歌星賢吾
「このアストロスイッチは単体では効果を発揮することは不可能です。つまり、コズミックエナジーを送り込むことによって秘められた力を発動出来る…つまりアストロスイッチとはコズミックエナジーをエネルギー源とする次世代型物質精製装置なのです!」
歌星賢吾は自らの開発したアストロスイッチについて熱弁していた。
江本教授
「だが歌星君、そのアストロスイッチの用途が不透明なんだが…どの様に使うのかな?」
歌星はその問いを待っていたと言わんばかりの表情を浮かべアタッッシュケースを取り出した。
歌星賢吾
「アストロスイッチにコズミックエナジーを送信する装置も現在開発中です。といっても、残すところは最終調整のみですが。」
速見助教授
「素晴らしいじゃないか歌星君。早速我々にその装置のスペックを見せてくれないかな?」
講堂内に拍手が起こる。その時、賢吾の表情が若干強張った。
歌星賢吾
「では…お見せしまし…」
???
「賢吾ッ!!」
広い講堂内に賢吾を呼ぶ声が響き渡り全員が声のした方向を向いた。
歌星賢吾
「朔田…一体どうしたッ!?」
朔田流星
「“ガガーリン”のスーツに異常が発生したんだ!指紋認証プログラムが暴走してる可能性が高い!今すぐ来てくれ!」
歌星賢吾
「自分達で対処が出来る筈だ!指紋認証プログラムの扱いにはあれほど気を付けろと言ったのに…すみません、先生方…続きに…」
思わぬハプニングに少し動揺し苛立ちを隠せない様子の賢吾
江本教授
「いいよ、歌星君。急がずとも最終調整が終わってからでも十分に間に合う筈だ。研究者は常に冷静でなければな。」
歌星賢吾
「しかし…」
江本教授
「歌星君。」
歌星賢吾
「………わかりました…。江本教授以外の先生方も、本日はこの様な忙しい時期にお集まりいただき心から感謝します…また次の機会に披露出来ればと思います…」
速見助教授
「楽しみにしてるよ」
歌星賢吾
「ありがとうございます」
コズミックエナジー研究棟アストロスイッチ開発本部
歌星賢吾
「クソッ………何故だ…?設計にミスは無い筈だ…」
朔田流星
「賢吾、この指紋認証機能は只のタッチパネルのようなモノとは訳が違う。下手したら“使用者の指紋を根本から変形しかねない…やはりこのシステムの開発は中断するべきだ。」
歌星賢吾
「………お前は何が言いたいんだ…?俺には不可能だとでも言いたいのか?」
朔田流星
「そうじゃない!確かにこのシステムの開発が成功すれば“あのとき”のような事態を防げるかもしれないが…今お前がやるべきはコズミックエナジーの研究だ!」
歌星賢吾
「黙れ!!もういい…お前は…絶交だ…!」
朔田流星
「賢吾…分かった。手を引くよ。研究…成功するといいな…」
歌星賢吾
「…」
空虚感だけがそこに残る
歌星賢吾
「………うわぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
To be continued…