作新学院は、日本が長い鎖国から解き放たれた明治の始め、西欧の文明・文化を学びたい、学んで日本を西洋諸国に負けない強く豊かな国にしたいと願う若者たちが集う私塾「下野英学校」として始まりました。
 創立者・船田兵吾も、吉田松陰の「松下村塾」や緒方洪庵の「適塾」に学んだ志士らと変わらぬ熱い“志”を胸に、グローバルに展開し始めたこの国の未来を拓くため学んだことと思います。
 つまり、「真のグローバル人材」を育て、世に送り出すことこそが、作新学院創立の理念であり、使命であるのです。
 作新ではこれまでも、多様なアプローチで地球環境保護に取り組む「エコ・プロジェクト」や、発展途上国の子どもたちに靴を届ける「アフリカ一万足プロジェクト」など、地球規模での社会貢献活動を草の根で行ってきました。
 今年度からは更に、グローバル・エリート育成を目指す「トップ英進部」が新設され、建設予定の130周年記念棟には、高度な外国語教育に対応する「ランゲージ・ラボ」が設置されます。
 しかし、どんなに高度な教育施設やカリキュラムが用意されても、それだけでグローバル人材が育つわけではありません。
 最も大切なことは、誰かに教えてもらうのを待つのではなく、自ら学び取ろうとする意志を持つこと。本学院の教育方針、その第一に掲げられている「自学自習」こそが、学業成就の要です。
 では、どうしたら自ら学ぼう、学びたいと思えるのでしょうか。
 それにはまず、心が動く何かを見落とさないこと。なぜだろう?とか、不思議だな…とか、おもしろい!とか、何か心が動くことがあったらよく観察し、どうしてそうなるのか自分なりに深く考え、こまめに調べる習慣をつけることです。
 心が動く何かを一つでも多く見つけ、その理由を考え調べて行く内に、もっと知りたい、もっと学びたいと思えるようになるはずです。
 自分はなぜ学ぶのか、何を学ぶのか ― 作新学院に集う皆さんは、この命題に真正面から取り組んで下さい。自分なりの答えを見つけられたら、それがあなたの進むべき道です。
 かつて日本は、明治維新や敗戦からの復興という徹底した自己改革を経て生まれ変わることにより、国として存続し、先進国へと成長することができました。
 現代の日本も抜本的な制度・意識改革を一日も早く行わない限り、世界最速で進行する少子高齢化によって、数十年先の未来さえ危ういものとなるでしょう。
 日本の自己改革を促進し、この国を、いえ世界を刷新する「作新民」が一人でも多く、皆さんの中から生まれ出ることを心から願っています。