アベノミクスの「成長戦略」、その第1弾として「医療」とともに大きく打ち出されたのが、「女性」。安倍首相は「女性の活躍は成長戦略の中核をなす」との考えを表明しました。

 ただ、その内容を見ると、いささか的外れでは?と思えるものも少なくありません。

 

 最も首を傾げたくなるのが「育児休暇3歳までへの延長」。

 

子どもが幼い内は、できるだけ親がつきっきりで世話をするのが理想という考え方もあるとは思いますが、現実問題として仕事からそんなに長く離れてしまった人に、責任ある業務を復職後すぐに任せられるかと言えば、疑問です。

 そもそも、超・少子高齢化で生産年齢人口(働く人の数)が急速に減少している日本で、一人子どもを産むごとに皆が“産休+3歳まで育休”していたら、国の生産性は完全に落ち込み社会は成り立たなくなります。

 

 「少子高齢化・日本」の未来を拓くためには、“女性が社会で働くこと”と“出産・育児・介護”を両立できるよう社会整備を徹底して進め、就業率と出生率を同時並行的に引き上げて行く以外に道はありません。しかしながら、日本人女性の60%強が第一子出産後に離職しており、6歳以下の子を持つ母の就業率はわずか34%というのが日本の現実。この数値は、OECD加盟国の中でも最低のレベルに止まっています。

 

 解決の鍵を握るのが、子育てと並行しながら無理なく仕事が続けられるよう、時間や場所を限定されない「柔軟な勤務環境」の整備です。

 

 フレックスタイム制の導入はもちろん、一日の労働時間の短縮やネットをフル活用しての在宅勤務が認められるなど、子育て事情に合わせて勤務時間や就労の場を柔軟に設定できるようになれば、長期間に亘り仕事から離れることなく育児ができます。働く側にとっては、キャリアやスキルを

維持しながらの子育てが可能になりますし、雇用する側も出産や育児によって優秀な人材を失わずに済みます。

 

「女性の社会進出こそが日本の経済成長のカギ」―IMF(世界通貨基金)のラガルド専務理事も、東京で開催されたIMF総会の席上、そう指摘しました。

将来的には、そのラガルド専務理事が「日本の手本」と紹介したオランダのように、同じ仕事内容ならフルタイムと時給を同水準にしてパートタイムでの働き方を重視するという政策も、少子高齢化を乗り越えてゆく日本の、選択肢の一つかもしれません。