。
Nさんのやり方は、現在よりほんの少し前のおもちゃを継続してストックしていくというもの。その時は、まだ3年前のものであっても、12年経てば15年物ということになり、それが欲しい収集家も存在する立派な古物に育つ。Nさんは、これを30年以上も続けていたので、売れる商品を持続的に店に置いて、いつも魅力的な店づくりを実現していた。
アンティーク業では、仕入れが途絶えて売るものが乏しくなることが経営的には致命的なことなのだ。
このところ、ネットオークションの影響もあって品物を持ち込む人が減っており、また、世間に昭和40年以前の古い物も少なくなっているので仕入れがだんだん難しくなっているようだ。Nさんのやり方は、高額で取引きされるが頻度は少ないスーパーレア品狙いではなく、ちょっと懐かしいけど一般の店にはもう置いていないアイテムを手頃な価格で売っていくというもので、商品の回転も良好だったようだ。
コレクターや業界の人の間では、「業界で最後まで残るのは、2丁目3番地くらいだろう。」と語る人が結構いたと思う。とても残念である。
遅ればせながら、Nさんのご冥福をお祈りいたします。