こころのほつれ、なおし屋さん。 | ジャスミン茶タイム

こころのほつれ、なおし屋さん。


タイトルに惹かれて 以前に読んだ本なのだけれど。

 

山口県の大学で行った コミュニケーションワークの授業風景を エッセー風にまとめたもの。

 

読みすすめるうちに だんだん 自分も 学生のひとりになってゆく。

こんなこと 大学で教えなければならないほど コミュニケーションをとるのがが苦手な若者が多いのは事実。

でも 不足していることならば それを学んで社会へ出ることに マイナス要因はない。

 

授業はユニークで 「ごっこ遊び」のよう。

例えば 「生き残りゲーム」。 

「初めての一人旅に出かけます。 見知らぬ国への旅です。 

親は心配して反対しましたが、あなたは旅をすることにしたのです。

では、出発前に 親に短いメモを残してきてください」 という指示からはじまる。

「行ってきます。心配せんでね、すぐ帰ってくるから。」 「お土産を楽しみに 帰りを待っててね。」

旅立った学生に (実際は教室をでて、キャンパスを巡る) 途中、緊急事態が発生し、離島に不時着。

いろんな方法で 助かった人だけが順次教室に戻り 自分が残したメモを消す。

「残った一人は死んじゃうわけ?」と困惑しつつ、次々に消されるメモの中、最後にぽつんと残されたメモの一言。

サバイバルゲームなら、生き残ったものが勝ちだが、このワークでは誰も「勝った!」とは思わない。

残してきた者を思って迷い、心配し、最後には「ごっこ」でよかったと胸をなでおろす。

 

 

だれもが 他者とは うまく付き合いたいと 思っている。

でも、相手はどう思っているだろう? どこまで踏み込んでいいのか?

自分のことは どこまで見せれば安全なのか? そんなことが かえってストレスになってくる。

争うことから逃れ 意見を交わすことから逃れると まず 自分を出さず、表面的な付き合いしかできなくなる。

そんな他者に無関心な今時の若者が 想像力を養うことで 気付き、変化してゆく。

自分が唯一無二の存在であるように、相手もそうなんだと、自分を知り・相手を思いやる。



自分を思うように 他人を思い、気遣う。 

誰もが誰かの 「こころのほつれ、なおし屋さん」になれるかもしれない。

 

 『こころのほつれ、なおし屋さん』  村中 季衣・著 (クレヨンハウス)