昨日ひさしぶりに中野ブロードウェイに行ってきた。今やおどろくべき「おたくの楽園」になった感がある。もともと商業施設と居住区が同居したユニークな巨大な立体都市であったが、この変わりようにはどうしてもおどろいてしまう。

そもそも現在のようなマニアックな店が並ぶはじまりは、古漫画専門家店Mの発展がきっかけだと思う。Mは、漫画家でもあったF氏が、中野ブロードウェイの4Fのしかも一番奥の方でひっそりと小さな店を始めたのが最初である。私はその頃から通っているが、たしかガロに載った広告を見てわざわざ東北から訪ねたのである。その時、ちょうどお店は休みだったが、たまたま店にいたF氏がシャッターの下から店の中に入れてくれた。

そのとき学生の少ない小遣いで購入したのは、水木しげる、白土三平の貸本だった。ジャングル大帝が掲載されている漫画少年も欲しかったが予算オーバーだった。こちらのサイフの中身を心配してくれたのか、F氏は少し安くしてくれた。F氏はとても親切だった。今はバリバリの社長をやっているんだろうな。中野ブロードウェイのかたすみの古本屋にひっそりとすわっているF氏も悪くないのだが。

Mを訪れたついでに、同じブロードウェイの飲食店にもよく行った。今でも当時の店がいくつか残っているが、マニアショップに押されてなくならないで欲しいと切に思う。街には、やはりプロの香りも欲しいものだから。