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動産評価人の日記

米国鑑定士協会(ASA)のライセンスを取得し、日本でも評価制度を定着させようと微力ながら活動しています。
2013年10月から評価人仲間と有限責任事業組合(LLP)を結成しました。
※ブログの見解は個人の見解で、所属団体等との見解と異なることがあります。

2月に申請していた、米国鑑定士協会(ASA)資産評価士(機械・設備)の資格認定ですが、今日未明に米国鑑定士協会から通知がありました。

認定日は7月29日になっていましたが、時差の関係で通知は今日未明になりました。


今回認定されたのはPOV(ME201~204)の第1期生を中心とする6名で、所属するLLPからは私の他、大先輩のH先生も認定を受けました。(H先生は経験豊富ですのでいきなり上級評価士の認定を受けています)
今日現在で日本国内のASA機械設備評価人資格の保有者は13名ですので、そこそこ早い方ではないでしょうか。

ちなみに同じLLPのA先生も資格認定申請中ですので、まもなく認定されることと思います。

やはり身が引き締まる思いですが、知り合いの中には「何なのかよくわかんないけどおめでとう」なんて言われてしまいます。

まずは啓蒙活動からですね。

機械設備の評価人にとってキモといえる概念が"Orderly Liquidation Value"(通常清算価値)ですが、実態上は我々のような評価人のフィーや、処分に必要なコストなどの諸々のコストを控除した後の"Net Orderly Liquidation Value"「ネット通常処分価格」の方が重要になるのではないかと思います。

Orderly Liquidation Value(通常清算価値)は決められた期間に換金しなければならないけれど、期間については合理的な期間が与えられる場合に成立するであろう価値をいいます。
早急に売却しなければならない場合の価値Forced Liquidation Value(強制売却価格)とは、時間的制限がない点で異なり、売買が強制されている点で公正市場価値(Fair Market Value)とは異なります。

意外にも、不動産鑑定士の資格を持った人に限ってなかなかこの概念がなかなか腑に落ちないようです。

不動産の場合、債務が返済できなくて担保で回収するとなると、裁判所による競売手続きになります。
競売手続きになると大体相場の7割程度の価格になるといわれています。
一方、債権者の同意が得られた場合には、債務者が自分で不動産を処分して弁済に充てる任意売却という処理の方法がとられる場合があります。任意売却の場合はほぼ市場価格に近い価格で売却できると言われます。
ですので、不動産に詳しい方は「期間の制限が設けなければ公正市場価格じゃないか?」という思考になるようです。

しかしながら、動産の場合は不動産に比べて価格の振れ幅が非常に大きいのが特徴で、銀行などでも在庫を担保にする場合には掛け目が5%などというのが常識なようです。
なぜこのような掛け目になるかというと、すぐに換金しようとすれば猛烈なディスカウントになってしまい、さらに安全性を考慮すると雀の涙にもならないほどになってしまうのです。

ですので、ここに弁済できなくなった時の処理計画をきっちり仕込んだ上で"Orderly Liquidation Value"の概念を入れれば、回収可能額が多くなるわけです。最も上で述べたように処分には手間と時間がかかりますのでその経費を差し引いた"Net Orderly Liquidation Value"が回収可能額のベンチマークになるわけです。

アメリカでABL(動産担保融資)がビジネスとして成立したのは、NOLVの概念を持ち込んでファイナンスとして成立するようになったからであり、再生や破綻処理でもこの概念を持ち込むことができれば、破産した人の借金苦も軽減されるかもしれません。
特に個人保証について厳格な制限が設けられるようになりましたから、この概念の有効性は高いと思います。

問題は、我々評価人は換金の世界に直接介入できませんので、現実の世界でいかにこのスキームを活用できるかにかかっています。
その辺の仕組み作りが今後の課題です。

アクセス解析をみていると「動産鑑定士」になるには?というような検索でこのブログにたどり着いていらっしゃる方も多いようです。

ですのでちょっと書いてみます。

それほどいらっしゃらないと思いますが、このブログをご覧の方は「動産評価に関する日本の国家資格はない」ということは重々ご承知だと思います。

世界に目を転じますとアメリカに米国鑑定士協会(ASA) という組織があり、ASAでは動産の評価人資格を設けています。ASAは国際評価基準(IVS)の提唱団体の一つであり、ASAのプログラムは米国の大手監査法人からも信認されるなど世界的に権威があるプログラムといわれています。
ですので、日本で(国際的にも通用する)動産評価人の資格を取得するには、ASAの資格を取得するということになります。

日本では日本資産評価士協会(JaSIA) が日本語での教育プログラムを提供しています。


道のりとしては、まず鑑定原論の講義を受講します。
ME201~204まで3~4日間の講義を4回受講します。
最初の2~3日は9:00~18:00までずっと講義で、最終日に試験があります。

資格取得のためにはすべての試験に合格しなければなりません。

日本の不動産鑑定士試験ほどは難しくありませんが、
全く評価について勉強したことがないという方には少し厳しいかもしれません。
特に203、204は難易度が高くなりますので不動産鑑定士でも試験に不合格になる方もおられます。

これに修了した後、倫理試験を受験して合格する必要がありますが、こちらはそれほど厳密でもないので苦労するほどでもないと思います。

そして、そしてASAへの入会手続きをします。経歴書と推薦書3通が必要です。
推薦書は書式がありますので、知り合いの方に頼んで書いてもらえばOKです。

ここまで終わるとCANDIDATE(候補者)になります。

評価士になるためにはCANDIDATEであり、かつ2年の実務経験を有すること、日本の国家資格では撤廃することが多くなりましたが4年生大学卒業の要件もあります(学部不問)。
これに自ら作成したレポート1通を添えて審査に提出。審査合格となれば、評価士になります。

また、5年の実務経験があれば審査を経て上級資産評価士になります。

日本の国家資格と違うところは「会費を払わないと資格を維持できない」というところです。
ちなみに現在のところ会費は年9万円で、楽な負担ではありません。

金銭面についてはJaSIAのサイトをご覧いただいた方が正確におわかりいただけると思いますが、
評価士になるためには数十万円の負担は覚悟しなければなりません。


現在のところ、そこそこの資力と努力があればCANDIDATEまでは行き着くことができると思いますが、動産の評価案件はまだまだ少ないので、実務を習得するには相当苦労します。
ただステイタスが欲しいとか、即金持ちになれる資格をお望みのようでしたら、割のいい資格は他にあると思います。


また、ASAの資格以外にも、日本動産鑑定 というNPO法人が動産評価アドバイザーという資格を創設して養成プログラム実施しています。詳しい内容はわかりませんが、金融機関の動産担保融資担当者向けの内容になっているようです。
興味がある方は調べてみてください。