窓の外をながめていると、大声のおばあさんが一緒になって遥かなる眺めに加わり、3人並んで景色と回想に目を傾けだしました・・・

 

 窓の外に高くそびえる建物を指差し、大声さんが話だしまた。

 

 「あそこにみえる大学病院あるやろ・・・あそこに昔入院したことあんねん・・・内蔵わるくてね~~ 


 あそこのご飯はここと違って味は薄いわほんまの病人食だからたべれたもんじゃない・・・よく家から差し入れ持ってきてもらったわ!

 

 ホントは、病人やから病院食以外食べたらよくないんやろけど・・・お腹空くしな・・・先生に内緒で食べてたわ・・・

 

 うちの旦那もな~~あそこ入院したわ~~ 

なんやまだ畑仕事してたときな・・・

 台風が近いからお水の調整で田んぼの水路の水調節の板はずしに水路に手を突っ込んだときにな~・・・

 

 おったんや~~~

 

 きぃつかんかったんやろな~~~ 

  

 まむしに指噛まれてな~ 

 で、それがな、アホやねん!! 

私に言うたら怒られる・・・おもたんやろな・・・ 


 だま~って帰ってきて、いつものように晩酌初めてん・・・

 そしたら急に苦しみだしてな!!何事かかとおもって、どないしてん!!どないしてん!!ってきたらな~~ 


 白状しよってな~~

 も~~毒体に入って時間たつわ、その上にアルコール飲むから、毒が体中まわってな~~~

 

 も~~のたうちまわって苦しむからお医者へ運ばれたけど・・・

 もう病院に着く頃には意識が朦朧として・・・ 


 すぐに血清点滴でいれたけどなかなか効かなくって・・・

 先生に今夜から山やから、もしものことも覚悟しといてください!って言われて・・・ 


 それからまた面会に行っても血圧200を超えて高熱で、幻覚見て暴れるから

ICUでベッドに縛り付けられて、大暴れしてたわ~~

 

 何日も、山、山、山、・・・なかなか峠を越えられず・・・1~2週間あの世をさまよい・・・

  

なんとか落ち着いた・・・蝮の毒って怖いのを、聞いてはいたけど、こんな凄まじいとは・・・

 

 毒で噛まれたとこから、マムシのあの模様・・・銭形文様・・・っていうやろ~~あれが、噛み口から腕にわたって噛まれた人の体に同じあの銭形模様が浮かび上がるねん!!

 

 主人の腕が、蛇模様になってたわ~~初めて見たけど、まったくあの模様そのものやねん・・・

 

 解毒したら薄まったけど、ベッドでもがいてるときは顔色も精神状態も・・・人間じゃなかったわ~

 でも今でも噛まれた傷口付近は肉も酵素かどくかで、壊死して、肉溶けたみたいになってるわ・・・

 

 あれは、生きた心地しなかった・・・。」

 

 

 ~マムシの毒より怖い嫁さん・・・どんだけ怖いねん・・・

 どんな幻覚を見たのか・・・嫁に追い回される幻覚か???火の海地獄か???三途の川も見ただろうか・・・

 

 現世に戻ったご主人は、もう怖い嫁のお出迎えとはならなかったであろう・・・

 

 毎日のように、面会にくる、可愛い笑顔の小柄なおじいちゃんは、間違いなく、この大きな声と大きなからだの奥様に愛されているんだな~ 

ともに白髪の微笑ましいご夫婦であることは、この部屋の住人もよ~く理解したことでしょう。