中国人民銀行(中央銀行)が香港とマカオを「中国本土の汚職・腐敗官僚が海外逃亡や不正蓄財した資金の海外移転、マネーロンダリング(資金洗浄)に際し
て主な中継拠点になっている」と指摘した報告書をまとめていたことが、このほど明らかになった。香港の現行制度を問題視する内容とまではいえないものの、
香港政府への取り締まり圧力となる可能性も指摘できそうだ。15日付明報などが伝えた。
「わが国の腐敗分子による資産海外移転のルートと監視方法に関する研究」と題されたこの報告書は、人民銀の資金洗浄監視分析センターがまとめたもの。 2008年6月に完成していたが、これまで対外公表はされていなかった。人民銀が14日までに同行公式サイトに掲載したことにより、その存在と内容が明ら かになった。
報告書は、中国共産党や中央・地方政府、国有企業その他の腐敗した幹部や官僚らの海外逃亡先について、汚職や横領などによる不正蓄財の金額が比較的小さ い場合や、中下層の幹部・官僚の場合は、タイ、ミャンマー、マレーシア、モンゴル、ロシアといった近隣諸国が主に選ばれていると指摘。一方、不正の金額が 大きい場合や、高級幹部・官僚の場合は、米国、カナダ、オーストラリア、オランダなどといった先進国が選ばれる傾向が強いと指摘した。中国と犯罪者引き渡 し協定を結んでいない国も選ばれやすいと説明。ただその一方で、同報告書が「海外逃亡や資金洗浄の中継地」と名指ししたのは香港とマカオだけという。
逃亡で香港が中継地として選ばれやすい理由として報告書が指摘したのは、◆航空ハブとして世界各地向けの便があるため便利◆英連邦諸国の多くは旧英植民地の香港に便宜を図り、香港人に対しては到着後の入国審査時にビザ(査証)を発給している――の2点だ。
■資産移転「8大手口」
報告書は、資産海外移転の「8大手口」を挙げている。その概要は、
◆現金による持ち出し=荷物の中に隠したり、地下金融(闇金融)業者への委託を通じて運び屋に運ばせる
◆地下金融を使った違法海外送金
◆偽装送金=架空の貿易取引などをでっち上げて文書を偽造し、この文書で送金認可を取得する。あるいは高価輸入と低価輸出を組み合わせ、差額の形で資金を移転する
◆海外投資を装った資産の移転
◆カード方式=クレジットカードを使った海外での高額商品購入、またはカードによる海外での現金大量引き出し
◆オフショア金融センターの悪用=高価輸入と低価輸出の組み合わせなどを使って国内企業資産を英領バージン諸島などオフショア金融センターに移し、その後に国内企業の破産・買収といった手法で証拠を隠滅する
◆国内企業に海外で巨額の調達をさせ、その代金という形で海外口座に送金させる
◆外国籍を取得済みの親族や交際相手などを通じて資産を海外に移転する――といったものだ。
こうした不正かつ違法な資金の海外持ち出しでも、香港やマカオが主なルートになっているというのが報告書の記述。現金持ち出し方式では、香港に通じる深センの税関、マカオに通じる珠海の税関が通過ルートとして使われることが最も多いとしている。
報告書は現金持ち出し方式以外の手法でも、◆中国銀行広東省開平支行(営業所)の元行長(所長)が8年をかけて、香港で設立した企業に公金10億人民元 (現レートで約124億円)を不正に移転していた事件◆香港上場の中国本土テレビ製販大手、創維数碼(スカイワース・デジタル)の黄宏生・元会長が、従業 員のデポジットの名目で4,000万HKドル(現レートで約4億1,400万円)余りを自分と親族の口座に移転させていた事件――など、香港が利用された 具体的な事例を挙げた。
報告書は中国社会科学院の資料を引用し、1990年代半ば以降、海外に逃亡した共産党や政府の幹部、逃亡したり行方不明になったりした中国本土系企業の 海外駐在員は合わせて約1万6,000~1万8,000人に上り、本土から持ち出された資金は8,000億元に達したと指摘した。
