(ここの内容は、東大寺修二会をすこし知っている人以外は訳がわかりません。ご承知おきください。)

二月堂の中は外の喧騒から離れたまったくの別世界。さすがにシーンとしている。

突然いろいろな鳴り物が響いてくる。今年も法螺貝の音色が今ひとつ。苦しそうにヒューヒュー鳴っている。毎年法螺貝の音を出すのは苦労されているよう。たぶん難しいのだろう。修二会後半(3/8~3/14)あたりになると上手になって音が出始めるようだが、3/5はまだまだだった。

そのうち、南無観世音菩薩を繰り返し唱える僧達の叫びが聞こえる、ここのリズミカルな声明はファンには人気がある。そしてしばらくすると礼堂で五体投地がはじまる。僧が一人出てきて長い木製の板に体を打ちつけ祈るのだが、板に膝と肘を打ち下ろすたびに、ドカッと大音響が発生し堂内だけでなく、二月堂周辺に響きわたるのだ。五体といっても体の一部だが、打ち所が悪ければ怪我をしてしまうだろう。効果的な音の出し方にはスキルがいりそうだが、どこで練習しているのかな?

比較的人が少ない日の深夜などに、この「ドカッ」「ドカッ」をじっと聞いていると、人知れぬところで僧達が罪深い人間の業を懺悔し悔恨の祈りを捧げているような気がしておもわず厳粛な気分になる。

それにしても、静かな場所の広いお堂で発生する音は実に効果的に聞こえる。それだけでなく修二会は視覚、聴覚、そして臭覚、味覚など五感に訴求させる演出がたくみに配されている。古来ファンを虜にする由縁である。

静かになったかと思うと、神名帳読み上げが始まる。東大寺ゆかりに全国の神様を読み上げるのだが、「○○○の大明神」などとリズミカルにスピード感を保ち読まれる。ひとつの聞き所である。読み上げる僧たちの腕の見せ所でもある。今回は。。ちょっと聞き取りにくいかな?

(続く)