如月は誕生月なのですが、日数が少ないせいか、いつもあっという間に過ぎ去ってしまいます。
今年は福島県沖地震が発生したり、現在は足利や桐生で山火事が発生したりと災害も多く、被害を受けられた皆様には心からお見舞い申し上げます。
そんな折に恐縮ですが、誕生日にいただいたお花がとても美しいので、癒やしになればと思いアップさせていただきます。
制作して下さったのは、世界を舞台に活躍されているフラワーアーティストのイワイ・ジュン先生。
先生にはここ何年か、毎年誕生日にお花を作っていただいていますが、色調もイメージもその度にまったく違う世界を見せていただき魅了されるとともに、その歳一年をどう生きるか、指針を与えられています。
先生の作品の魅力とパリをめぐるご縁については、以前にもご紹介させていただきましたが
https://m.huffingtonpost.jp/kei-hata/sange_b_14948812.html
今回の作品ほど“幸福感”で心を満たしてくれる作品はありませんでした。
届いた当初は、イワイ先生のスタジオ「Odéon」のカードカラーであるモーブやライラックカラーがベースとなった、シックで静謐な薄紫の色調。
50代最後を迎えた誕生日に相応しい、上品で落ち着いた大人の女性をイメージさせる作品です。
と思っていた世界が、数時間の内にみるみる一変して行きます。
毳毳の殻に覆われていたポピーがむくむくとほころび始め、蛹から生まれ出た蝶が折り畳まれていた羽を伸ばすように、次第に花弁を開かせて行きます。
まるで花火が次々と打ち上がるように、イエローやホワイト、ところどころアクセントのオレンジなど、とりどりの大輪の花々が一斉に開いて華やかに変化して行く姿は、まるで一編の映画を観ているよう。
特に今回の配色は、私が見た世界の景色の中で最も美しい「エーゲ海の黄昏」を思わせてくれました。
天空を焦がすかの如く黄金色やオレンジ、紅や緋色に燃え盛った夕焼けが、やがてその大団円に泣きたくなるほど美しいパープルへと変わって行き、えも言われぬグラデーションで天空を染め上げるあの荘厳なドラマを、逆回しのフィルムで観ているような感慨がありました。
2月としては記録破りの暖気に列島が包まれたことにより、19日には翅を大きく羽ばたかせる鳳蝶のような大輪のポピーが散り始めましたが、床に散った花弁がまた「散華」の如く美しいのです。
そして華やかなポピーが主役を去りかける頃、それまで楚々と清純な脇役を務めていた小ぶりのラナンキュラスが、ググっと花弁を思いきり広げて鮮やかなレモンイエローで全体を盛り上げてくれる。
届いた瞬間から散り行くまで、花たちの姿をすべて計算し尽くした上で制作にあたっている、イワイジュン先生の卓抜した感性や技術の高さにただ脱帽です。
頂戴したお花に恥ずかしくない自分となれるよう、「本当に大切なものとは何なのか」を常に自問し、物事の本質や真に良質で価値あるものについて深く考察を重ね、本物を見極められる自分へと近づけるようこの一年、少しでも成長して行きたいと思います。