今回は手塚学との違う話題ですが、とても感動した事があったのでお話したいと思います。例によって、非常に個人的なたわごとにつき、ご興味ない方はごめんなさい。
ちょうど今、奈良東大寺二月堂では修二会(いわゆる「お水取」。3月1日から3月14日まで。)が開かれています。私は、このお水取という行事が大好きで、なんと27年も毎年通っていました。といっても、特に何をするでもなく、深夜までにおよぶ修行僧のお勤めを眺めたり聞いたりしながら、ほのぐらい二月堂の中で寒さに震えながらボ~っとしているだけなんですけど。まあ、命の洗濯ですね。(急に東大寺お水取りなんていわれても、訳わかりませんよね。いつか私的お水取り解説をしてみたいです。)
ところが今年は、諸事情により、とうとう、行く事ができない状況になってしまいました。今までの人生の半分以上も通っていた私的一大イベントなので、とてもがっかりしましたが、そのかわり素晴らしいものを見る事ができました。それは、上野の国立博物館で開催されていた唐招提寺展に出展されていた盧舎那佛です。
唐招提寺は有名な鑑真和上ゆかりの寺で、私が一番好きなお寺です。何故この寺にひかれるかというと、このお寺は、天平時代の伽藍、仏像などが一式すべて現存している唯一のお寺だからです。また、講堂は、改装されてはいますが、もともとは平城宮に使用された建物を移築したといわれており、これも大変貴重な建物です。天平時代の雰囲気を生で感じるには一番いいところです。私は奈良に行くと必ず唐招提寺に立ちより、金堂と講堂の間の空間で、しばらくの間、いにしえの風物、歴史的できごとなどを想像し瞑想するのが常でした。
今回の展覧会に出品されていた盧舎那佛は、唐招提寺金堂のご本尊です。この金堂には、巨大な佛様達(千手観音、盧舎那佛、薬師如来)がドーンとお並びになっていて、それは壮観です。昔は金堂の内部まで入れたので近くで拝観することができたのですが、近年は、扉に金網が貼られていて、一般の人は建物の外からしか拝めなくなっていました。
ところが、金堂の平成大修理で、一度金堂はすべて解体されることとなり、内部に座していらっしゃった佛様達が久方ぶりに外の世界へお出ましになり、別な場所に仮置されることになりました。この状況の中、大修理の勧進も兼ねてか、本尊盧舎那佛がなんと箱根を越えて東京までお越しになり上野の国立博物館で拝観できることとなったのです。修理が完了すれば、もちろん、金堂の中にお座りになり、ご本尊が動く事はありえません。従って、少なくとも次の大修理(100年後)までは、このような事はないはずです。
最近出不精になって博物館に足を運ばなくなってしまった私も、さすがに、「これは一生モノ」というわけで、いそいそと出かけてきました。行って見るとまたまたビックリ、奈良の唐招提寺金堂でしか会うことができない佛様を見る事ができるというだけで貴重な事なのに、本当にまじかにお姿を拝見することができました。しかも、通常背中にある大きな光背がなく、後ろ姿まで観ることができました。このあたりは、展覧会を企画された人のご配慮なのでしょう。ついで(といっては失礼ですが)に、梵天、帝釈天、四天王像といった脇待達(こちらも。もちろん国宝)も、至近距離で拝観できました。
唐招提寺ファンの私は、もう大感激、大感動の嵐で、どうしていいかわからないほど興奮してしまいました。かなり長い時間その場にいて、いろんな位置をぐるぐるまわり、にやにやしたり、独り言を言ったり(ちょっと、あぶない人ですね。)していましたが、最後には、感嘆の声を発している他の人をながめたりしていました。ディズニーのバンビを100回以上観た手塚先生が、やはり最後の頃は、映画を見ている他のお客さんの泣き笑いを見て喜んでいたという逸話がありますが、こういった心境でしょうか?(ようやく手塚先生と絡めることができた!)
