割と最近知り合った10歳も年下の男子に、「薫子姐さんは尖ってますよね。それじゃ世の中生きづらい訳だ。」と言われ、ポカンとしてしまった。


あたしが尖ってるだとぉ~?


これほどまでに周りに気を遣い、波風立てぬよう相手を思いやり、細心の注意を払って目立たぬようひっそり暮らしているあたしに、彼はそうのたまうたのだ。


そりゃ彼には多少ぼやいたさ。


珍しく、出会った頃からあたしの大好物である深い話が出来る相手だったから。


仲よくなった貴重な女友達の愚痴に真剣に耳を傾け、怒りの収まらない彼女に何時間も付き合った挙げ句言われる言葉はいつも決まって……


「薫子はいいわよね~、○○で△△で□□だし。私なんて……私なんて……」


そうして愚痴は永遠に続くのだ。


いったいあたしがあんたらに何をしたと言うのだ。


あんたらの男を一人残らず寝取った過去でもあるのなら、そりゃそれ相応の罰も受けよう。


でも神に誓ってもいい。

あたしは断じてクリーンな女だ。


実は、昔から薄々気付いてはいた。


あたしのように負の感情を表に出さず、いつでも誰に対しても優しくにこやかに接する人間のことがおもしろくない、と思う輩は世の中一定数いるということに。


私は人に媚びたことがない。と言うより媚びる必要がない。


かっこ付けるわけでも何でもないのだが、自分が立ち向かうべき相手は他人ではなく、いつも自分自身だと思っているから。


それが尖っているということなら、むしろ誉め言葉としてありがたく受け取ろうと思う。


でもなぁ、ヤツがそこまで深読み出来るとは思えないのだが……


いつか機会があったらことの真意を確かめてみるか。