大阪・中之島に佇むダイビル本館は、設計・監理は渡辺節、製図主任は村野藤吾、構造設計は内藤多仲という、日本の近代建築史に名を残す建築家たちによって設計され1925年に竣工した名ビルディング。

残念ながら建て替えられてしまったが、2013年竣工の新生ダイビル本館にも、オリエント風を加味したネオロマネスク様式のファサードは、しっかりと遺されている。
 

 


 

 

重厚感あふれるスクラッチドタイルのレンガは、その9割以上が旧本館から移築したもの。
 

 


 

 

要所要所に数多くの彫塑を施し、中央玄関の半円アーチの上には「鷲と少女の像」が飾られている。
 

 


 

 

目を凝らすと他にも数多くのギリシャ風彫刻が造型されていて、その生々しいほどの生命力はアントニオ・ガウディのサグラダ・ファミリア教会を彷彿とさせる。

 

 


 

 


 

 

中央玄関を抜けると、外観のオリエンタル風のネオロマネスク洋式はさらにオリエンタル色を増し、天井のテラコッタや真鍮様の金属柵をはじめ、むせ返るほどのアラベスク意匠で埋め尽くされる。
 

 


 

 


 

 

ただそれだけ意匠を重ねながらも、建築内の品格は隅々まで緊張感をもって荘重。
それでいながら、透明感に溢れ上品で繊細かつ軽やか。
 

 


 

 

何処を何度見渡しても、完璧に調和が保たれ破綻がなく、近寄りがたい神々しさを放ちながら静かに生命感が息づく様は、スペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿で天井を見上げた際の感慨と重なる。
 

 


 

 

今回縁あって初めて本ビルを訪ねたところ、ダイビル株式会社はなんと今年創業100周年とのこと。
 

 


 

 

うーんと思わず唸ったまま動けなくなる、大都会の名建築である。