その他にも、副次的な効果として評価を通じて企業の生産施設の弱点が分かるという利点があります。
適正な評価額に行き着くためには、資産の価値を下げるような要因、つまり減価の要因を正しく把握する必要があります。
経営者は把握していて当然と思われるでしょうけど、案外把握できていないことが多いのです。
このあたりが、世の中の皆様にもっと広く知って欲しいところです。
日本版IFRSが抱えるこれだけの問題
審議会企画調整部会の斎藤静樹・東京大学名誉教授に聞く(日経ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130624/250092/
金融庁の企業会計審議会は6月19日、「国際会計基準(IFRS)への対応の在り方に関する当面の方針
」を発表しました。
当面の方針として強制適用の判断は見送り、「まずはIFRSの任意適用の積み上げを図ることが重要である」としています。
IASB(国際会計基準審議会)が策定した指定国際会計基準の導入に対する反対意見は依然根強く、指定国際会計基準のうち日本として受け入れがたい基準をカーブアウト(つまり除外)した、"日本版IFRS"の導入を事実上決定しました。
結果、日本国内に指定国際会計基準、
日本版IFRSの特徴として「のれんの償却」が挙げられています。
のれんは一般に"超過収益力"と認識されています。会計基準では自己創設のれんの計上が禁止されているので(勝手に未実現利益を計上することになるので)、実際には企業が他の企業を買収して合併する場合に、買収金額と買収される企業の純資産額との差額が「のれん」になります(但し、買収金額>純資産額の場合。この場合は実際に現金などが動くので未実現利益にならない)。
IFRS(指定国際会計基準)の場合は「のれん」は資産として扱われ、償却しません。
一方、日本版IFRSでは「のれん」を資産として扱いますが、償却します。
償却すると言うことはつまり、毎期に費用として配分されるので、収益-費用で利益は小さくなります。
「のれん」は実体のある資産ではなく、いわば換金価値のない資産です(会計上の性質の議論もありますが難しいので割愛)。ですので、これを貸借対照表(B/S)上に乗せておくのは望ましくないとも考えられます。
さらに最大の問題は、買収後業績不振に陥った場合、その時点でのれんの償却を迫られる危険がある点です。
「のれん」は"超過収益力"ですので、赤字を出している企業のB/Sに「のれん」が計上されているのは罷り成らん!ということになります。
それでなくても、収益が上がっていないのに多額の損失の計上を迫られれば、企業にとっては存亡を危うくするほどの問題になります。
こういった点もありますので、日本版IFRSもそれなりに理はあると考えられます。
そもそも会計というものは「記録された事実と会計上の慣習と経営者の判断の総合的な表現」といわれますから、絶対的な考え方というものはありません。とはいえ4つの基準があるとなると、やはり脳みその中に、モヤモヤしたものが湧いてきます。
そんな状態の中でIFRSの採用という方向に収斂させて行くには、周辺制度にまで踏み込んだ動機付けが必要とこの記事の中で斉藤教授は仰っています。
「周辺の国内規制が基準を適用する実務上の解釈にさまざまなインセンティブ(動機付け)を与えるため、各国間で実務が統一される保証はないからだ。周辺制度や規制の国際的な調整を同時に進めながら、これまでやってきたように日本基準を徐々にIFRSに近づけていくべきではないのか」
昨日の引用した記事では金融機関がリスクテイクしないことが槍玉に挙げられていましたが、金融機関だけが問題かというとそうではなく、周辺制度のあり方なども問題になります。
そうなると「政治が....」といってしまいがちになるのですが、そうではなくて自分たちで出来ることをもっと考えて行かなくてはと思います。