正面

作新学院創立130周年を記念し、学院のシンボルとなる「作新アカデミア・ラボ」を新設することとなりました。

幼稚園から大学まで約6000名が在籍する本学院ですが、在校生ばかりでなく保護者の方々や同窓生の皆さん、さらには地域にお住まいの方々や企業にも開かれた研究・交流・文化発信施設となるよう、独自のラボ・スペースをデザインしました。

右から

「作新アカデミア・ラボ」の原点。それは、米国マサチューセッツ工科大学の「メディア・ラボ」にあります。今から15年前、私はこの大学の教授でノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進先生にインタビューhttp://k-hata.jp/seisaku/kyouiku/20000913_tone/index.htmlを行うため、メディアラボを訪れました。

畑恵 利根川

そこで、年齢や分野、言語や民族を越えて様々な人々が集い、知恵やアイディアを自由に出し合って、とにかく楽しそうに研究(と言うよりまるで遊んでいるよう!)している姿を目の当たりにし、感動という以上の大きなショックを受けました。

本当の知恵、本当の学びとは、こういう所から生まれるのだと、心の底から実感した瞬間でした。http://k-hata.jp/seisaku/vaio/20000911_usbaio/mit.pdf

畑恵 Dr. Resnick

「作新アカデミア・ラボ」も、年齢や分野を問わず、多様な発想や知恵がぶつかり合い融合することによって、真に豊かな地球の未来をデザインし創造する、“知の実験場”となることを目指しています。

ふかん

「アカデミア・ラボ」の1階、生徒たちが登下校するアーチ部分は、地元の旧家に見られる“長屋門”の形状を取り入れており、名称は「アカデミア・ゲート」。また、建物全体の形状は、作新の校章をモチーフに“S”を象っています。

「アカデミア・ラボ」には、主に4つのタイプのラボ・スペースが設置されます。


まずは、「ライフ&コミュニケーション・ラボ」です。ダイニング・キッチン・スペースでもあるこのラボは、豊かな“生命”と“暮らし”の創造を目的としています。

昼食時には生徒たちのダイニングとして使用しますが、授業や課外には食育のための調理実習にも活用し、地域のシェフやパティシエなども講師にお迎えしたいと考えています。

左から

アカデミア・ラボの周囲には、近くの農家の方々に指導を仰ぎ、子どもたちが自分で種を蒔き、育て、収穫する「食育菜園」を併設する予定です。そこで自分たちが育てた食材を調理し食べることにより、子どもたちは生命のサイクルを実感し、自然環境や命の大切さを学びます。

食育菜園

生徒たちが使用しない時間帯は、保護者の皆さんをはじめ学院を訪問された方々の、くつろぎと語らいのカフェスペースとしてもご利用いただきます。放課後は、生徒たちが飲み物を片手に学習や読書、語らいやディスカッションが行えるスペースとして活用します。

さらに週末には、同窓会やPTAの皆さんなどの会合が行えるコミュニケーション・スペースとして、是非活用していただきたいと思います。

右から

次は、2階に設置される「アース&スタディ・ラボ」です。真の知性と教養の習得を目的とし、作新学院の教育方針「自学自習」を体現するラボです。

可動式のパーテーションで自由にスペースが作れるこのラボは、放課後や早朝はディスカッション・ルーム、研究室、自習スペースなど多目的に活用しますが、授業時間帯は特別教室としても使用します。


廊下を挟んで向かい合うラボとの壁も可動式なので、外部講師などを招聘しての特別講座や通信システムを利用しての講義・カンファレンスなどの際には、最大300名を収容できる大教室としても活用できます。

続いては、同じく2階に設置される「ランゲージ&カルチャー・ラボ」です。視聴覚をフルに刺激することにより、英語をはじめとした “生きた”コミュニケーション力としての語学学習を実現できるラボです。

最新のAV機器や教材・図書とともに、「シアタールーム」も併設されますので、映画や音楽などのカルチャーを通じて、血の通った語学学習や文化体験が可能になります。


4番目のラボは、「イノベーョン&ビジネス・ラボ」です。

学院の子どもたちが発明・デザイン、企画・開発した商品やサービス、学院と企業とのコラボ商品などの展示や販売を行います。

また、コンビニエンス・ストアも設置され、制服をはじめとした学院の指定商品をワンストップで購入することができます。

以上、4つのラボ以外にも、アカデミア・ゲート左手にはライブなどができる「ミニステージ」が、また右手には学院の記念の品々や写真とともに、作新を一目で知ることができる「ライブラリー」が設置されます。


完成予定は来年12月ですが、「作新アカデミア・ラボ」という建物に“命”を吹き込むのは、子どもたちの限りない好奇心や想像力、そして発想力だと思います。

このささやかなラボからいつの日か、世界を変え、未来をつくる発明や発見、そして人材が数多く誕生することを、心から願っています。

20150929日経

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