東大寺二月堂の修二会いわゆるお水取りの本行(要するに本番の修行)は、毎年新暦の3/1~3/14まで行われている。お水取りファンはこの期間に奈良に滞在する。毎年行っていると、ある年からふと、いつも会う人がいることに気がつく。そういえば、去年もいたな。いや、その前からいた気がする。という感じだ。中には相手もこちらの存在に気がついてくれることもある。軽い会釈をしたりして挨拶する相手も何人かできてくる。面白いのは、何十年も前から毎年あっているのに、互いに名前はもちろん、どんな人か、まったくわからないいう関係なのだ。

そして、それがまったく気にならないし、どうでもいい事とすら思えてくる。自分は修二会に来たのであって、ほかの人に会いにきたわけではないのだからね。もしかしたらもきっと名のある人もいたかもしれないが、二月堂の中ではみなニュートラルな立場である。

修二会の間、坊さんの世話したりするサポーター(?)を童子さんというのだが、以前、著名な写真家のアシスタントが不始末を起こして童子さんに怒られた時、その写真家の先生は土下座して謝っていた。ちゃらちゃらした人かと思っていたが、その事以降その先生を見直した。作品も良く見えてきたりする。二月堂ではみんなニュートラルなのである。坊さんと童子さん以外はね。

東大寺は一般のファンをとても大切にする。大切な行事でもファンに二月堂を開放する。とくに女性にはさらに親切だ。坊さんがたくさんが女性ファンに囲まれている光景を良く見る。やさしい包容力があるのだろう。

県庁前を鹿がゆっくり歩いて糞をしたりしているところは他にみあたらない、奈良はとてもいいところである。