アメリカで現在「肥満」は深刻な問題である。全米の成人肥満率は過去25年で倍増し、2004年には32%にまで上昇、NPO団体「米保健トラスト」の報告によると、現在、米国では成人の3分の2が肥満や太りすぎに該当するという。米国ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ校の研究によると、2015年には、アメリカ人の成人の75%が過体重、41%が肥満になるだろうと報告している。

テレビでは連日のように、ダイエット番組、ダイエット器具の通販番組、健康番組、低カロリーの料理番組などが流れていて、国民の関心も非常に高い。アメリカは50州あるが、州別に肥満率を出し、なぜこの州は肥満率が低いのかといった特集などもやってたりする。

一方で、日本人成人の肥満率は3%と先進国の中でも最も低い国の一つであり、女性の平均寿命に至っては85歳と世界一長寿である。

そういった理由があり、アメリカのダイエット番組に必ずといって登場するのが、日本料理や日本のライフスタイルだ。

なぜ、日本人は痩せているのか?なぜ日本の食事は健康的なのか?ということが、殊更取り上げられ、日本の低カロリー食や、腹八分目の概念、お茶の有効性などが、大部分大げさに、偏重気味に報道される。

当然ながら、日本食だって、諸外国に比べ、揚げ物の割合が多かったり、塩分の摂取量が欧米人の倍だったりと、問題だと思われる面も多々あるけれども、そういう側面には一切光が当てられることはない。カツ丼やカレーライス、ラーメンといったメニューは、こういった番組では存在しないものなのだ。

彼らのダイエット番組に登場する、日本人の食生活は、焼き魚に味噌汁、おしんこに麦ご飯と非常に質素だ。我々日本人は、あたかもお坊さんのような生活をしているかのように描かれる。

このようなダイエット番組では、見事なプロポーションの女性司会者が、にこやかに、痩せて夢のようなライフスタイルを手に入れようと、視聴者に訴えかける。

これらの影響によって、極端な健康オタクも現れ始める。毎日ジョギングをし、週末はジムに通い、ファストフードやジャンクフードは口にせず、マクドナルドやスターバックスを憎み、挙句の果てには、肉類を一切絶ち、無農薬の有機野菜しか口にしないという人もいる。私は、こういうアメリカ人に日本で何度か会ったことある。彼らはもの凄く食事に気を遣い、レストランに行っても、いちいち「これは健康に悪い、これは体に毒だ」と文句を付けるのだが、正直、日本人でこういう人に会うより、アメリカ人でこういう人に会う回数の方が多いのではないかと思う。

ではなぜアメリカ人は痩せられないのだろうか

長くなったので、続きは後編で。。。