
私が読んだ本:まんが:荘司としお、原作:高原弘吉「魔球の王者」全3巻
(キングコミックス、少年画報)
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不慮の事故で野球の選手生命を絶たれた丸目鉄心は、素質のある孤児たちをひきとって山中にこもり野生児として育てながら野球の猛特訓を続ける。一方の丸目のライバルだった平賀も野球塾をつくり徹底した科学トレーニングで子供たちを鍛えていた。いずれも目的は、野球の超人チームをつくり大リーグを破ることだった。世間から隠れひっそりと鍛錬してきた超人チームであったが、しだいにその存在が知られていくことになり、さまざまな事件に遭遇する。最後は、丸目、平賀合同チームがアメリカに渡り大リーグの選抜チームを破るシーンで終わる。
この本が出た昭和40年代は、少年たちにとって野球が一番人気があるスポーツで、王、長島などは国民的ヒーローだった。しかし、日本野球と大リーグとの実力差は免れず、時折来日する大リーグのチーム、たとえばドジャース、オリオールズなどには歯がたたなかった。太平洋戦争の敗戦についての複雑な感情もあって、この作品のように、日本のスーパーマンが大リーグをこてくぱんにやっつける。というストーリーは日本人にとって胸のすく空想ロマンだった。イチローや松坂が大活躍している現在では、想像がつかないが、そういう時代だったのである。
庄司としお先生はすでに「夕焼け番長」をヒットさせていたが、この後「サイクル野郎」というロングランのヒット作も生み出した。
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今でも読める本:荘司としお、原作:高原弘吉「魔球の王者」全3巻(コミックパーク)
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