
先日、「東京国際ブックフェア」に行った日のことです。朝、自宅の本棚で通勤時に読む本を物色していたら、ちょうど手塚先生のチーフアシスタントをされていた福元一義さんが著者の「手塚先生、締め切り過ぎてます!」(集英社)が目につき久しぶりに再読することにしました。
この本では、昭和20年代から手塚先生が亡くなられるまで一貫して、手塚先生の漫画製作にたずさわった著者が実際に経験した手塚先生にまつわるいろいろなエピソードが紹介されています。ファンにとっては一級の手塚関連資料です。 とても面白く、東京ビッグサイトに行く途中も電車の中で熱烈に読んでいました。
東京国際ブックフェアの手塚プロブースは、手塚治虫文庫版全集がたくさん並んでいましたが、こじんまりしていて少し物足りなく感じました。ささっと見て立ち去ろうとした時、たまたま奥の方に本が置いてあることに気がつきました。それが、「ブラックジャック創作秘話」(秋田書店)だったのです。
出たばかりなのでネタばれにならないように内容の詳細は書きませんが、ブラックジャック、三つ目がとおる、ユニコなどで多くの連載を抱え、手塚先生が最も忙しかった頃の手塚先生、手塚プロスタッフ、編集者が演じた感動ストーリーを漫画にした本で、福元さんも登場するのです。その日から読み始めた本の著者が、別な本にも登場した偶然に驚きました。あるいは、そういう運命だったのでしょうか?
前にこのブログで書きましたが、昔、富士見台にあった手塚プロに押しかけた時対応していただいたのが福元さんでした。その頃の手塚プロの仕事場は、手塚先生とアシスタント諸氏が同じ部屋で漫画を製作していたのです。おかげで私も実際手塚先生が仕事をされている光景を少しだけですが拝見できたのです。
「ブラックジャック創作秘話」の中で同じ時期にアシスタントをされていたM先生が、どんなに、殺人的に忙しくても同じ部屋に手塚先生がいるのはうれしかったと述懐されていました。いろいろひどい目にあった編集者の方も同じだったのかもしれません。だからこのような本が出されるのでしょう。とにかく、みんな熱かったのです。