去る5月18日、私の政策研究会「ジャパン・ビジョン・フォーラム」で宇宙物理学者の村山斉先生をお招きして講演会を開催しました。

 

講演会の模様はこちらからご覧いただけますが、村山先生の講演スタートは10:00頃〜です。

 

 

お陰様でジャパン・ビジョン・フォーラムも今年で27年目を迎え、講演会も36回を数えることとなりました。

 

今年は私の還暦イヤーでもあり、講演後のトークセッションには特別ゲストとして、ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生をお迎えしました。

 

 

 

 

山中先生は学生時代から、生物学より物理学に興味があり、かねてから村山先生の講演をぜひ聴きたいと思ってらっしゃったそうで、日本を代表するスーパーサイエンティストの初顔合わせによる「サイエンストーク」を、私もナビゲーターとして楽しませていただきました。

 

「サイエンストーク」の模様については、YouTube動画とともに次回の記事でご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみに♪

 

 

 

 

さて、世界中にファンが多くノーベル賞候補にもその名が上がる村山斉先生ですが、現在、米カリフォルニア大学バークレー校教授と東京大学の特別教授を兼任され、日本ではご自身が創設され初代機構長を11年務められた「東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)」を拠点に活動されています。

 

 

 

 

「IPMU」という研究機構は、その名の通り数学と物理学と天文学という異なる3つの分野の研究者が、分野の垣根を超えて手を携え宇宙の謎に挑むという実にユニークかつ自由な発想の研究機関で、しかもとびきりハイレベルな研究者が世界中から集まっています。

 

ご自身の研究業績や著作・講演活動だけでも高い評価を受ける村山先生ですが、その一方で「IPMU」のように、これまでなかった夢のような研究機関を生み出し、さらにはそのために必要な研究者や資金を世界中からご自身が先頭に立って集めて来て、世界トップレベルの研究機関として国内外から評価・認知されるまでに育て上げた訳ですから、本当に心から尊敬しています。

 

 

 

 

そんな村山先生に、今回講演をお願いさせていただいたのには理由があります。

 

世界を一変させることとなったパンデミックが未だ収束しない中、ロシアによるウクライナ侵略という、これまでの世界秩序を根本から覆すような危機に直面することとなった私たち「人類」。

 

長期化するウクライナ侵略戦争は世界戦争、核戦争への発展する危険を常に孕み、その(かたわ)らで環境危機は確実に深刻化して行く「地球」。

 

世界が混迷と複雑化を深めて行く状況下、ともすると「人間がいっそ消滅してしまう方が、人間以外の生きとし生ける者や地球環境にとって幸福なのかも」とさえ思えてしまいます。

 

そんな“思考の袋小路”に追い込まれる中、それでもなお人類の進むべき道を模索するとしたら、まずは万物に宿る「普遍的真理」に立ち返り、自らの拠って立つところを見定めることこそが肝要ではないか、という思いに至りました。

 

そこで、この世の初源を探究し解き明かしている村山斉先生に講演をお願いした訳です。

 

 

 

 

実は、「平かな世の中を実現するための原点は、普遍的真理の探究である」と説いた書物があります。

 

中国の古典『四書五経』の一つ『大学』です。

 

私たち作新学院の校名も、この『大学』の一節から、かの勝海舟が命名しました。

 

『大学』の要諦である「八条目」は、「平天下(世界平和)」を成すためには、まず「治国」がなされねばならず、治国のためには「斉家(家庭が整うこと)」がなされねばならず、斉家のためには「修身(個々人が身を修める)」が、修身のためには「正心(正しい心を持つこと)」が、正心のためには「誠意(自らを欺かないこと)」が、誠意のためには「致知(幅広く知識・学問を深めること)」がなされねばならず、致知のためには「格物(物事の道理を究めること)」をなすべしと説かれています。

  

世の中に平和と安寧を求めるのであれば、まずは「致知格物」、つまり多様な知識を身につけ学問を深めることにより、物事の道理や真理を見究めることこそが必須であり原点であると、太古の昔よりそう説かれているのです。

 

 

生態系の頂点に立ちながら、地球環境を激変させ破壊し尽くすほどのストレスをかけ続ける人類(ホモ・サピエンス)は、そもそもこの世に存在して良いのか?

 

もし存在して良いのだとすれば、私たちは生態系のトップに君臨する者としての責務を果たすため、どのような未来を切り拓かねばならないのか。

 

ホモ・サピエンスの進むべき道を探るため、まずは「私たちはどこから来たのか」という演題での村山先生の講演をじっくりご堪能下さい。

 

 

 

 

(次回「山中伸弥先生&村山斉先生 サイエンストーク」につづく・・・)