
私はジョージア共和国(旧グルジア)の民謡を歌うのですが、ジョージアにはバトネボ(Batonebo)という病の精霊がいます。
ジョージアでは、病気というのは孤独な精霊(Batonebo)が私たち人間の暮らしに憧れて取り憑いてしまうことと考えられています。
人間には暖かい家とベッドがあって、家族や友人と一緒にご飯を食べたり、歌を歌ったり。。。
身体のない孤独な精霊は「人間の暮らしは楽しそうだな。どんな感じなんだろう」と憧れて、人間に憑依してしまう。
なので、家族の誰かが病気になった時には(特に子供の場合)、部屋にバラの花びらやスミレを敷き詰めて、赤い布で飾り、「バトネボ(Batonebo)」というヒーリングソングを歌います。
全て孤独な精霊を美しい花や音楽で慰めるためです。
病気が治るまで、病人は王様のように扱われ、たとえ自分の子供であっても王族と話をするような丁寧語で語りかけるとジョージア人の友人が教えてくれました。
やがて、丁重に扱われたバトネボが満足すると、病人の体から抜け出し、それが回復ということです。
私はこの考え方が好きです。
病気を忌むべきものとして捉えるのではなく、孤独な魂として奉る。
日本にも桜の花びらとともに疫病が広がらないように、花鎮めの儀式がありますが、それに通ずるものがある気がします。
友人の家族もコロナウイルスで亡くなっています。
そして、世界中たくさんの人が命を落とし、辛い思いをし、職を失い。。。コロナウイルスを恐れているのはもっともだと思います。
私も一週間に一度の買い物の度に、身が引き締まる気がしますし、不安になります。
でも何故かコロナが憎い。。。というふうには思えないのです。
この花曼荼羅を作った日、何故か疫病の孤独を感じたのです。
寂しくて、寂しくて、人に取り憑いてしまった精霊が慰められることを祈って、この花曼荼羅を作りました。