この半年をかけ編集作業を続けてきた「作新アカデミア・ラボ」の『コンセプトBOOK』が、遂に出来上がりました。
20年近く教育現場に携わってきた者として、このコンセプトBOOKはこれから自分が取り組ん行く教育の“マニフェスト”であります。
と同時に、政治や報道、科学技術政策や文化政策などに携わり、海外にも暮らした一人の人間として、未来を担う子どもたちへ贈る“遺言”でもあります。
拙文で恐縮ですが、五十路半ばの自分としてあらん限りの心血を注ぎ、精魂を込めて制作した一冊です。
ご笑覧いただけると幸いです。
『作新アカデミア・ラボ』
―それは“未来”という大海原を
切り拓いて進む「宙船(そらふね)」―
「地図をいくら調べても、自ら歩き出さない限り目的地には着かない。」
仏教の教えです。
未来という大海原を越えて、幸福という目的地を目指す人生の旅は、
自らの意思で歩き出さなければ、どこにもたどり着きません。
未来は与えられるものではなく、切り拓くもの。
何を為すために、何を学ぶべきか。
自ら思考し、深く学ぶ。
作新学院では、130年前の創立当初から「自学自習」を教育の第一に掲げ、
自律的な人材の育成を実践してきました。
やがて世界は、グローバル化、AI(人工知能)、遺伝子操作などにより
激動と混迷の時代へ。
誰かが正解を教えてくれるのを、待っている時代は終わりました。
地図もナビも役立たない、未来というワンダーランドを切り拓くチカラ
“人間力”を磨くため生まれた「アカデミア・ラボ」。
さあ君も、未来をデザインする旅に出てみませんか。
―地球市民となるための旅立ち
未来を拓くために何を学ぶか ―
未来を切り拓くため、必要なチカラとは何でしょう。
それは、自由な発想力や創造力、豊かな想像力や行動力、高度なコミュニケーション力や語学力、そして主体的に生きるという強い意志(will)と高い志(vision)です。
たとえば、アカデミア・ラボで展開される多様な「アクティブ・ラーニング」。
自ら考え、発信し、他者と意見を交わす中で、考察力や思考力、プレゼンテーション力やディスカッション力を培います。
「シチズンシップ教育」では、グローバル市民としての資質・能力を育成するため、個人の権利と責任、人種・文化の多様性の価値など、円滑な人間関係の構築に必要な能力を養います。
たとえば、徹底して英語に浸る
「イマージョン教育」。
英語以外の教科を英語で学習し、文字通り英語漬けになることにより、世界とコミュニケートできる生きた語学力を習得できます。
さらに高速大容量の通信回線と最新のICT設備により、世界の人々とリアルタイムで対話しながら、インターナショナルな交流や授業を実施します。
作新の学びの場、活躍の舞台。
それは世界です。
―「作新」とは、新しきを作る。
“革新(イノベーション)”こそ、
私たちの使命 ―
作新学院には、幼稚園から大学・大学院まで多様な年齢や分野、能力や個性を持った人材が集っています。
異質な物質どうしが結びつき、化学反応を起こすように、多様なヒト・モノ・コトが出会い、影響しあい、融合しあい、新たな価値が生まれる。
多様性こそ、イノベーションの源泉です。
グローバル化が進み、あらゆる物事がボーダレスになりゆく中、学校も米国MIT(マサチューセッツ工科大学)の「メディア・ラボ」のように、自由で多様な「知と生命(いのち)の実験場」でありたい。
作新アカデミア・ラボが追求する、シンプルなビジョンです。
年齢や所属、分野や専門、言語、文化、民族…あらゆる違いを越えた知のセッションを通じて、社会の様々な課題を乗り越え、世の中を刷新して行く。
地域や社会にもっと門戸を開き、外部講師を招いたり、地元の企業やNPOとコラボしたり、社会と共に考え行動する。
日本開国の父・勝海舟によって名付けられた『作新』という校名。
そこに託された「革新を起こせ」という思い。
そのDNAは130年の時を経て、アカデミア・ラボへと受け継がれています。