ただ一方で報告書は、「香港の(金融関係の)監督・管理制度は比較的厳しく、すり抜けるのは容易でない」と記載していることから、香港の現行制度自体は それほど問題視していないもようだ。こうした不正の防止策としては、◆関係当局間の協力態勢確立と情報の共有◆汚職取締機関同士のスタッフ相互派遣◆税関 における資金洗浄関連データ照会システムの確立――などを挙げている。
「わが国の腐敗分子による資産海外移転のルートと監視方法に関する研究」と題されたこの報告書は、人民銀の資金洗浄監視分析センターがまとめたもの。 2008年6月に完成していたが、これまで対外公表はされていなかった。人民銀が14日までに同行公式サイトに掲載したことにより、その存在と内容が明ら かになった。
報告書は、中国共産党や中央・地方政府、国有企業その他の腐敗した幹部や官僚らの海外逃亡先について、汚職や横領などによる不正蓄財の金額が比較的小さ い場合や、中下層の幹部・官僚の場合は、タイ、ミャンマー、マレーシア、モンゴル、ロシアといった近隣諸国が主に選ばれていると指摘。一方、不正の金額が 大きい場合や、高級幹部・官僚の場合は、米国、カナダ、オーストラリア、オランダなどといった先進国が選ばれる傾向が強いと指摘した。中国と犯罪者引き渡 し協定を結んでいない国も選ばれやすいと説明。ただその一方で、同報告書が「海外逃亡や資金洗浄の中継地」と名指ししたのは香港とマカオだけという。
逃亡で香港が中継地として選ばれやすい理由として報告書が指摘したのは、◆航空ハブとして世界各地向けの便があるため便利◆英連邦諸国の多くは旧英植民地の香港に便宜を図り、香港人に対しては到着後の入国審査時にビザ(査証)を発給している――の2点だ。
■資産移転「8大手口」
報告書は、資産海外移転の「8大手口」を挙げている。その概要は、
◆現金による持ち出し=荷物の中に隠したり、地下金融(闇金融)業者への委託を通じて運び屋に運ばせる
◆地下金融を使った違法海外送金
◆偽装送金=架空の貿易取引などをでっち上げて文書を偽造し、この文書で送金認可を取得する。あるいは高価輸入と低価輸出を組み合わせ、差額の形で資金を移転する
◆海外投資を装った資産の移転
◆カード方式=クレジットカードを使った海外での高額商品購入、またはカードによる海外での現金大量引き出し
◆オフショア金融センターの悪用=高価輸入と低価輸出の組み合わせなどを使って国内企業資産を英領バージン諸島などオフショア金融センターに移し、その後に国内企業の破産・買収といった手法で証拠を隠滅する
◆国内企業に海外で巨額の調達をさせ、その代金という形で海外口座に送金させる
◆外国籍を取得済みの親族や交際相手などを通じて資産を海外に移転する――といったものだ。
こうした不正かつ違法な資金の海外持ち出しでも、香港やマカオが主なルートになっているというのが報告書の記述。現金持ち出し方式では、香港に通じる深センの税関、マカオに通じる珠海の税関が通過ルートとして使われることが最も多いとしている。
報告書は現金持ち出し方式以外の手法でも、◆中国銀行広東省開平支行(営業所)の元行長(所長)が8年をかけて、香港で設立した企業に公金10億人民元 (現レートで約124億円)を不正に移転していた事件◆香港上場の中国本土テレビ製販大手、創維数碼(スカイワース・デジタル)の黄宏生・元会長が、従業 員のデポジットの名目で4,000万HKドル(現レートで約4億1,400万円)余りを自分と親族の口座に移転させていた事件――など、香港が利用された 具体的な事例を挙げた。
報告書は中国社会科学院の資料を引用し、1990年代半ば以降、海外に逃亡した共産党や政府の幹部、逃亡したり行方不明になったりした中国本土系企業の 海外駐在員は合わせて約1万6,000~1万8,000人に上り、本土から持ち出された資金は8,000億元に達したと指摘した。
ただ一方で報告書は、「香港の(金融関係の)監督・管理制度は比較的厳しく、すり抜けるのは容易でない」と記載していることから、香港の現行制度自体は それほど問題視していないもようだ。こうした不正の防止策としては、◆関係当局間の協力態勢確立と情報の共有◆汚職取締機関同士のスタッフ相互派遣◆税関 における資金洗浄関連データ照会システムの確立――などを挙げている。