とにかく、たった一年だけお水取りに行けなかった事なんか、小さい事で、ふっとんでしまいました。まさに一期一会といった機会でした。佛様達とは、修理が終わったら、今度は、奈良で再会したいものです。
(2005.3.7)
ちょうど今、奈良東大寺二月堂では修二会(いわゆる「お水取」。3月1日から3月14日まで。)が開かれています。私は、このお水取という行事が大好きで、なんと27年も毎年通っていました。といっても、特に何をするでもなく、深夜までにおよぶ修行僧のお勤めを眺めたり聞いたりしながら、ほのぐらい二月堂の中で寒さに震えながらボ~っとしているだけなんですけど。まあ、命の洗濯ですね。(急に東大寺お水取りなんていわれても、訳わかりませんよね。いつか私的お水取り解説をしてみたいです。)
ところが今年は、諸事情により、とうとう、行く事ができない状況になってしまいました。今までの人生の半分以上も通っていた私的一大イベントなので、とてもがっかりしましたが、そのかわり素晴らしいものを見る事ができました。それは、上野の国立博物館で開催されていた唐招提寺展に出展されていた盧舎那佛です。
唐招提寺は有名な鑑真和上ゆかりの寺で、私が一番好きなお寺です。何故この寺にひかれるかというと、このお寺は、天平時代の伽藍、仏像などが一式すべて現存している唯一のお寺だからです。また、講堂は、改装されてはいますが、もともとは平城宮に使用された建物を移築したといわれており、これも大変貴重な建物です。天平時代の雰囲気を生で感じるには一番いいところです。私は奈良に行くと必ず唐招提寺に立ちより、金堂と講堂の間の空間で、しばらくの間、いにしえの風物、歴史的できごとなどを想像し瞑想するのが常でした。
今回の展覧会に出品されていた盧舎那佛は、唐招提寺金堂のご本尊です。この金堂には、巨大な佛様達(千手観音、盧舎那佛、薬師如来)がドーンとお並びになっていて、それは壮観です。昔は金堂の内部まで入れたので近くで拝観することができたのですが、近年は、扉に金網が貼られていて、一般の人は建物の外からしか拝めなくなっていました。
ところが、金堂の平成大修理で、一度金堂はすべて解体されることとなり、内部に座していらっしゃった佛様達が久方ぶりに外の世界へお出ましになり、別な場所に仮置されることになりました。この状況の中、大修理の勧進も兼ねてか、本尊盧舎那佛がなんと箱根を越えて東京までお越しになり上野の国立博物館で拝観できることとなったのです。修理が完了すれば、もちろん、金堂の中にお座りになり、ご本尊が動く事はありえません。従って、少なくとも次の大修理(100年後)までは、このような事はないはずです。
最近出不精になって博物館に足を運ばなくなってしまった私も、さすがに、「これは一生モノ」というわけで、いそいそと出かけてきました。行って見るとまたまたビックリ、奈良の唐招提寺金堂でしか会うことができない佛様を見る事ができるというだけで貴重な事なのに、本当にまじかにお姿を拝見することができました。しかも、通常背中にある大きな光背がなく、後ろ姿まで観ることができました。このあたりは、展覧会を企画された人のご配慮なのでしょう。ついで(といっては失礼ですが)に、梵天、帝釈天、四天王像といった脇待達(こちらも。もちろん国宝)も、至近距離で拝観できました。
唐招提寺ファンの私は、もう大感激、大感動の嵐で、どうしていいかわからないほど興奮してしまいました。かなり長い時間その場にいて、いろんな位置をぐるぐるまわり、にやにやしたり、独り言を言ったり(ちょっと、あぶない人ですね。)していましたが、最後には、感嘆の声を発している他の人をながめたりしていました。ディズニーのバンビを100回以上観た手塚先生が、やはり最後の頃は、映画を見ている他のお客さんの泣き笑いを見て喜んでいたという逸話がありますが、こういった心境でしょうか?(ようやく手塚先生と絡めることができた!)
とにかく、たった一年だけお水取りに行けなかった事なんか、小さい事で、ふっとんでしまいました。まさに一期一会といった機会でした。佛様達とは、修理が終わったら、今度は、奈良で再会したいものです。
(2005.3.7)