みなさんこんにちは。今回は有栖川有栖さんの『幻坂(まぼろしざか)』をご紹介します。
本作は、大阪の上町台地にある実在の坂と、大阪に縁のある人々を巡るさまざまな時代の物語を収めた、全9編の怪談集です。
大阪出身である著者が「地元の怪談を描きたい」という思いから手がけた作品で、歴史の一端に触れながら楽しむことができます。
特に印象的で恐ろしかったのは「口縄坂(くちなわざか)」という短編です。
主人公の美季は、この坂の付近にいる猫たちに懐かれていましたが、ある時期から「夜な夜な猫に舐められる悪夢」にうなされるようになります。
友人の里緒に相談したところ、里緒は美季の恋人のふりをして坂を歩き、猫たちに見せつけるという奇策に出ます。
それによって美季の悪夢は治まったものの、今度は里緒が猫に襲われる夢を見るようになり……そして最後には衝撃の展開が待ち受けています。
作品ごとに恐怖のテイストや濃淡は様々ですが、どれも後味がよくすっきりと読めるものばかりです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。