「清明」という暦通り、万物が清々しく美しい春光に包まれた4月4日、我が家に新しい家族が仲間入りしました。
赤柴の仔犬、「時晴」です。
縁あって、はるばる徳島からやって来ました。
月齢3ヶ月にもかかわらず、とても落ち着いていて物分かりが良く、しかも元気で好奇心旺盛。
アイコンタクトは常にしっかりとしますが、声を上げることは滅多になく、甘噛みもイタズラも制止されるとそれ以上続けることはありません。
おトイレも、ブリーダーさんに躾けて頂いたのか、到着2日目にして大なら完璧、小でもほぼ8割の打率でトイレトレーのシート上にできます。
ちゃんと出来て褒められると、このポーズ。
時晴の時は、昨年亡くなった愛犬タンタンの名が、フランス語の時(とき)=Temps(タン)に由来していたので、タンちゃんを柴犬らしく日本語読みして、トキちゃんと名付けました。
「はる」は、タンタンが逝き時晴を迎えた、出会いと別れの春。そして、丸々とした仔犬のように、活力が充ち満ちてパンパンに張る、といったイメージで付けました。
ただ、せっかく「清明」という良き日にやって来るのだから、「春」ではなく「晴」の字を当てようと、これは夫の発案で「時晴」と決めました。
お散歩は、体調を見ながらまだこれからですが、近くの青山霊園では通り抜けの桜並木など、花々が丁度満開の時を迎えています。
仔犬時代の時晴と桜の取り合わせは、もう二度と見られない光景なので、とりあえず抱っこをし、トキちゃんと初対面の両親を伴ってお花見に出かけました。
ノミヤダニ、寄生虫などへの抵抗力がまだ弱いので、広い石畳の上を少しだけ歩かせようと地面に降ろすと、固まってしまいました。
歩こうと促してもなかなか動かないので、今日のお散歩はここまでと諦めかけたその時、いきなり傘寿を超えた父が走り出しました。
ここ最近は、疲れて来ると足元がおぼつかなくなることすらある父が、まさかの軽やかさで走り出したその瞬間、父の姿に呼応するかのように、なんとトキちゃんも跳ねるように走り出したのです。
昨年の3月11日にタンタンを亡くして以来、生気を喪いすべてがモノトーンに凍てついてしまった我が家に、血色と笑顔が久しぶりに戻ってきた春の夕暮れでした。
トキちゃんの目下のお気に入りの場所は、私の使っている座椅子。
苦手なものは、段差。階段はもとより、10cmもないわずかな高低差の前でも動かなくなります。
もう直に、階段も駆け下りるようになるのでしょうが、どうかもうしばらく、この幸せな時が止まっていて欲しいと願わざるを得ない瞬間です。