英国ケンブリッジ大学で今夏から始まった、作新学院のグローバル研修で特筆すべきこと。その一つがケンブリッジ大の教授陣によるハイクオリティで分かりやすい「特別講義」です。

今回は、1.地球温暖化セミナー、2.シェークスピア・ワークショップ、3.グローバルリーダーズ・プログラムの3講義がカレッジで行われ、また大英博物館に次ぐコレクションを誇るフィッツウィリアム博物館でも所蔵品を前に講義が行われました。

カレッジでの講義は、いずれもパワーポイントと配布資料を豊富に活用しながら、要領良くテーマのポイントを解説し、同時にクイズ形式で生徒たちの思考力も大いに刺激してくれ、2時間程度の講義時間があっという間に過ぎました。


もちろんすべて英語で通訳も入りませんが、日本の大学での講義より圧倒的に興味深く、数段分かりやすく、日頃日本語では授業中に意見をなかなか口にしない生徒たちが、講師からの質問に自分なりの英語力で積極的に答えていることが、何より嬉しい驚きでした。

中でも、ロズ・バージェス教授による「グローバルリーダーズ・プログラム」の講義は圧巻で、彼女の聡明さと情熱を合わせ持ったパーソナリティ、そして知性の高さを音に結晶させたような美しいクイーンズ・イングリッシュには深く魅了されました。


世界各国の政治的指導者を例に上げながら、リーダーに必要な資質について考える授業でしたが、国際政治という難しいテーマにも関わらず平易かつ明快な解説は見事の一言。

しかも同時に、生徒たちには常に質問をしながら自分の頭で考える力を養います。さらに、生徒同士で議論をさせ考察を深めながら、高校生である彼らなりのリーダー像や国際社会のあるべき姿を導き出させて行く講義には舌を巻きました。

そのバージェス先生の講義中、国家指導者の交代により社会が大きく変革したケースとして、タンザニアの例が紹介されました。実は私も現在、タンザニアに女子中学校を作る活動に参画しているので、授業後にその話をしたところ、彼女はもう何度も現地に入り、女性の地位向上や教育の普及活動に尽力してらっしゃることがわかりました。

バージェス先生もこの偶然に大いに驚かれ、「(タンザニアは)素晴らしいところなので、是非現地に行ってみるべきよ!」と力強く背中を押して下さいました。

まさかケンブリッジに来て、タンザニアでの教育活動に大きな勇気を与えられるとはー

思いや志があれば、海を越えた遠い世界であっても、この世は見えない糸で繋がっていることを実感させてもらった、ケンブリッジでの忘れ得ぬ出会いでした。