「時計じかけのオレンジ」
「シャイニング」
少し前にこれらをブルーレイで視聴
恥ずかしい話ながら、どれも見たことが無かった

何故この3作品を見たかと言うと…
フルメタル・ジャケット

久々にこれを見たからだった
【あらすじ】
アメリカ海兵隊に志願した若者達が訓練キャンプでハートマン軍曹に鍛えぬかれる
キャンプでは戦場に送る人間を作る為、まともな人間扱いはしてくれず
やがて精神に異常をきたす訓練生レナード(微笑みデブ)
精神的に追い詰められた彼は遂にハートマン軍曹を撃ち殺し、自らも自殺をしてしまう。
厳しい訓練に耐えぬいた彼らはやがて戦場へと送られる
前線での取材を命じられたジョーカー、そこで訓練キャンプ同期のカウボーイと再開
彼らの部隊に合流し、フエ市に派遣される。
しかし、そこで待ち構えていた敵に狙撃を受け部隊は混乱する
撃たれた仲間を助け出すべく、また仇を取るべく前進するのだが…
当時はプラトーンやハンバーガーヒル、一連のベトナム映画を見た後だったので
随分肩透かしを食ったような印象だったけれど、また見たくなりブルーレイで視聴
見たくなった理由は内容をほぼ忘れてしまったからだった
そしてこの映画で伝えたかった事は何だったか
…でも、そう言えば覚えていた人物がいた
ハートマン軍曹


この人の罵声雑言は素晴らしい

もともとテクニカルアドバイザーとして参加したリー・アーメイ
キューブリック監督がその迫力に感銘を受けてハートマン軍曹役にしたのは有名な逸話らしい

ホンマモンの軍人です
ハートマン軍曹(字幕無)
もうね、
「うちの食堂では黒んぼ定食は出さん!」
「貴様か、腐れ(ピー)は?」
「お(ピー)豚か?」
「パパの(ピー)がシーツのシミになり、ママの(ピー)に残ったカスがおまえだ!」
「お前を見たら嫌になる! 現代美術の醜さだ!」
ここらへんがサイコーです

*注「ピー」は自主規制です削除対象間違い無し
行進時ハートマン軍曹(字幕無)
結構有名なシーンですね

「ファミコンウォーズが出るぞ♪」
「かあちゃんたちには内緒だぞ♪」
…なんて言うオマージュされたCMもありました
当時はドン引きだったハートマン軍曹の名セリフ
それが今では笑いながら見れる
非常にユニークで下ネタ全開 そしてリズミカルにセリフを言うので
少々キツイシーンでも笑いがこみ上げてくる
ハートマン軍曹総集編(字幕あり)
コメントカットしてぜひ見て頂きたい
訓練生レナード(字幕無)
シャイニングを思い出すなぁ
*シャイニングはこの映画の後にみたんだけど

このシーンはオカルトめいているんだけれど重要なシーン
訓練キャンプと言う閉鎖的で抑圧的な空間で追い詰められる訓練生レナード
そこで受ける社会的ストレスと言うか精神的に追い込まれた人間(訓練生レナード)を映し出したシーン
Get Some(字幕あり)
ベトナムの一般人を撃ち殺すガンナー
「逃げる奴はベトコンだ!!」
「逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!!」
「女子供をよく殺せますね」
「簡単さ!!動きがのろいからな!!」
リー・アーメイにハートマン軍曹役を持っていかれてしまったガンナー役
鬱憤をここで晴らしているかのような狂いっぷり

全部通して見て驚いたのは画像の質の良さ
もちろん今の映画には敵わないけれど、発色や画質は驚きだった
また場面場面の色合いも良い
前半の訓練キャンプや外での訓練シーンは原色で非常に色彩豊かで綺麗

訓練生レナードを仲間達が夜に襲撃する暴力的なシーンはブルー(ホントに真っ青)
*またハートマン軍曹が撃たれる夜のシーンでも壁をブルーに見えるように細工したとか

昼の戦闘シーンも原色だけれど、夜の廃墟のシーンは炎の逆光を使いながら

恐々としたシーンをうまく生かして撮影している
また見ていて面白かったのが
キューブリック監督の長回し撮影、移動撮影、人や建物をバランスよく
なおかつ全てを画面に写す構図、そういったカットが素晴らしい

*特典でも話してますが、ここのシーンはみんなが写っている
とにかく見る者に対して流れるように映像を見せてくれる
元々カメラマンだったと言うキューブリック監督
いくつものカメラを同時撮影しているかのような流れで、
場面の切り替えもテンポ良く進めていく
自分は素人ながら見ていて妙に感心してしまった。
キューブリック監督逸話でユニークなのは
*どの映画でもなのだけど

この映画のセットがベトナム戦争の映画でありながら
実はイギリス国内で作られたと言うのも面白かった
まったくそうは見えない(…事もないのだけど)
それもキューブリック監督が飛行機恐怖症だったかららしい

そのせいかベトナム戦争映画によくあるジャングルシーンがほぼ無い
また各国の公開前の翻訳にもチェックを入れていたようで
ソフトな表現をする翻訳の方を
「なぜオブラードに包んだような翻訳するのか」とクビにしたとか

この目の下のクマが迫力あります

この映画、「フルメタル・ジャケット」戦争映画と言うよりは
人の内面を描いたように思える
だからベトコンと戦うシーンはあまり無いし

これ見よがしに爽快に殺人シーンを見せる事も無いし戦闘も淡々と進んでゆく
時におどろおどろしく、また衝撃的に人の死を見せる
この戦争に加わると病んでしまう、でもそれが正常な人間なんだよと伝えているようだ
そしてこの手の映画でよくある反戦を描いている訳でもない
戦争の狂気を描きつつ、善悪の曖昧さを描いている

故に悪い奴を倒していると言う爽快感も無いし、感動も無い
それでいて画像の戦場の中のジョーカー達と一緒に現場にいる様な高揚感がこみ上げる
また、見終わってこの映画の伝えたい事と言うか、意図と言うのが
「後は自分達で解釈しなさい」と見ている側の印象に委ねている気がした
故に年代を経て再度見ると新たな発見・解釈があるかもしれない
そして人によっても感じ方は違って来るかもしれない。
それではこの歌 「Mickey Mouse song」 をどうぞ

人は追い詰められ、現実では到底解決出来ない問題や、大きな不安を感じたり、
逃げ場の無い環境に置かれると幼児退行する事があるらしい
このシーンを初めて見た時違和感を感じたが、今はそう考えると何とも言えない気持ちになる。
そしてジョーカーのセリフが流れる…
彼もまた自殺したレナードの様におかしくなってしまったのだろうかと
そんな事を思わせるような最後で映画は終わる
